女系図でみる驚きの日本史 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107351

作品紹介・あらすじ

平家は滅亡していない! 「腹」でたどる本当の日本。平家は滅亡していなかった!? かつて女性皇太子がいた!? 京の都は移民の町だった!?――胤(たね)よりも腹(はら)をたどるとみえてきた本当の日本史。

感想・レビュー・書評

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  • 面白く興味深く読みました。平安期は上流貴族の女性といえど、人格の無い人形のような扱いで、数奇な人生を過ごした女性が多くいます。待賢門院の扱いもいかがなものかと思いましたが、二条は乱倫です。財政基盤によって女性の地位が高かった平安女子ですが、院政で男性に権力が移行すると、厳しい波紋が生じたのですね。紫式部の“はとこ”である斉子女王のスキャンダルが源氏物語の野宮の場面に影響を与えたという指摘は一聴に値します。

  • 胤よりも、腹が大事?!

    平家は滅亡した。
    確かに私はそう習った。
    壇ノ浦で、幼い天皇を抱き、皆が入水自殺した。
    はずだった。
    もちろん平家の落人の村、なんて言い伝えも確かにあるが、主流ではない。
    と思っていたら、なんと、今上天皇にまで系図が続いているのだそうだ。
    そんなバカな?!

    確かに今まで見たことのある系図は、父が誰かに重点が置かれ、母は単なる「女」とか、「〇〇の女」(菅原孝標女など)「〇〇の母」(藤原道綱母など)であった。
    しかし、なぜ男系なのか?
    父がいれば当然母もいるわけで、そこに焦点を当てると、常識が覆る。
    物事を疑ってみる、多面的に見るとはこういうことかと目からウロコだ。

    作中、手塚治虫の『奇子』が登場する。
    まさかここでこの作品を耳にする(目で見ているのだが)とは。
    詳細は省くが、奇子の生まれた旧家における人間関係の入り組み方は、日本の歴史そのものだ。
    これが普通だとしたら、恐ろしいが、残念ながらこれは日本だけではなく、諸外国にもあてはまる。
    有名なのがハプスブルク家だ。

    さて、第五編の「腹」の話を読むと、国語の授業で、古典を読むというのは、なかなかキワを責めているのかもしれない。
    よく考えてしまうと、結構、アレがアレだ。
    それに、我が国の名作である『源氏物語』はまことに厨二病をこじらせた物語だ。
    私がこんな素敵な彼に見初められて愛されちゃったら、こうなってこうなって.......。
    イタすぎる。
    夜中に書き溜めちゃったポエムの方が何倍かマシかと思うのだけれど、そう思えば、古文の授業はきっと楽しくなるだろう。
    「いづれの御時にか 女御更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに」が、睡眠のまじないではなく、覚醒の呪文になりますように。 

  • 読みかけとなっていた本です、最後まで読みたいと思っておりますが、現在このような本に部屋が占領されてきており、苦渋の決断ながら処分することに至りました。近い将来、この本を読破できる機会が来ることを願っています。

    2018.1.1作成

    途中までしか読んでいませんが、以下が気になったポイントです。

    ・平時信の娘の夫が平清盛であるが、その末裔が90代亀山天皇、93代後伏見天皇を経て、今の天皇家に繋がっている(p18,19)

    ・平氏というと、清盛の一門だけでなく、清盛の妻時子も平氏で、伊勢平氏の清盛の家系より家格の高い、堂上平氏と呼ばれる一族(p20)

    ・男側の系図で見るから滅びたりする一族がいる、一転視点を女の側に向けると、栄えているのは滅びたはずの一族だったりする。(p23)

    ・天皇は姓を授ける側であって、名乗る側ではないので、天皇には姓が無い。同じころ、臣・連といった姓(かばね)ができて、蘇我の「臣」、大伴の「連」などと、氏について朝廷内での序列を表した。姓は身分を表す爵位のようなものである(p25,26)

    ・名字は氏姓制度が崩壊したのちに、平安時代に生まれた通称、名字は北条や梶原であっても、氏=本姓は「平」という具合である(p26)

    ・天皇の妻は上から、皇后→妃→夫人→嬪という序列があり、正妻である皇后は別格である(p27)

    ・古代の王族にとっては、父方の親族は王位を争ういわばライバル同士、それに対して母方の親族こそがわが身内という指摘もある(p58)

    ・実名忌避の俗信とは、名前と人間は一体であるという考え方から、実名を知られると呪いをかけるのに利用されたり、災いを受けるなど危険であるとして実名を秘したり、別名で呼ぶ習慣のこと(p71)

    ・義経は源義朝の子で、頼朝の異母弟である(p174)

    ・江戸時代の将軍の母親は側室である場合が多い、正室は3人のみ(p197)

    2018年1月1日作成

  • サクッと読めた。

  • 読み始めはあまりページが進みませんでしたが
    読み進めるにつれてお話に引き込まれました
    他の作品も読みたくなりました

  • 系図が複雑!人間関係が複雑!

  • 女系図の斬新さ。オリジナリティがあって素晴らしいと思う。
    それにしても、平安朝の男女関係の凄さったらないですね。系図の二重線が重要です。

  • 京都が都になったのは、京都は渡来人が多く住んでいて、天皇の母親が渡来人だったから都を移した。
    建造にも渡来人が関わっていた。
    京都人が聞いたら憤死しそう。

    母親が重要視されていた時代から、院政になり、父親が重視されるようになると同時に女性の地位が低下していった。

    滅亡した家も今上天皇に繋がってるってすごいと言うか、狭すぎるような。

    興味深い内容なのに、漢字読めないのがいっぱいだし、読むのに疲れた。
    言葉が直接的で、ある程度はしょうがないけど系図にやった相手って露骨すぎやしないだろうか。
    柔らかくしても一緒なんだけど。

  • 東2法経図・6F開架:288.2A/O88o//K

  • 210.04

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著者プロフィール

1961年生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。『源氏物語』全訳六巻(ちくま文庫)、『女系図でみる驚きの日本史』(新潮新書)、『ジェンダーレスの日本史』(中公新書ラクレ)、『ヤバいBL日本史』(祥伝社新書)、『くそじじいとくそばばあの日本史』『やばい源氏物語』(ポプラ新書)、『嫉妬と階級の『源氏物語』』(新潮選書)、『傷だらけの光源氏』(辰巳出版)など著書多数。趣味は年表作りと系図作り。

「2024年 『ひとりみの日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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