原爆 私たちは何も知らなかった (新潮新書 782)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107825

感想・レビュー・書評

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  • キーマンはトルーマンとバーンズ。
    真珠湾の報復と人種的偏見の記述には納得。

  • トルーマンか ナチスと本質は近い

  • 山田康博「確立されなかった対日原爆使用の言説--2015年までの研究史外観--」(広島大学平和科学研究センター編集発行『広島平和科学37』、2015年。)において今後の課題とされていた、原爆投下をめぐるアメリカとイギリスの関係性に加えてカナダの果たした役割について触れられている点は非常に良かった。
    しかし、必要以上にアメリカ・イギリスへの憎悪を煽りかねない表現がされていることが気になった。確かに日本に対する原爆投下は非戦闘員を対象としたことから非難されるべき行為であることは認める。しかし、だからと言って憎悪を膨らませて言説を展開するだけではアメリカ・イギリスとの溝が深まって謝罪の言葉を引き出すことが難しくなるのみならず、当書で繰り返し指摘していた「広島の碑文」の内容を変えることも困難になるであろう。誤解を防ぐという点でも、冷静かつ第三者的な視点から批判することは原爆に関わらずアジア・太平洋戦争を鑑みる上で絶対に必要な観点であり、その点が守られていないことからも評価を下げざるを得ない。
    加えて、原爆投下部隊の動向に係る記述が一切ないことが減点要因のもう一つの理由である。山田論文でも原爆投下部隊について今後の研究課題として指摘されていたために期待していたが、当書にはその動向について一切の記述がなかったのが残念である。グローブス将軍がイギリスと直接接触した理由を「でしゃばり」と推測していたが、グローブスは原爆投下に係る任務全ての指揮を任されていたことから、むしろグローブス以上の適任がいないために出たのではないかと読みながら感じた。また、原爆投下作戦の命令とポツダム宣言発表のタイミングについての言及もあったが、ポツダム宣言よりも更に前の7月20日から日本上空で原爆投下作戦の訓練である「パンプキン」が投下されており、やや考察が不充分なように感じられた。1990年代以降にようやく判明した原爆投下部隊の動向に注目することが、今後原爆に関する考察を深めてゆく上で必要不可欠であるために非常に残念である。

  • 歴史修正主義との批判もあるが、25年間、過去の公文書を収集し、原爆開発、製造、投下のメカニズムを明らかにした著者渾身の書。推論がこじつけで恣意的な解釈もなくはないが、大筋は問題ないかと思われる。「先に戦争をしかけた日本が悪いので、原爆を落とされてもしょうがなかった」との原爆神話、プロパガンダの裏側にあったものに触れたい方は手に取って損はない。
    脱字数か所あり、編集の校正力により星マイナス1pt

  • トルーマン批判の強さにやや疑念を感じないでもないが、大変勉強になった。

  • 米英公文書に当たって書かれた一冊。

    原爆作ろうぜと言ったのも、日本に落とそうぜ、と言ったのも実のところ英国。

    独国が早く降伏したので、振り上げた拳を落とされた日本。

    これまで読んで来た他の本から考えても、兵士の命を救うものでも、早期終戦を実現したものでも何でもなかった。

    いつか未来のどこかで、あの戦争の始まりから終結まで、客観的に検証されることがあるのだろうか。

    核兵器はいらない。

    だが、存在してしまった以上、今後もこれと向き合わずには生きていけない。

  • 米国が落としたとされる原爆。けれど製作には米国だけでなく、英国、カナダも加わっていた。当初、日本に投下する計画はなかったものの、紆余曲折の末、特に大統領がルーズベルトから人種差別主義者であるトルーマンに変わったことで、方針が転換される。
    投下するにしても、人のいない場所、軍需施設のある場所、人口の多い場所、また、投下前に警告するかしないか、といくつかの選択肢はあった。
    それなのに、その選択肢内で最悪の、事前警告なしで大量殺戮目的の人口が密集する街に原爆を落とすことにした理由は、大統領の人種差別主義にあるとする。真珠湾を攻撃されたことを、トルーマンは恨んでいたそう。あと、製造に莫大な血税が使われたことと、世界共産化を進めるソ連への牽制と。あまりに利己的な理由なんじゃないかと思う。
    本著前文で取り上げられている、原爆資料館前の碑に刻まれた「過ちは繰り返しませぬから」の文字。これは米国を筆頭に核保有国にこそ突き付けなければいけないのではないかと。

  • 東2法経図・6F開架:559A/A72g//K

  • 公文書が残っているから、このような調査がのちにできる。おそらく日本の2016~2018はのちの検証に耐えられない

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著者プロフィール

有馬哲夫(ありまてつお)
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『歴史問題の正解』『原爆 私たちは何も知らなかった』『こうして歴史問題は捏造される』『日本人はなぜ自虐的になったのか』(全て新潮新書)、『NHK解体新書』(ワック新書)など。

「2021年 『一次資料で正す現代史のフェイク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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