- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106109058
作品紹介・あらすじ
今なお眠る謎を追って――。さまよえる湖、楼蘭の美女、消えた絹と玉の都、仮面をつけた巨人のミイラ―「NHK特集 シルクロード」取材班元団長の案内で巡る、時空を超えた旅への誘い
感想・レビュー・書評
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NHK特集「シルクロード-絲綢之路(しちゅうのみち)-」から、NHKスペシャル「新シルクロード」へ | NHK放送史(動画・記事)
https://www2.nhk.or.jp/archives/search/special/detail/?d=special002
中村清次 『シルクロード―流沙に消えた西域三十六か国―』 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/610905/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「シルクロード」は、1979~80年にNHKと中国中央電視台が、中国の西安を出発点に、中国領内シルクロードを共同取材し、1980年4月から全12回シリーズ「日中共同制作シルクロード 絲綢之路」として1年間放送された特集番組である。特に、外国メディアによる中国領土内のシルクロードの取材が認められたのは、この番組が初めてで、視聴率はほぼ20%を超えるなど、大きな関心と反響を呼ぶと同時に、この番組が火付け役となり、以降の所謂シルクロード・ブームが起こった。また、番組は、日本のみならず、38ヶ国で放映された。
因みに、12回のタイトルは以下である。①遙かなり長安、②黄河を越えて〜河西回廊1000キロ〜、③敦煌、④幻の黒水城、➄楼蘭王国を掘る、⑥流砂の道〜西域南道2000キロ〜、➆砂漠の民〜ウイグルのオアシス・ホータン〜、⑧熱砂のオアシス・トルファン、➈天山を貫く〜南彊鉄道〜、⑩天山南路・音楽の旅、⑪天馬のふるさと〜天山北路〜、⑫民族の十字路〜カシュガルからパミールへ〜。
本書は、その「シルクロード」取材班団長で、NHK退職後もシルクロードの研究を続ける中村清次(1939年~)氏が、シルクロード研究の最新の成果を、NHKカルチャーラジオ/歴史再発見テキスト『シルクロード10の謎』、『続・シルクロード10の謎』としてまとめたものに、加筆・改稿を加えたものである。
私は、番組放映当時は10歳台で、この番組を家族で毎月楽しみに見ていたし、今でも喜多郎のアルバム「シルクロード(絲綢之路)」をたまに聞くのだが、今般書店で本書を目にし、思わず手に取った。
そして、半分懐かしく(とは言っても、番組の内容を覚えているわけではないので、楼蘭や敦煌などの地名の響きに懐かしさを覚えるくらいだが)、また半分は、二千年も前の事象がこれほど判明していることへの驚きと、その一方で、古文書に記された都や遺跡が未だに発見されず、数々の謎が今なお砂に埋もれたままであることに対する一種のロマンを感じざるを得ない。(尤も、「楼蘭の美女」や「さまよえる湖(ロプ・ノール)」などのテーマを除くと、専門的な内容も多い)
日本文化の源流ともいえる「西域/シルクロード」についての最新の研究成果を知るために格好の一冊である。
(2021年5月了) -
シルクロードにあった国々ついての入門書。これを読んでから、専門書や、より詳しい本に進むのが良いだろう。西域の歴史や、中国の中原の歴史をもっと知りたくなる一冊。
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nhk tvシルクロード取材班団長が書いたこの本は、ビデオを見てから、ビデオを見る前に読みたい、きれいな映像がもっときれいに見える、きっと。
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<目次>
序章遥かなるシルクロード
第1章楼蘭の美女は、どこから来たのか
第2章さまよえる湖が、もうさまよわない理由
第3章タクラマカンは、謎の巨大王国なのか
第4章絹と玉の都、ホータン王国の幻の城
第5章建国の夢は滅びの始まりーソグド人の悲劇
第6章奪われた王女ー亀x王、烏孫王女を帰さずに妻
第7章玉を選んで4千キロー謎の民族・月氏の正体
第8章楼蘭・鄭善王国の消えた財宝ー天下一の大金持ち王
第9章仮面をつかた巨人のミイラの謎
第10章幻の王族画家が描いた西域のモナリザ
終章シルクリードはなぜ閉じられたのかー捨てられた敦煌
おわりに
p88唐代、長安の春、だい6台皇帝玄宗(713-756)の
西域ブーム。朱雀門、ペルシャ人、ソグド人、
胡姫たちが手招きする酒楼、高昌国(トルファン)産の
葡萄酒が味わえる酒ㇱが立ち並んでいた
p94国際商人としてのソグド人の成功の秘訣
1.シルクロード沿いにコロジー、植民集落を建設
2.トケツやウイグルなどの遊牧騎馬民族の中に入って
彼らを背後で操った
3.東西の文化、技術の交流を促した
p103安禄山(703-757)父はソグド人、燕の皇帝として
即位、唐のソグド人弾圧により、
p183明代、鄭和が開いた海のシルクロードにより、交易
ルートが変わった、モンゴル、イスラムの侵攻に
さらされることなく、
nhkシルクロード取材班団長の著、
36か国があったのか、なぜ現代の中国がウイグルを弾圧する
のか。集落がひとつの国であったのか -
NHKスペシャル「シルクロード」を担当した人による一冊。番組制作に携わって数十年後なお関心を失わず、本書のような一つの成果を見たところに、西域が持つ魅力が表れている気がした。今日NHKオンデマンドで当時の番組が見易い環境が整っており、その副読本として目を通してよいかも。
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テレビでやっていたのは知っているけど、見てないからなぁ。
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著者は1979年からのNスペ取材班団長、現在はカルチャー教室講師ということで、『「敦煌」と日本人』を読んだ後では、あの時代の熱狂ね、と若干冷めた目で見てしまう。本書自体の問題ではないのだが。実際、当時のブームの理由の1つとなった、日本人が自らの源流をシルクロードに見た、という点は本書でも出てくる。対象もNスペをリアルタイムで見た中高年層が中心ではないか。
通史ではなくエピソード的な章の積み重ね。シルクロードが言わば官制道となったのは漢の武帝の時代で、事実上廃れたのは明代、モンゴル軍の攻防と海のシルクロード開拓の頃。
西域文化の日中への伝播とは逆に、西域への伝播もあった。楼蘭の女性ミイラのうち、紀元前1800年頃のものはそうではないが、紀元前2世紀以後と推定される新しいものは絹をまとい、中国・中原の影響が随所にある。
漢と匈奴の2大超大国に挟まれた楼蘭、烏孫、亀茲など小国の苦しい立場は現在にも通じる。漢の公主を、時には同時に匈奴の妻も娶ったり、親漢外交をしたり。
また、ロプ・ノールは「さまよえる湖」、タクラマカンは「入ったら出られない」の意味、という古い説は、現在では反対説が有力とのこと。