甲子園は通過点です~勝利至上主義と決別した男たち (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106109201

作品紹介・あらすじ

「メジャーを目指しているので、頑張るのはここじゃない」「負けたら終わり」のトーナメント方式の中で、どう選手を成長させていくのか。球数制限や科学的トレーニングなど、新たな取り組みを始めた当事者たちの姿を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 高校野球を取り巻く新しいムーブメント。長い歴史の分閉鎖的、保守的な世界に起こりつつある動きを伝える一冊。

    2019年夏の岩手県の夏の高校野球決勝。大船渡高校のエース投手は登板せず試合に敗れる。監督とエースの選んだ目先の甲子園より将来の無限の可能性。衝撃だった。その投手はプロ入りし2年目の今年頭角を現しつつある。千葉ロッテの佐々木朗希である。

    タイブレーク、球数制限、高校球児の定番丸坊主の廃止、トラックマンやラプソードなど科学的な測定機器による理論的指導など。

    野球人口の大きく減少する中で変わろうとする高校野球界の現状、コロナ禍での大会中止も踏まえて丹念に描かれている。

  • 学習指導要領において、教育課程外の「部活動」。その経験者が、日本球界やメジャーリーグで多く活躍していることを見ると、これまでの高校野球の功績は評価されるべきだと感じる。しかし、甚だ以前から厳しすぎる部活動に疑問を抱いていたし、何で坊主なのか、なんで長時間練習を行うのか、理解できなかった。しかし、この本に記されている「厳しい指導を行う印象が強い高校野球に変革が起こっている」ことにとても感銘を受けたし、さらなる飛躍をとげるのを楽しみにしている。

  • あー、なるほどねー、という感じ。
    慶應の優勝で、気になったので。
    あまり関係ない世界の話だけど、
    世間の流れとしては知っておいた方がいい。
    そう思いました。

  • 2023.06.05
    甲子園も日本人の同調圧力の象徴だと思う。
    腕がちぎれるまで投げてその後の野球人生を喪った「生徒」がどれほどいるのか、そしてその人生に対して「高校野球ファン」「甲子園ファン」は何も責任を負わず「感動」コンテンツとして消費するだけ。
    そんな無責任な「周囲」「世間」のために野球をしている「生徒」の多さを考えると、この日本がなぜダメになっていくのかということがわかる。
    スポーツの本ではなく、日本の衰亡論だと感じている。

  • 20221004

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50251546

  • 高校野球が、高校球児全員に出場機会を与えるため、またそれによるチーム力の向上のため、現行の甲子園大会を象徴としたトーナメント方式から「リーグ戦」に重きを置く制度に変革していくのが望ましいと個人的に思います。

  • タイトルに引かれて読んだ。確かに通過点だとは思うし、その事例が紹介されている、またサッカーの取り組みも紹介されている。ただ、夏の甲子園で優勝した智瓣和歌山高校が紹介されているのは、違和感を持った。

  • 前作に続けて、高校野球の問題点と変革への動きが色々指摘されています。
    金属バットの弊害、そしてトーナメント戦の弊害が特に興味深く読みました。
    金属バットは、当たりそこねでもヒットになりやすいので投手の負担が大きい事、また打者も上のレベルで苦労しがちになります。
    トーナメント戦は観客にとっては面白いのですが、監督や選手達にとっては害が大きいです。必ず勝たないといけないため、いつも同じメンバーになりがちで故障でも休めない、補欠だとやる気がなくなりがちになります。
    改革への動きとしては、木製バットやリーグ戦の導入が始まっています。

    日本高野連の動きはいつも鈍く、新潟などの地方や、大阪府立などの公立高校から改革が始まっているのが特徴的です。

    また、「野球、スポーツに限らず日本は短期的ビジョンが多い」という指摘も重要だと思います。

  • 日本野球界の変革のきっかけとなったのが野茂英雄のMLB挑戦と成功であったように中田英寿のセリア移籍が日本サッカーを世界に開いたと言える。今では二十歳前後で海外に移籍するのも当たり前であり強豪チームの主力となっている者もいる。しかし二刀流という規格外の活躍によってメジャーリーグを震撼させた大谷翔平に匹敵するほどの選手はいまだ現れてはいない。甲子園野球を変えんとするムーブメントは先行するサッカーを追い越そうとしているかもしれない。

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著者プロフィール

1977年、ブラジル・サンパウロ生まれ。奈良大学を卒業後、地方新聞社勤務を経て2003年に独立。夏の甲子園は2003年から今年まで19年連続して大会を丸ごと取材している。当時に取材した選手たちをその後も追いかけ、その時に出会った選手たちを深掘りしていくスタイルで取材活動を続けている。1年に全カテゴリーを取材し、メジャーまで出向いたこともある。2018年に新潮社から出版した『甲子園という病』は話題作に。2021年には『甲子園は通過点です』を上梓した。現在は雑誌・ネットメディアのほか、YouTube、音声メデイアの「stand. fm」「Voicy」のパーソナリティを務め、音声ジャーナリズムを追求している。また一方では「野球指導者のためのオンラインサロン」を開設して指導者と交流している。

「2021年 『BASEBALL アスリートたちの限界突破』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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