流山がすごい (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106109799

作品紹介・あらすじ

「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで、6年連続人口増加率全国トップ――。かつては数多ある東京のベッドタウンの一つにすぎなかった千葉県流山市がいま、脚光を浴びている。「子育て中の共働き世代」に的を絞った政策をはじめ、人材活用、産業振興、都市計画、環境保全まで、あらゆるテーマを同時並行で推し進める。流山市在住30年、気鋭の経済ジャーナリストが、徹底取材でその魅力と秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 関西からは、流山はひどく遠いところにある。どういう土地なのか、イメージが湧きづらいのだが、この本が描くイメージはビビッドだ。
    街クリエーターやイベンターの手柄話ではないのが良い。ジャーナリズムの専門家であり、住民・当事者でもある筆者の自分事としての熱量が伝わってくる。
    生き生きとした街を維持するのは、行政と住民のコンビネーション、ビジョンがうまく繋がって回ることが必要だということがわかる。
    ただ、流山も、今は良いかもしれないが、全ての世代、全ての生業にとって、幸せな街なのか、今後もそうあり続けるのかどうか。今のインフラ・アセット、住民はやがて変性していく。CITYは時間的に連続した実体だ。そのとき、街はどうなるのか、を考えておくほうがいいだろう。

  • TX流山おおたかの森周辺の開発話を中心に、流山市に起きている変化を住民でもある筆者が記した本。この手の話は統計など俯瞰の目で記した本と、個別の人物のエピソードをオムニバス的にまとめた本があるけど、この本は後者。
    「流山に何が起きているか知りたい」人にはちょっと個別エピソードに特化し過ぎているかなーと。
    あとリクルート関係者のエピソードが多くてちょっと胸焼け。筆者がリクルート関連の書籍も出しているからそういうコネクションかな?個人的には第2章、第7章のような話をもっと期待していた。

  • 導入部分は良かったが、なにしろ、何もないところからの発展は、やるかやらないかは別にして、特に驚かない。
    特に個人のエピソードに偏りすぎて読むに耐えない。

  • 「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」のキャッチコピーで6年連続の人口増加率日本一となる流山市の実態。行政にとって「子育て」政策はこれ程重要なのだ、保育園(保育士)・送迎・小学校、都市計画、緑の保護‥‥。
    都市計画のキャリアを持つ政治・行政の素人市長によるリーダーシップで推進される市政改革の数々。
    最若手の助役を抜擢し一緒に「行政は市民へのサービス業」「1円まで生かす市政」「流山の可能性を引き出す街作り」の公約を実行する。
    財政的に人口増を図らなければ破綻という構造の市政に「マーケティング」概念を導入し、そのターゲットをDEWKSを呼び込むことと決め諸施策を実施。
    大鷹の森駅前の大型SC開発、建築規制、そして子育て促進政策。
    1970-80年代「流山の恩人」とされる市長よる常磐新線の誘致、常磐道の流山インターの新設により千葉のチベット、地場産業は味醂しかない「ヘソのない陸の孤島」から脱却することに舵が切られた。
    サッカーチーム作り、最大1万人雇用が見込まれる巨大物流倉庫群の誘致(後楽園30個分)‥‥。
    近くに柏学園都市や筑波研究都市を控えて、競争上もいよいよ箱から中味への質の向上・ソフトウェアの充実というステージに入る。人口減のなか日本市町村行政を考えるとますます目が離せない流山市である。

  • 読むのにかかった日数:1日
    臨場感のあるドキュメンタリーで、ページ数も少なくするする読めました。
    特に前半の市長選の様子は圧巻!

    ===

    つくばエクスプレスが出来て、わずか30分ほどで秋葉原駅に到着可能となった利便性も申し分ない流山。
    これから子供を産みたい、でも仕事も今まで通り続けたい。
    そう考えている私は、果たしてどんな政策を行っているのか気になりこの本を手に取りました。

    書籍を読んでいて一番惹かれたのは、流山市には市政としては異質なマーケティング課が存在することです。
    この課はアメリカで街づくりを徹底的に学んだ井崎市長肝入りの課。
    日本の自治体で唯一の課だそうです。
    発足当初にマーケティング課を起こすことについては、「行政が金儲けをたくらむなんて」と反対の声も多かったそうです。
    既得権に真っ向から立ち向かう姿勢には心打たれるものがありました。

    市政に携わる職員の方の活躍以外にも、流山の制度や土地を活かして自ら動こうとする人々の様子が多く描かれていました。
    本音を言えば人口増加率向上を達成するために行った施策についてもっと掘り下げたり数値的なデータを見たかったという思いもあります。
    しかし限りなく『人』にフォーカスしたところが、流山市の力強い面のアピールに一役買っているのかなとも思いました。

    文末のあとがきにある通り、「自ら機会を作り出す」人を後押しし、そのサポートを受け力強く踏み出していく人々が作り上げた結果が、今の流山市なのだと感じます。
    行政を「自分一人が声を上げても何も変わらない」と他人事にするのではなく、当事者の一人として行動していくこと。
    その大切さについて、改めて考えることが出来る書籍でした。

  • 自分が住む流山について、色々知ることが出来てとてもよかった。
    それでいて筆者の物語としてわかりやすく組み立てる能力が高く、本としても読みやすい良書。

  • 面白い。
    まちづくりって何となく地味なテーマですが、著者の巧みな文章構成で、関係者の方々の魅力がひきたっており、どんどん引き込まれます

  • 前半の駅直結の託児と園への送り施設や緑の多い街づくり、創業スクールなどは他の市区(町村は人口的に難しい)であれば参考になる取り組みだろう。
    ただ、中盤の良人材の人的リソースに関しては立地の割に地価が安いという事実がなければ集まらなかったわけで、そういう人に選んでもらえる立地でなければマネはできない。
    後半は田中角栄まで出てきてノスタルジーがすぎるきらいを感じます。

    東京からの立地の割に地価が安いという良コスパが前提としてあった上で集まった良人材が、正しい方向性の施策を講じたことによって発展した流山市。
    駅前の地価がどんどん高くなり、段々とコスパに見合わなくなった時に人口はどうなるのでしょうか。
    良コスパを持つ未来の流山市に人口は流れるのか。
    それとも開発を続けた流山が名実ともに千葉のニコタマとして発展を続けるのか。
    注目です。

  • 流山を今の形にした重要人物や、活躍している人たちにスポットライトを当てることで流山の成り立ちがよくわかる。

    実際住んでみての満足度をずっとキープするのはやっぱり難しいところもありそう。
    作っていく楽しさがなくなったら?
    今の子育て世代の子育てが終わったら?

    なんか既に盛り上がりのピークは去った感。
    これからどうなっていくかも楽しみです。

  • 東2法経図・6F開架:318.2A/O66n//K

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著者プロフィール

大西 康之(オオニシ ヤスユキ)
ジャーナリスト
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

「2021年 『起業の天才!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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