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- / ISBN・EAN: 9784108990951
感想・レビュー・書評
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【展覧会】
没後25年有元利夫展 天空の音楽
主催:産経新聞社
会場:東京都庭園美術館
会期:2010年7月3日(土)~2010年9月5日(日)
入場料:一般 1,000円
入場日:2010年8月1日(日)
「フレスコ画のような優しい色合いの絵肌。画面に登場する不思議な人物。いつ、誰が描いた絵なのでしょうか。この絵を描いたのは、有元利夫(1946-1985)という1970年代半ばから85年にかけて活躍した画家です。西洋のフレスコ画と日本の仏画の影響を受け、洋画でも日本画でもない、独自の表現世界を切り拓いた画家として一世を風靡し、これからの活躍を期待されるときに若くして亡くなりました。(38歳)」(ホームページより)
宮本輝さんの本の表紙に何度か使われた有元利夫の作品。有元利夫を知る前に宮本輝の表紙でなじんでしまった、と言ったところです。
Amazonで検索してみたら「錦繍」「青が散る」「胸の香り」「春の夢」「彗星物語」「星々の悲しみ」「真夏の犬」「愉楽の園」「異国の窓から」「葡萄と郷愁」「海辺の扉」等に、有元利夫の作品が使われていました。
三番町小川美術館が多数の有元さんの作品を所蔵しているので、今回の前は、小川美術館で拝見しました。2000年3月ですので10年前です。月日のたつのは早いですね。
会場に入って、広間から最初の小部屋に入ると有元さんの出発点となった「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」1973年、卒業制作の10点のうちの5点が展示されています。東京芸大が買い上げて所蔵している作品です。ピエロ・デラ・フランチェスカの作品を模写したような作品から独自の構成のものまであります。
ピエロ・デラ・フランチェスカの壁画は、1974年にイタリアへ行った際に見たことがあります。有元さんが見に行ったあとということになりそうです。
イタリアのフレスコ画に日本画に似たものを感じたようです。
絵に描かれた人物や風景は国籍も、時代も不明ですが、フレスコ画による永遠性を求めたのでしょうか。手は、主張が強いので、あまり描かない。足も動きの方向などがわかるので、スカートに隠れてわからないようにする、とか、なるべく主張をしない絵画を目指したようです。
その一方で、フーガ、カノン、ロンド、等の音楽にまつわる題名の絵も多くあります。バロック音楽が好きだったようで、音楽を聴きながら制作していたようです。
絵画の他に、彫刻作品、大皿、湯呑、スタンプ、スケッチ帖、長男のための鯉のぼり、等も展示してあります。珍しいものとしては、小学生のころに描いたというゴッホ風の作品、星月夜、糸杉、があります。
骨董の趣味があったということで、アジアで作られた仏像の手が展示してありました。
今まで見た有元利夫の展覧会で、一番充実していたように思います。
(2010年8月1日・記)詳細をみるコメント0件をすべて表示