- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120004360
感想・レビュー・書評
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著者は、トマス・クーンのもとで学び「パラダイム」の概念をいち早く日本に紹介した科学史家として知られています。
著者はまず、科学と生産様式を直結させるマルクス主義の科学史研究を批判しています。マルクス主義の科学史研究では、学問の中核をなす学説を取り巻いているさまざまな社会的条件をいっきょに飛ばしてしまっているというのです。そのうえで著者は、紙や印刷といったメディア、あるいは雑誌や学会といった組織など、さまざまなレヴェルで学問という営みを形成している要因について、社会学的な立場から考察をおこなっています。
冒頭で「パラダイム」の概念が説明されていますが、科学理論の変遷についての議論はあまり多くありません。いわゆるエディンバラ学派のように、科学理論それ自体が社会的に構成されているといった主張は控えられており、マートンに代表される古典的な科学社会学の立場が守られています。もちろん2000年以上におよぶ東西の学問の歴史を視野に収めている本なので、専門的な科学史研究のような実証性を期することはできませんが、学問的な営為の歴史について大きな枠組みを示しているところに本書の意義があるのではないかと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学問の歴史は、科学史と大学史が密接に関連している。そして、大学も科学も誕生する前から、学問は存在していた。その上で、西洋・中東・中国の学問を比較する視座は、これまで学んでいなかったので、たいへん参考になった。
今日の大学に関する諸課題は、その歴史を参照すれば、とりわけ問題視すること程のものでなく、制度や社会の現象として、既に作為的に織り込まれていたものもあったのではないかと思った。 -
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