コロンブスをペテンにかけた男: 騎士ジョン・マンデヴィルの謎

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120029790

感想・レビュー・書評

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  • なんだろう、この全編にただよう支離滅裂さは。中世に陸路で中国まで行き、プレスタージョンの治める国にも立ち寄り、東洋の奇譚に満ちた旅行記を書いた(と言われている)騎士の足跡を辿り、その真偽を確かめる筆者だが、イスラエルやシリア、エジプトに行って調べてきた内容や結論がなんとも、ぼやっとしていて、何も言ってないのと変わらない。しかも論点がどんどんズレていく。ただの筆者の珍道中として読むならいいのかもしれない。

  • 14〜16世紀のヨーロッパで大ベストセラーとなりコロンブスにも影響を与えたとされるにも関わらず、現在ではその記述のすべてが架空だと断定され世に知られることもなくなった「サー・ジョン・マンデヴィル旅行記」。筆者はその真贋を検証しようと、旅行記に記されたイスタンブール、シリア、エルサレムなどに実地取材に赴く。前作の「スパイス戦争」もそうだったけれど、相変わらず主題のつかみが素晴らしい。しかし、「スパイス戦争」とは違って、「永遠の謎である」「断言できない」といった不確定要素が多すぎて著しく興を削がれる。だったら書かなきゃいいのにと思うのだが、これだけの労力や金を投じてしまった手前、引くに引けなくなったのだろう。加えて著者の責任ではないが、「コロンブスをペテンにかけた男」という邦題そのものが「ペテン」である(笑)。そこまで言うかと。しかし、「マンデヴィルの旅行記」の存在を知ったこと自体は収穫だった。著者には失礼だけれど、「旅行記」を読めば本書の必要はないようにも思える。とネガティブなことを書き連ねてきたが、著者の着想、取材・調査にかける粘着力には瞠目すべきものがある。引き続きジャイルズ・ミルトンには注目していきたい。

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著者プロフィール

ジャイルズ・ミルトン(Giles Milton)
1966年、イギリス、バッキンガムシャー生まれ。ブリストル大学で学ぶ。作家・ジャーナリストとして、ヨーロッパや中東、アジアで取材活動を行う。1996年、『コロンブスをペテンにかけた男――騎士ジョン・マンデヴィルの謎』(中央公論新社)を発表、高い評価を得る。本書はイギリスでベストセラーになり、他に『さむらいウィリアム――三浦按針の生きた時代』『レーニン対イギリス秘密情報部』(原書房)『奴隷になったイギリス人の物語(アスペクト)などがある。

「2022年 『スパイス戦争 大航海時代の冒険者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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