- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120030154
作品紹介・あらすじ
イギリスを鏡として「日本」を語る-深い思索と体験が紡ぎ出す興趣溢れる知的空間。
感想・レビュー・書評
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イギリス人と直接、間接的に付合う機会があり、彼らに「ジェントルマン」を見る機会は少ないが、狡賢さには憤慨したり下を巻くことが多い。かといって完全なる敵対、警戒をさせることなく、ユーモアを見せることがある。彼らの思想がどのように作られたか興味があり、本書を読んでみた。下記の事が分かった。
①イギリスはヨーロッパ大陸に近い「島国」で、外部からの様々な勢力の流入、侵入が有った。が、前からいるものは根絶やしにされることは出来ずに取り込まれていった。それが幾層にも重なった国なのである。
彼らは前のものを殺さずに、むしろそれを取り込み、押さえつけつつ力の運営によって靡かせていく。どちらも相手を完全には圧倒しきれないことを知っているから、お互いがギリギリのところで取引をする文化が生まれる。
②「人間は自分の頭と知恵と腕を使って生きていくものだ」という教えが代々伝わっている。
③少々虚勢を張ってでも、世の中全体がおかしくなったら自分一人だけでも手を挙げて「それはおかしい」と言って譲らないこと、そしてそういう人が本当に偉いのだという評価の座標軸、真のリーダーを見抜く目を持つ。そいうった「新しい野蛮さ」を持っている。
①が基本的に日本とは異なるところであり、気をつけなければならなく、学ぶべきこと。②、③については以前の日本では持っていた特性であり、再度思い起こす必要がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「イギリス病」時のイギリスの社会的な雰囲気の話が印象的だった
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滞在中のオーストラリアではイギリスの影響をここかしこに見ることができる。エリザベス女王を元首に戴いているイギリス連邦の国だからあたりまえだけど。ということで、ちょっとイギリスのことを勉強しようと思って手に取ったのがこの本。イギリス貴族と結婚(そして離婚)したマークス寿子さんと、保守派の国際政治学者の中西輝政さんの対談だ。二人とも何かと叩かれることが多い人たちだか、目から鱗なことが多かった。ただ、イギリスの宗教に関する認識と関心の低さを感じた。日本の学問世界一般の傾向ではあるが、人間の根本を規定するところの宗教に対する理解不足は、どうしても社会認識の浅薄さにつながってしまい残念だ。あと、二人とも上流階級な「上から目線」が過ぎるように感じた。