悪いやつら―謀将宇喜多直家

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120034701

作品紹介・あらすじ

幼い頃、「阿呆う」を装い怨敵を欺いて生きのび、のちに梟雄となった宇喜多直家。その前半生と、彼を支えた名もなき人びとの人間像を見事に描き切った歴史長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 謀将!
    梟雄!!
    って響き良いですよね。卑怯、狡猾、非道だとかの意味の裏で「頭良いんだぜ、フフン」って確実に言ってる、と思う。
    それはそうと、本作は、備前の梟雄・宇喜多直家の幼少期から、仇敵・島村貫阿弥入道を倒すところまでのおはなし。幼少の直家は、普段は愚鈍な様子を振る舞い、ヘラヘラ笑いながら鼻水垂れ、奇声を発する阿呆な子どもを装っているけれど、危機的状況での本気モードがカッコ良い、そのギャップたるや大層な魅力。
    全体的に見ると、普通の歴史小説なんだけど、所々罠のようにドカンとした引き付け場面が仕掛けられてるので油断はできない。仇討ちシーンなんて数行なのに、えらく印象深い。篝火を背にして床机に腰掛け、周囲にずらりと弓勢を並べて不敵に微笑む直家の顔が容易に想像できる、カッコよい‼︎
    乙子村に所領を得てからの展開がどうにも駆け足だったのは残念だけれども、この作品、我が郷土、馴染みの場所が描かれていることもあってか、期待以上に愉しめた。

  • 祖父を政敵に殺されて以来,阿呆になることで生き延びてきた八郎(宇喜多直家)は,強欲な奴らと組んで,のし上がっていく。

    最初は「モンテ・クリスト伯」のようなドキドキ感だが,だんだん
    きれいごとではなくなっていく。
    後味は良くないが,それが現実なのかも。

  • 物語の大半は直家の少年~青年期なんですが、直家自身というより周りの人や勢力についてが多いかも。
    確かにみんなそれなりに「悪いやつら」ですね…

  • 内容の3/4は、直家の元服前のお話です。
    牛飼いとして、阿呆を演じていた頃のことが延々と書かれています。
    残りの1/4で、乙子城のことが少し触れられて、舅謀殺云々は、極あっさりと書かれていました。

    タイトルの「悪いやつら」は、八郎を取り巻く人々(島村や浦上等々)と、悪意を抱く直家自身やその従者についてだろうと思われます。
    途中、「性善説」を唱える孟子と「性悪説」をとなえる荀子について述べられています。
    人の本性は悪であるからこそ、荀子は「礼をもって悪を抑える」という考えを、その弟子の韓非子は、「法術(法と刑罰)をもって悪を抑える」という考えを提示しています。
    直家の悪を肯定化する思想の構成要素として、この考えがあったように描かれています。

    悪意を抱いた以降の、ふっきれた直家の有様は痛快です。乙子城時代の夜盗や辻斬りや結婚後の謀殺悪事云々は、「宇喜多再興のために必要なこと」の一言で尽きてしまいます。
    「宇喜多のためならなんでもするよ」、これこそ直家!と思っている私としては、元服以降の話が充実していないので、ガッカリでした。
    この本の著者である東郷 隆さんは、物語を描くよりも、史実の解説を書くほうが向いていると思いました。それならこれよりも断然面白くて興味深い物になるに違いないと思います。

  • オリキャラが主人公な本。沼城奪取まで描かれてます。

  • 2008/2/14:宇喜多直家の本とか珍しげ? と思って読んだんですが……え、あんまり宇喜多出てなくない……?(呆然) 祖父宇喜多能家の居城砥石城を出て、父興家も死に、村の牛飼いとして阿呆の子を演じている辺りから、仇の島村盛実を討つ所まで。まぁ、実際出てるのは失食の日とかやってるとこまでです……脇役ばっかりだよ! 前半はそこそこ面白いんですけど、後半がうーん……。

  • 7割くらい左衛門尉の目線。<br>
    直家を悪人だと言ってるのかと思ったら出てきた人の3分の2くらいは悪いやつ(笑)

  • 直家の本かと思ったら…何だか微妙に違って残念だった。仇を取るまでの直家の周辺を書いていますが、今ひとつすっきりしない感じでした。いっそのこと、はっきりと脇に置けばいいのに、中途半端に関わるおかげで話も中途半端な気がします。

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著者プロフィール

東郷隆/横浜市生まれ。国学院大学卒。同大博物館学研究員、編集者を経て、作家に。詳細な時代考証に基づいた歴史小説を執筆し、その博学卓識ぶりはつとに有名。1990年『人造記』等で直木賞候補になり、93年『大砲松』で吉川英治文学新人賞、2004年『狙うて候 銃豪村田経芳の生涯』で新田次郎文学賞、12年『本朝甲冑奇談』で舟橋聖一賞を受賞。その他著書多数。

「2022年 『妖変未来記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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