職業としての大学教授 (中公叢書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.61
  • (3)
  • (9)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 106
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040672

作品紹介・あらすじ

学問に近道はない、教授への近道はもっとない。大学教員は、どう育成され、どう選抜されているのか。米英仏独と日本を比較して、明らかになるメカニズム。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ふむ

  • 図書館で見つけた潮木さんの本。
    博士課程取得から大学教授になるまでのプロセスを、豊富なデータを用いて、独仏英米と日本の比較からあぶり出す。

    要するに日本は、グランドデザインを欠く、というか、身内に甘い優しい国なのだ。優しすぎて身を滅ぼす。

  • アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本の博士号をとるまでの過程や教授への出世の仕方の違いなどが書いてあり、興味深く読むことができます。,日本・フランスはどちらかというと公平ではないイメージを持ちました。(日本の方がひどい)

  • 院進して、大学教員志望の方は必見。
    まさに日本は、大学教員死亡の様相である。
    もう10年近く前のものになったので、現状が気になって仕方がない。
    第4章と終章だけでも読んでほしい。覚悟の書。

  • 日本の特殊性を米国、英国、ドイツ、フランス等と比較している。
    日本は煙突型を超えて逆ピラミッド型になっているらしい。
    内側に居る自分としては、もうかなり普通に思うことも多いが、やはり異常なのだろう。
    もう少し問題点に正面から挑んでくれることを期待したのだが、妙に第三者的な記述と感じてしまうのは、著者が現役ではなく既に「上がり」だからだろうか。

  • 論文博士という道がある
    修士課程2年間で500万
    博士課程5年間では1200万以上損する
    大学教員市場は17万人
    社会人から大学教員になる割合が約4割
    大学院の修了と同時に助手か講師に採用される割合は1割
    大学教員の養成過程としては量的に不均衡である
    助手の採用時平均年齢は32歳
    少子化のため、大学教員の新規採用数が減る
    大学教員になるコスト
    年数、確率、逃した所得
    利点
    知的冒険、自由度
    やはり研究が楽しいと思えるかどうか
    給与は国立私立たいして変わらない
    優遇も制裁もない
    日本の教授の満足度は低い
    大学教員は研究に没頭できるわけではない
    大学教員には選抜が必要、その上でセーフティネットも必要
    任期付雇用では供給過剰には対応できない
    学部卒、修士修了の段階で将来大学教員、研究者としてやっていけるだけの能力、ガッツがあるかわかる
    青春は二度と繰り返せない
    研究、起業、二つの両輪を回す

  •  日本の大学教授というものが、世界各国の大学と比べていかにいびつかが分かる。しかしながら、この本はそれを責めるよりも、これからの未来について語っている。
    (各国の大学だってそれぞれ問題はありいびつだということは示されている)

     よりよい教育、よりよい未来に向けての提言の本でした。
     データは多いけど素人にも読みやすかった。

  • 事例研究課題文献。テーマはテニュアトラックとポスドク問題であり、先生がまず最初に読むべき本として掲げた。ウェーバーの「職業としての政治」「職業としての学問」に表題が似ているなと思いながら、学習上で大切な個所をマークしながら読んだ。

    一読して率直な感想は、第5章「変化を続ける大学」の構成上の位置付けが分かりにくい点である。1~4章のドライな教員数統計には多くの重要な指摘事項が埋め込まれている。しかし5章からアメリカの商業化・企業化した大学の紹介が約20頁に渡り述べられている。クラーク、ボック、カーの論を引用しながらクラシックな大学教授の像を壊すのが目的なのか。だとすれば、1章を割くより第3章のどこかで少し触れる程度でよかったのではないか。個人的には4章→終章のアーティキュレーションの方がスムーズな感じがした。5章のテーマには、類書がとても多いので別の場で考えることもできる。企業人となった大学教授に関する新データの提示があればよかったかもしれない。

  • 資料ID:21103999
    請求記号:
    配置場所:新書コーナー

  • 「日本とはどういう国なのか、それを知るには、他の国を知らなければならない。他の国とは自分の顔をみるためにかかげられた鏡である」
    これが潮木先生の基本スタンスである。
    本書は、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツの大学教員について様々なデータにより比較することで、日本の大学教員、ひいては日本の大学の特徴や問題点を明らかにしている。
    フランスの大学教員の中等教育との連続性、ワーク・エデュケーション・バランス、「20のクラークの特徴」など、実務(大学職員です)に活かせる内容も多い。
    p196-197の5つのまとめは仕事をする上で忘れないようにしよう。しかし、最後の「博士課程の募集停止」は本当に「重い切った提案」だなぁ!

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1934年、神奈川県生まれ。現在、桜美林大学大学院国際学研究科招聘教授。教育社会学専攻。
[主要著書]
『世界の大学危機』(中公新書、2004年)、『大学再生への具体像』(東信堂、2007年)、『フンボルト理念の終焉?』(東信堂、2008年)など。

「2008年 『ベトナムにおける初等教育の普遍化政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

潮木守一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×