地域再生の新戦略 (中公叢書)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041044

作品紹介・あらすじ

地域社会の荒廃が進んでいる。拡大する地域格差、グローバル化によりさらに進む産業空洞化、深刻化する自治体の財政危機…。一方で、まがりなりにも地方分権が進み、これまで以上に各地域の自立が迫られている。低成長時代の新たな発展戦略をどのように描き、限られた資源を何に投資すべきなのか。本書では各地の事例を紹介しながら、地域再生の方策を具体的に描くためのヒントを示す。

感想・レビュー・書評

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  • 知人を介して、お名前を知る。

    アマゾンで注文しようとしたところ、
    近くの席の同僚の書棚の一番上に、
    びっしりと付箋が貼られ置いてあるのを発見した。

    読んで問題意識の近いことに驚く。

    というか、欧州では「このようになっている」ということなのだろう。

    それでは「こうなっていない」日本では、どうするか。
    単なる欧州のOSの導入だけでは不十分か。
    霊性を込める作業が必要なはずである。

  • 長野県の財政構造改革の事例が興味深かった。発展には非物質的要素が重要であり、人的資本と社会関係資本に重点的に投資すべきという、本書の示す「地域再生の新戦略」には大筋で賛成。

  • ■愛媛県内子町は「まちづくり型観光」をうたっている。これは、地域住民自身にとって自らの誇りを再生させる作用と、それが観光客に対して持っている魅力を引き上げていく作用の両面があることがわかる。

    ■内子町と長浜が異なるもう一つの点は、役者のイニシアティブである。内子町の場合には、歴史的街並み保存地区の伝建制度適用をはじめとして、一貫して地域づくりのイニシアティブを内子町役場が握ってきた。これに対して長浜の場合は、徹底した民間主導で商店街の再生が成し遂げられたといってよい。〜役所は基盤整備や側面支援はできるが、いくら役所がまちづくりの旗を振ったところで、中心商店街の再興を担う主体が現れなければその実現は遠のいていく。内子町の場合も、役場がイニシアティブをとることはできても、最後はその担い手を育て、彼らが役場から独立して自立的に運動を担っていけるようにならなければ、決してその試みは持続可能なものとはならない。内子町役場が、自ら地域づくり運動を仕掛けておきながら、あえて町民を突き放し、補助金依存や行政依存にならないよう気をつけているのは、この点をよくわかっているからであろう。

    ■持続可能な地域発展の目標は、文化芸術が産業と結びついて所得と雇用を生み出すだけでなく、究極的にはそこに住む住民の福祉水準や生活の質の向上に置かれなければならない

    ■第一に、知識、ノウハウ、芸術、文化といった非物質的要素が、地域の発展にはきわめて重要な役割を果たす時代に入ったことを認識しなければならない。第二に、これらはモノではなくヒトから生み出されるが、人々の相互作用・相互影響によってさらに磨かれるため、その担い手を一定の地域に集積させることは重要な意味を持つ。第三に、その地域に集積した人々が相互に影響を与えあいながら「暗黙知」を形成し、「創造的風土」を形成していくことが、これからの地域の持続可能な発展にとって決定的に重要な要素になっていく。

    ■横浜市に特に顕著にみられる特徴として公設民営方式の徹底と、スピード感をもって実験事業をともかくも始め、失敗を恐れずに試みる市の姿勢を挙げることができる。

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著者プロフィール

諸富 徹(もろとみ・とおる):1968年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は財政学・環境経済学。『グローバル・タックスーー国境を超える課税権力』(岩波新書)、『人口減少時代の都市』(中公新書)、『私たちはなぜ税金を納めるのか』(新潮選書)、『資本主義の新しい形 (シリーズ現代経済の展望)』(岩波書店)他著書多数。

「2024年 『税という社会の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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