- Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120042324
作品紹介・あらすじ
大震災からの12日間。短歌による記憶と記録。
感想・レビュー・書評
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神戸の震災から15年ほどして、東北の震災があって、それから13年たった2024年の元旦、能登で大きな地震があったことが伝えられて2日経ちました。
ボクが住んでいるのは神戸の西の端の町ですが、このあたりでも、1995年の、あの朝を思い起こさせる、次の大きな揺れを想像させるのは十分な小さな揺れがかなり長いあいだ続いて、息をつめながらガスの元栓を止め、玄関のドアやガラス戸の錠をはずし、それがおさっまってテレビをつけると惨状が伝えられ始めました。
長谷川櫂が東北の震災の年の1年間、彼は俳人ですが、詠んだ、なんと短歌!が収められている歌集で、昨秋、何と、地震から十数年後に池澤夏樹の書評集で知り、市民図書館で見つけて読みました。
で、今日、そのことを思い出して書いています。「歌集」の感想はブログに書いています。
それにしても、能登は雪なのでしょうか。被災地の皆さんのご無事を祈ることしかできません。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202312110000/
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言葉とは心より萌ゆる木の葉にて人の心を正しく伝ふ(p.84)
時が経つにつれて東日本大震災の記憶が風化していくのは避けられないことだが、それに極力抗うにはどうすればいいのか?一つの答えとして、「発災直後に書かれたものを読む」が挙げられると思う。
この本は俳人の長谷川櫂さんが2011年3月11日から12日間に湧き出てきた短歌をまとめたものである。あとがきの日付は3月27日。まさに当時の記録をスピード出版したもので、短歌といえども生々しい記憶を呼び起こさせる。
夥しき死者を焼くべき焼き場さへ流されてしまひぬといふ町長の嘆き(p.9)
つつましきみちのくの人哀しけれ苦しきときもみづからを責む(p.129)
人々の嘆きみちみつるみちのくを心してゆけ桜前線(p.134)
12日間といっても歌の数は130首前後に及ぶ。著者が記している通り、「やむにやまれぬ心」で詠んだ、率直で荒々しい歌の力を感じる。 -
During the first twelve days after the March 11 earthquake in 2011, Hasegawa wrote 119 tanka poems about the chaos engulfing Japan; the devastation of the landscape and the loss of human life, the mismanagement of the country's nuclear power stations, the lack of political leadership, and the terrifying reminder of the potentially devastating force of nature.
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俳人長谷川櫂は、3月11日夜、湧き上がる荒々しい短歌のリズムに襲われた。なぜ短歌なのか、「やむにやまれぬ思い」としかいえないという。
総身が激しくゆさぶられたとき、深い記憶が呼び覚まされ、うたを詠み始めた「普通の人たち」が、いまこの国には、たくさんいるにちがいない。 -
歌の力を信じてきた日本人。これからもそうありたい。
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俳人である氏が、理由もわからないまま、突き動かされるように短歌で東北関東大震災を歌った。飾らない言葉でのストレートな表現は、理由などないままこちらにも伝わってくる。
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元読売新聞記者の俳人の書。
・乳飲み子を抱きしめしまま溺れたる若き母をみつ昼のうつつに
・高飛車に津波対策費仕分けせし蓮舫が「節電してください!」だなんて
・「こんなとき卒業してゆく君たちはきっと強く生きる」と校長の言葉
・わが家の泣き虫妻よ泣くなかれ被災地の学校の卒業式に
・被災せし老婆の口をもれいづる「ご迷惑おかけして申しわけありません」
・身一つで放り出された被災者あなたがそんなこといはなくていい
・つつましきみちのくの人哀しけれ苦しきときもみづからを責む