魔法飛行

著者 :
  • 中央公論新社
3.51
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本棚登録 : 394
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043215

作品紹介・あらすじ

思い出す機能は、いつもわたしたちの中にある-『ヘヴン』『すべて真夜中の恋人たち』の川上未映子が大震災をまたぐ約一年間を綴ったエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 同世代というただそれだけで著者にシンパシーを感じてしまう。人によって好き嫌いがわかれそうだけど、言葉の操り方や節回しが嗜好に合っているというか、視点や思考も割と近いのかもしれない

  • 散文詩のような、どこか地に足付いてないような川上ワールドの虜になってしまいました。彼女の言葉の操り方は独特だけど、初めて目にするような単語の組み合わせ方がすごく新鮮で、この連載のタイトル「発光地帯」そのままに文字のひとつひとつが熱をもってきらきら光っているように感じました。色が見えるようなんだよね、彼女の表現って。
    ふっと笑っちゃうような川上さんの日常のエピソードもいちいちおかしくってかわいらしくって、なごむなぁ。彼女のエッセイってどう着地するかが読めないので、そんなところも好きである。
    そして、装丁もとっても素敵!!プロペラと羽、そして裏表紙と見返しのコンパスのイラストに惹かれました。このエッセイにすごく合ってるなと。まさに「魔法飛行」です。

  • 子どもや動物が好きで身近なお姉さん的な雰囲気もあるけど
    やっぱり川上さんは普段から川上未映子なんだなー。
    栽培している椎茸の木にスタンガンを向けて、「ラムちゃん」と呟いている
    川上さんを想像すると萌える。

    詩的すぎて理解できない所もあるけど、独特の言葉選びが素敵で
    ぼんやり淡い光を放っているようなエッセイ。

    ページの見開きに書いてある「魔法飛行」の文字と
    しおりの青いひもがかわいい。

  • 言葉選びが好み、つらつら読む本

    とけるような甘い限界、
    メイプルシロップが湯に溶ける2秒のための、
    眠りぎわと起きぎわだったら眠りぎわが気持ちいいこととか。

  • 特によかった
    ・ぼくのお母さん
    ・花火のあとで
    ・観察をつづける
    ・ほんとうのことを伝えよう
    ・あのとき、薄紙が抱いたもの
    ・歯科医院にて

    その他いいなと思った箇所はフレーズのほうにまとめた

  • 3.11前後に書かれた川上さんのエッセイ、もしくは日記、あるいは詩のような文章たち。

    ”〜〜だけど、〜〜だけど、〜〜で、”みたいな感じの、途切れない文章に戸惑いながら読んだ。
    複雑な文章たちは、まるで川上さんの頭のなかのようだと思ったけど、川上さんが”他者から見られる自分”を意識して書かれたのかもしれないとも思った。川上さん自身が川上さんの作品とでもいうべきだろうか。

    ストーカー被害に遭い続けているので、スタンガンを持っていると書かれていた。そのあとすぐに椎茸の話題に戻ってしまったが、ストーカーの話をもっと知りたかった。

  • バージニアオリーブオイルというスタンド

  • エッセイ発光地帯の続編。目次を読むだけで詩的。

    公園でお母さんの帰りを待つ兄妹の話、「ぼくのお母さん」がとても印象的だった。川上未映子さんの子供達への接し方が素敵。

    エッセイの中で直接は触れていないけれど、幼少期時代の母親という存在が、大人になった今でも、自身にかなり大きく影響しているのだなぁって思う。

    考え方や感じ方が、とても自分と似通っていて、それを文章として表現してくれるので、どこか安心してしまう。

    文字の羅列を解読したくなるような、いや、そのまま受け止めたくなるような。

    「しかし世界には信じられないくらいにエレガントな音楽が絶えず流れつづけていること」で、阿部和重『シンセミア』について、"世界はこんなにもどうしようもないのに、誰も彼も本当にもうどうしようもないのに、しかし世界には、信じられないくらいにエレガントで、生まれてこなければ聴くことも叶わなかった素晴らしい音楽が欲望と叫びと崩壊とともに絶えず流れつづけていることを、そしてそこに「人間」がいる限りそれは決して鳴り止まないのだということを無言で差し出してくれる。”
    と書かれてて、大切な人を喪ったことを私も一緒に思い出した。

  • 発光地帯に続くエッセイ集。次作に「安心毛布」あり。とても読みにくいが、リズムに慣れてしまうと言葉の使い方がうまい作家だと感じる。

  • 週に一回ネットで公開されていた食べ物のエッセイをまとめた一冊

    食べ物のエッセイだから、食べ物のエッセイだからと軌道修正するも結構脱線しがちで、普通のエッセイに近い感じ。

    はじめての人だからかもしれないけれど、ふわふわした夢のような文章を書く人で中々進まなくて、読むのやめちゃおっかなって思いながらの読み出し。

    詩が途中に入ったり、遊園地みたいな文章だった。

    好き嫌いがすごくわかれるんじゃないかな。

    私は慣れてくると少しずつ読むのが苦で無くなり、読み終わることには楽しく読むことができた。

    今まであんまりなかった読書体験で不思議な感じ。ふわふわ、ふわふわ。

    考え方が独特で、どこがそうなのかというと、ブリ大根を作る場面があるんだけど、すごくおいしくできるのね。

    でも、それはレシピをなぞっただけだから味気なくって、機械のようで、創作ではないからってちょっとへこみながらそのすごくおいしいブリ大根を食べるの。

    おいしくできたらいいじゃない。作ったのはあなたなんだからと思うんだけど、彼女の中ではなんとなんとなく違うんだなぁと、すごく興味深かった。

    絶対にもうほかの本は読まないとか思ってたのに、またこんな体験をしたくなって、ほかのエッセイにも挑戦したくなった。

    詩とか、小説は苦手だからまたの機会に。 そんな本でした。ちょっとおすすめ。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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