- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120045509
作品紹介・あらすじ
まったく身に覚えのない「郵便不正事件」で逮捕された著者が、不当・巧妙な検察の取り調べを乗り越えて「無罪」を獲得。164日の勾留にも屈しなかったのはなぜか?今なお制度改革に闘い続けるのはなぜか?"信じられる司法制度"に必要な、3つの課題を訴える。事件の発端となった上村勉・元係長との特別対談、周防正行監督のインタビューを収録。
感想・レビュー・書評
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あっという間に読み終わりました。なぜ冤罪が生まれるのか、冤罪に巻き込まれたあと、どうやって検察から身を守れたのか、臨場感を持って知ることができました。
頭の回転の良さや、客観的な状況の分析、話が通じない中での交渉、忍耐力を持っていた事、人柄に魅力を感じました。
別の立場からの視点が、それも複数人も書いてある事も良かったです。例えば、事実とは異なる自白をさせられてしまった人が、取り調べの拘束中の日々で、実際に書いたノートが巻末にあった事、印象深かったです。
個人的には今後、取り調べの可視化や全部の証拠開示についての行方が気になります。冤罪は、他人事とは思えない、この社会が恐ろしいです。この本とは別の話になりますが、全く身に覚えがなく無罪なのに死刑判決が出てしまうとは、この社会は、とんでもない体制だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「郵便不正事件」のことは、当時テレビなどの報道で大まかな事しか知らなかったけど、この本を読み、改めて詳細を知ると、なんて恐ろしい事件なんだろうと思った。村木さんの「検事との一対一での取り調べは、プロボクサーと素人がレフェリーなしで闘うようなもの」という言葉から、こいつが犯人だという筋書きが出来上がると、覆すことはほぼ不可能に近いという事がわかる。全面可視化へと活動されているけど、色々な力が働き難しそう。いつ我が身に降りかかるかわからないだけに恐ろしい。
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※数年前に図書館利用
村木厚子さんと佐藤優さんの本を読むと、国家権力の恐ろしさをまざまざと感じる。
こんなことがまかり通って許される日本って、どうなってしまうのだろうと心配になってしまう。
国民の監視が本当に重要。無関心では駄目、国民も勉強して関心を寄せなければと思った。
後、自分の行動の記録をつけることの重要性を痛感した。直接関係ないけど、実際の勤務記録(残業申告ではなく)過労死の証明にも必要だと働いてたときに先輩に言われたことを思い出した。 -
一度決めたゴールに向かって、事実をねじ曲げ真実に目を瞑って都合の悪い証拠は隠す、もしくは改竄しながらひたすらに耳栓をしたまま爆走する姿は今の時期にはどうしても他のことを想像してしまう
どうして事実を集め、一度リセットするかどうかを改めて検討してみる。それだけの事ができないんだろう?バカにするのはそろそろやめにしていただきたい
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なんでやってもいないことを調書にして、それを証拠にする?どういうこと?
P93 検察というのは、「本当はどうだったのか」ということには何も関心もないのだな、と感じました。それより、自分たちの冒頭陳述を守ることに全力を傾ける。途中で新しいことが分かっても、自分たちのストーリーと違えば、一切無視して、自分たちの物語だけを守っていく。つまり、真実はどうあれ、裁判で勝つことだけが大事というのが彼らの行動原理。 -
酷い話であり、これがフィクションでないところが恐ろしい。そのストーリーに仕上げたくて、証拠を探す、ってことはあるのだろうが、これは完全に間違ったな、と思った時に引き返せないという不思議。間違ってても誘導しちゃえ、という酷さ。
最初にマスコミに出た時、この人が悪い人って感じでテレビ見てたから、自分も十分操作されるポテンシャル持っている。。 -
検察の暴走を象徴する「郵便不正事件」で無罪を勝ち取った村木厚子氏が事件の顛末を語る。
巨悪を勝手に想像して描いた筋書きから逃れられず、引き返すこともできない検察の闇と、その検察の圧倒的な権力と不透明性に人権が蹂躙されていく。HEROのようなTVドラマの罪深さを感じるが、木村拓哉が検察側の罪人を演じているのはその贖罪意識からなのだろうか。 -
村木さんが、検察官から他の関係者の虚偽の供述調書の内容について聞いた後、「どうしてみんな嘘をつくのでしょう」と問うたのに対し、弘中弁護士は「誰も嘘なんかついていない。検事は勝手に作文をして、そこからバーゲニング(交渉)が始まるんだ。供述調書とはそういうものなんだ」と言って励ました。本書は、供述調書がいかに検察官の作文であるかを露呈するものだ。村木さんは、検察の土俵で勝つことはできなくても、負けない、すなわち、虚偽自白調書を作らせないよう、交渉能力や表現のチェック能力を生かして調書の訂正申立をし続けた。
しかし、このようなことは誰にでもできるものではない。現に、公判定で調書と異なる証言をした上村さんが追い詰められて虚偽自白をさせられていく過程が、付録として被疑者ノートとして読める貴重な文献が付いている。検察の検証は内部にとどまり、取調べの構造や、調書の作り方を改めることはなかった。調書は取り調べをした毎に必ず作るものではないということは、現在も検察官が述べるところだ。まさに、都合の良い所だけを拾って作文をしているのである。録音録画の制度化を受け、調書について抜本的に見直しを行う時期が来ている。 -
冤罪事件を通じて、本来なら身近な人しか知り得なかった、村木厚子さんの深い人間性が鮮やかに描かれる。それぐらい世の中は視界が曇っているのだろう。江川紹子さんによる被疑者ノートの書き起こしも圧巻。
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ひでえ話だ。
著者の人柄がにじみ出てくるのが救いであるが、検察の酷さがこれでもかと描かれている。
所詮は組織の正義を優先する公務員なんだろうと思わせる。
俺だったら、半日で何でもゲロするだろう。
これ以降、さほど改善されてないだろうと思われるのが遣る瀬無い。