リズムの哲学ノート (単行本)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050664

作品紹介・あらすじ

身体を巡る先人の思索を批判的に継承しつつ、人間至上主義を超えた真の自由の可能性を探究する。積年のテーマに挑んだ集大成の書。

感想・レビュー・書評

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  • 数年に一冊出会う名著がある。私にとってこの書籍がそれであり、己の言葉にできていなかった思いが言葉として記されている。咀嚼させていただきます。

  • 身体を巡る先人の思索を批判的に継承しつつ、人間至上主義を超えた真の自由の可能性を探究する。積年のテーマに挑んだ集大成の書。

  • ベルクソンやメルロ=ポンティ、マイケル・ポラニーといった哲学者たちや、さまざまな自然科学上の業績などを自由に参照しながら、人間と生命の存在を構成している「リズム」について考察をおこなっています。

    著者は、ルートヴィヒ・クラーゲスやベルクソンの「生の哲学」に一定の評価をあたえながらも、彼らが生の能動性を重視する一方で、原受動的な次元における生命の「リズム」をとらえそこねているのではないかという批判をおこないます。さらに、メルロ=ポンティの身体論においても、分析的な知性がそこから生い立ってくる身体のリズムはなお明瞭に認められていなかったと述べて、そうした次元についての考察がなされるべきだと主張しています。

    従来の哲学や思想において十分に考察の対象とされてこなかった根源的な「リズム」に目を向けようとする著者の視点は、たいへん興味深いと感じました。ただ、本書の議論はそうした視点を示すにとどまっており、具体的な展開はいまだ見られないように感じました。

    また、有機的で目的論的な生命のさらに根底に、無機的もしくは盲目的な動性を論じるのであれば、ベルクソンのような生の哲学よりもフロイト以来の精神分析の流れに目を向けるべきではないかと思うのですが、そうした方面への目配りはなされておらず、少し不満を覚えます。

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著者プロフィール

1934年生。京都大学大学院博士課程修了。中央教育審議会前会長。大阪大学名誉教授。『世阿弥』河出書房新社 1964年、『鴎外 闘う家長』河出書房新社 1972年、『文明としての教育』新潮新書 2007年など

「2010年 『「教養」のリメーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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