- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120050893
作品紹介・あらすじ
「魂が神宮球場から離れない」4年間80連敗のまま卒部した副将は、そう呻いた。二〇一九年に「創部百年」を迎える東大野球部は、日本野球のルーツというべき伝統を誇る。戦火の中、沖縄に消えた英雄や、「赤門旋風」の主役たち、150キロ左腕宮台康平らへの徹底取材を通じて、謎を秘めた集団を解剖する。野球の「本質」と、ひとつの目標に向かってひた走ることの「価値」を思い出させる渾身のルポルタージュ。目 次第一章 沖縄に散った英雄第二章 栄光と敗北の歴史第三章 伝説の最多投手第四章 赤門旋風第五章 連敗の苦悩第六章 執念の連敗脱出第七章 現われた怪物第八章 苦闘の末に第九章 悲願の勝ち点おわりに
感想・レビュー・書評
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100年近い歴史を誇る東京六大学野球で、一度も
優勝経験が無いのは東京大学です。
なぜ私立大学の中に一校だけ国立大学が入って
いるのか。ましてや甲子園出場選手が集まる
私立大学と、一般受験を経て入部してくる東大
とでは勝負になるはずがないのは当然です。
プロ野球のスカウトも東京六大学の選手は、
対戦相手の5校中1校は東大なので、その実力を
2割ほど差し引いて測るとまで言われています。
しかし違います。
東京大学野球部も常に勝利を目指しているのです。
負けて当然と思っている選手は一人もいません。
そんな勝負へのこだわりと、東京六大学野球の
歴史を学べる一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本野球のルーツというべき伝統を誇る東大野球部は、なぜ負け続けるのに挑戦をやめないのか。戦火の中、沖縄に消えた英雄や、「赤門旋風」の主役たち、150キロ左腕宮台康平らへの取材を通じて、謎を秘めた集団を解剖する。
東大に入れる学力を持った進学校の野球部員が、甲子園のスターが集う私学に挑む。負けが込んで当然だが、たまに能力の高いピッチャーが出てくる。史上初めて早慶から勝ち点を取って4位に躍進した投手、国立高校で甲子園に出た投手、後にNHKキャスターとなった投手、18年に日ハム入りした投手…。東都大学野球と違って入れ替え戦がないからこそだが、94連敗しようが飽くなき挑戦を続ける東大野球部の存在は、東京六大学野球のアイデンティティーだと思う。
(A) -
東大野球部100年の歴史の本ですが、なかなか内容が濃くて面白かったです!
東大野球部創世記に在籍した第2次世界大戦終戦時の沖縄知事で戦死した島田叡という人物がいかに偉大で、この人物こそが東京六大学野球に東大が入っている源であり、人間としても沖縄県民からいまだに島守として慕われており、東大野球部生からも敬服されている存在ということを初めて知りました。そして、100連敗に近づく不名誉な記録も作りながら、1勝、勝ち点1をあげるためのひたむきな姿勢に共感しました!
この本を読了したら、なんだか東大野球部を無性に応援したくなるのでした。 -
東大が連敗阻止した時は神宮球場で見ていたし、勝ち点取った試合はテレビで見ていた。その影に相当な苦労があったと思っていたが、それが如実に把握できた。
法政も頑張りゃなぁ! -
梯久美子「原民喜」に続き本作を読む。連続して良い作品に巡り合えて非常に喜ばしい限り。門田氏の著作も本当に外れがない。島守・島田叡の功績は知っていたつもりだったが、東大野球部にこの人ありと呼ばれていたとは全く知らなかった。島田の第一章の内容を膨らませるだけでも十分読み応えのある一冊になると思うが、この島田という人間を形成する上で大事な役割のひとつとなった東大野球部の100年を追い掛ける。野球にしても戦争にしても門田氏の得意分野だが、門田氏が描くと同じ対象の描写にも関わらず、グッと心に刺さるものがあり、知らず知らず涙してしまうんですねえ。真夏に読むこの作品はまた格別です。
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2018.7.3
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100年の歴史を刻もうとする東大・野球部を描くノンフィクション。
受験戦争を勝ち抜き、同世代では勝ち組とも思える東大生が試合で負け続け、一勝のために力を尽くす姿は何とも美しい。東京六大学も、東大ではなく東都リーグの強豪校を入れた方がリーグ戦としては面白かろうが、この必死さを見れば、非合理ながら今のままいて欲しいと思う。
緊迫した試合のテンポよい描写、東大野球部OBの沖縄県知事でじっくり人物を読ませるなど、さすが円熟の書き手であった。 -
「魂が神宮球場から離れない」4年間80連敗のまま卒部した副将は、そう呻いた。