母 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.50
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本棚登録 : 668
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054310

作品紹介・あらすじ

母が嫌いだった。わたしの脳内は母の固定観念で支配され、わたしはわたしが嫌いだった。母から逃げるように飛び出した東京、タバコとパチンコに溺れた日々、愛想もお金も無いわたしを雇ってくれた水商売&雀荘、ひと時の夢を見せてくれたオトコ、“笑い”で幸せを運んでくれた先輩たち、そして、自分より大事な存在となった娘……。自分のことが嫌いだったオンナ・青木さやかが、こじれた人生を一つ一つほどいていく。生きることの意味を追い求めるヒューマンストーリー。


母との確執やギャンブル依存症など、自身の経験を赤裸々に綴った「婦人公論.jp」で話題沸騰中の「47歳、おんな、今日のところは○○として」に、書籍だけのオリジナル原稿を加筆。

感想・レビュー・書評

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  • 国語の教師だったお母様との確執、上京して芸人として売れる前の同棲生活の様子や、またブレイクしてからの生きづらさが書かれています。


    心に残った言葉~
    「親になって気づいたことがある。自分を大切にしていないわたしは、自分の一番大切な存在である娘を、大切にするのがとても難しいのだ。」

    「毎日は忙しい。いろんなことを経験したって、とても未熟だ。イライラするし、傷つくし、大切な人を傷つけることもあるし、消えてなくなりたい夜もある。
    母が、生涯抱えていたであろう生きづらさのようなものをわたしが引き継いでいるような気がする。その因果を娘に渡したくなくて、それと自分の残りの人生のために、わたしは生き方を変えることにした。」

    青木さやかさん、カッコいいです!

    私も、時々、生きづらいと感じることがある。
    残りの人生、どう生きるか考えてみよう。

  • タイトルは『母』ですが、母の事ばかり書いてあるのではなく
    子どもの頃のこと、上京&同棲、売れる前の借金ギャンブル生活、運命の人、売れてからのいろいろ、結婚出産離婚、癌になったこと、ママ友のこと、そして母のホスピス&死など。

    表紙に母とあるのは、母と共著であることを表しているのではないでしょうか。

    私も母とはいろいろあって、今は円満ですが
    人は皆どんどん変化しているから
    この先どうなるかわかりません。

    ただ今は「母があんなことしたから、今の自分はこんななんだ」と考えるのはもう終わりにして、いかに未来を良くしていくかを一番にしていきたい。

  • この本と出合ったのは自分の親との関係を悩んでいた時。「母」というタイトルから、手に取ったのですが。
    この本、図書館で予約したのがようやく手元にとどき
    よみました。10ケ月ぐらいかかったような。
    自分で買おうかなと思ったのですが、ご縁があれば読めるかな~のスタンスでした。
    発売されてすぐのころ、多分一年前になるのでしょうか。私自身が命にかかわる病気ではないけれど、ながく付き合う病気になってしまい、身体のことや介護や親とのかかわりで考えていたとき、書籍の広告かなにか目にしました。

    青木さやかさんが手術のことを公表されたときに
    ネットニュースで読んで、あのキャラクターのままのイメージですごい強い人だなと思ってました。芸人さんがあの世界で走り続けていくのは大変なんだろうな~と想像の世界でしたが。
    だから、どんな子ども時代で、家族にどんな思いを持っていたのかは全く存じ上げませんでした。
    とても繊細な方だなと。こんな思いをしていたのかと新鮮な思いでした。
    若いころはびっくりする行動をしていたこともあったようですが、母となり、親と向き合い、娘への気持ちを大事にこれからも体を大事に活躍してほしいなと思いました。会話文が中心なのですぐに読めます。

    本文で気になった部分
    ++++++++++++++++++++++++++++++++
    母を自分の人生から追い出すことはできないということ。
    憎み続けることが本当の望みではないことを。
    この面倒で解決できない感情を直視するには、いまの
    わたしは忙しすぎる。
    一旦蓋をして入院生活に入った。

    癌を患ったからといって癌になった人の気持ちをわかるなんてことはないのだ。
    状況が違う年齢が違う性格が違う。過去の病気乗り越え自慢はきいちゃいられない。
    いま病気の人の気持ちは、いま病気の人にしかわからないのだ。

    人間の想像力は、幸せな世界へ飛んでいけるのだな。

    親になって気づいたことがある。自分を大切にしていないわたしには、自分の一番大切な存在である娘を、大切にするのがとても難しいのだ。
    わたしは、わたしを、いつも傷つける。
    娘を愛して受け入れるには、まずは自分自身を愛して受け入れるのが先だと気づいた。

    それに気づけたのはママ友という存在。
    悩みを吐露する相手と言うよりは同志のように、自分と子どもと心と、いろんなものと向き合っている姿をみせてくれた。たまたま知り合ったママ友たちは、誰だって初めての経験である親として、もがいて笑って泣いて立ち上がる姿をみせてくれた。隣にそんな同志がいることは、勇気になった。

    みんな、いろいろ、あるわけで。多分。

    わたしは少し学んだ。こわいのは、病気というより、これからどうなるのか、という不安である。
    病気のことを考えない瞬間こそ、笑える時間であり、それが未来に繋がっていく。
    不安は不満にかわり、いつしか負の感情が、わたしとわたちの大切な人たちを巻き込んでいく。
    どうすれば不安を持たない自分になれるのだろうか。いつか誰にでも訪れる、さよならの日まで、安心感の中、笑って過ごしたていたい。

    自分に問う。
    さあ、どう生きていく?

    「死んでもできる親孝行」
    親は子どもが人に迷惑をかけずに楽しく笑いながら生きてくれることを願っている。
    もしわたしが死んだら、娘にはわたしを思い出して涙するより、彼女の人生を楽しんで笑っていてほしい。

  • 芸能人だとか、いわゆる文章を書くプロではない方の書く本、というのはあまり読んできていないのだけど、エッセイだし、何しろテーマが気になって、読んでみた。
    たまたまwebで見かけた一部の抜粋は、青木さんがこれまでの人生の大半を、母のことは嫌いだ、と感じて生きてきたことが十分にわかるもので、同じ程度ではないものの、母というと複雑な思いを抱くわたしは共感してしまったのだ。

    文章自体はとても読みやすく、一気に読めてしまう。時々挟まれることのある会話文は、型に囚われない、少し読みにくい、だけど、著者をテレビなどで知っている方ならその場面の想像が難くない、ちょっと緩む部分だった。

    母と娘って、難しい関係だと思う。
    わたしの思うところをここに書いてしまうと、本の感想ではなくなってしまうのでやめておくけれど、母、という存在に何かしら感じるもののある方には、一度読んでみて欲しいと思った。
    嫌な気持ちになるかもしれない。けれど、時々、胸が苦しくなるかも、しれない。
    そして今より少し、優しくなれたり、声が聞きたくなったり、するかもしれないです。

  • 私の母は、青木さんの母親ほど厳しかったわけではない。少なくとも表面的にはそうだった。でも、物心ついたときから私は、母の視線が恐くて仕方なかった。学芸会などの行事では、「絶対に見に来ないでほしい」と懇願した。それでも見に来るので、本当に嫌だった。
    母に見られていると、私は無意識に「正解」を探してしまう。自分がどうしたいかではなく、母が何を望んでいるか。授業中に教師に当てられて、答えなければいけないのに、答えがわからなくて硬直してしまう生徒。それが私だ。そんな私のことを、母は「無愛想で不機嫌」としか見てくれず、理解してもらえない失望でいっそう傷ついた。
    結局、和解の糸口を見出せないまま、いまも確執を引きずっている。ただ、このままではいけないというしこりみたいなものもずっとあり、ヒントだけでもつかみたいという気持ちで本書を手に取った。
    読み終えた感想は、「どちらかというと、こりゃ自叙伝だわな」だった。もちろん、青木さんの人生を振り返ることが、母子問題を語る上で必要条件なのはわかる。ただ、自分の人生に答えを出せるのは、結局自分しかいないな、と再確認した。
    唯一の収穫は、私もやはり被害者意識を持っていたということだ。どこかで自分のことを「かわいそう」と思っていた。でも、これは〈加害者─被害者〉という図式では解決できない問題だった。今回は、それに気づけただけでよしとする。

  • 芸人さんでありながら、文章の上手さにびっくりする。小説を読んでいるようだった。母との確執、そして母としての自分。静かに考えさせられた。

  • 面白かった。母との関わりの話よりも、売れるまでの青木さんの生活が面白かった。
    さすが凡人には恐怖である消費者金融のカードに愛おしさも感じてしまうお方!やはりビッグになる素質がそこにもあるような気がする。

    若い頃の青木さん、もしあったら友達になれるかな?

  • 構成の妙。じゃないととても読めない。身につまされる。ホスピスの感が資産、すごいな。

  • 内容は少し切なかったり、重かったりもするのだが、読後感が爽やか。気持ちの表現の仕方が分かりやすいというか、ストンと入ってくる。
    特に病気になり、その不安を描いた部分。私自身ではないが、親がガンになった時の不安感がまさにこんな感じだなぁ〜と。
    他の作品も是非読んでみたい。

  • 文章が面白くてスラスラと読めた。

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著者プロフィール

1973年愛知県生まれ。「どこ見てんのよ!」のネタでバラエティ番組でブレイク。2007年に結婚、2010年に出産。2012年に離婚。現在は中学生になった娘を育てるシングルマザーである。バラエティ番組やドラマ、舞台などで幅広く活躍中。

「2023年 『母が嫌いだったわたしが母になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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