おまえなんかに会いたくない (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.16
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感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054600

感想・レビュー・書評

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  • スクールカースト、SNS、コロナ禍、、、

    同窓会を楽しみにしているような人間は、学生の頃から人に囲まれて、成功している人間なのだと思う。
    もし高校の同窓会があったら行くか迷うな。特別仲のいい人はいないし。

    この本の登場人物は学生時代でも、社会人になっても、みんな結局自分のことが大好きで大切で、他人のことを本気で思ってる人なんていないんだなと思った。三井くらいかな、でもこんな人なかなかいないと思う。
    誰もが自分が苦しみたくないだけ。


    いじめられる側にも問題がある、その通りだと思う。
    岸本に対してイラついてしまった。
    告白の権利を主張する前に、部活に対して真摯に向き合うとか、するべき・できることはたくさんあると思う。

  • 卒業記念のタイムカプセルと、スクールカースト。それに新型ウイルスの話。
    スクールカースト、今思えば、そう言うのあったな、と思い出しながら読んで。
    この本に出てくる井ノ川のように、頭も容姿も飛び抜けた一軍、、、をあんまり見たことなかったから、ピンと来ないところもある。
    空気の読めない、スクールカースト最下位はなんとなく、こんな子居たなぁと思い、その子はこんな気持ちだったのか、と考えた。

  • 高校時代の空気読めないズレた子とクラスの“カースト”に必死にしがみついてるカースト上位グループの知られざる本音と10年後に開封されるタイムカプセルが発端になり、それぞれの心情が浮き彫りなる物語。

    私の学生時代は幸い、こんなドロドロしたカーストやいじめがなく平和に過ごせていたけど、やはり他クラスではここまで酷くなくとも、カーストで成り立っているようなとこもあり、なんだかリアルだと思った。

    冒頭、たわいも無い学生時代のほのぼのとした放課後のシーンも、ひとりひとりの心の内を覗いてみれば、
    ドロドロとしていて、自分の立ち位置を保つため、または自覚したくないために『岸本』を標的にして自分たちの存在意義を確立していく。

    ただ、あのSNSの告発をきっかけに改心した者や罪を認め正々堂々と立ち向かおうとした者と木下のように逃げた者が出てきて、これまたリアルで面白かった。

    花田と木下はきっと別れるだろうなと思う。
    木下みたいにブリブリで男ウケ抜群の子ほど、本心ドロドロで性格悪かったりがリアルで…この作者は岸本のような人から苦い経験をしたことがあるのではないかと思うほど。

    ただ、岸本も大人になり、あの頃の自分の浅はかさを認めて後悔してる。
    でもやっぱり許せないし、何か仕返しをしたかった所もキャラクターの心情をよく表せられていて良かったと思う。


    岸本は、転校後支えてくれていた人と結婚したようだが、その相手があのクラスの中の誰かだったらより面白かったなと思った。

    人間の汚い部分がとてもリアルに現れていておもしろこった。

  • 2022.2.27
    帯の「この同窓会、絶対にやめた方がよい。高校卒業から十年、SNSに投げ込まれた爆弾とは」
    の爆弾が気になって、
    最後のページまでひっくり返るんじゃないかと一気に読みました。
    オチはそっちか!という感じだったけど、
    私も完全に岸本李矢に翻弄された一人でしょう。

    でも、結局、岸本李矢以外の登場人物は全員、保身のためだったんじゃないかと。

  • 登場人物の特徴を把握するのに苦労した。
    途中までは面白かったんやけど、
    んーて感じ。

  • タイトルからして内容が想像できたが、すごい本だった。

  • 『感想』
    〇スクールカーストの本って、読んでいてつらくなる。決してあっていいものではないが、人間それもまだ精神的に幼い子供が集まれば、どうしてもできてしまう。他人よりも上に立ちたい、自分の力だけで無理なら同じグループの力を使ってでも優位に立ちたい、これは人として当然の欲求で、子どもはそれをうまいこと隠すこともできない。

    〇学校でつくられるカーストなんて、基準があってないようなものだから、簡単に覆る。だから中にいる人は維持しよう、できれば上に行こうと絶えず神経を張っている。

    〇高校生の頃と、その10年後を行き来しながら話は進むが、登場する人物それぞれが成長できていないなあと感じていた。でも最後同窓会を行う時期には一気に成長している。特に井ノ川と花田。遅すぎるけどね。

    〇やられた方はいつまでも根に持ってしまうのは仕方のないことかもしれないが、岸本は何もここまでしなくてもと思ってしまう。

    〇岸本の家人って誰なのだろう。白麗高校の関係者だと思うけれど。この人って岸本を変わらせたそうだが、高校時代の恨みについては推進させているんだよな。それは違うんじゃないか。

    〇忘れられるより嫌いが上っていうのは深い。人に認識してもらうには、好きか嫌いの片方にばかり寄っていては、みんなに知ってもらうことはできない。仕事でいえば、一部の人に嫌がられるくらいの方向を打ち出した方がかえって進むのもこの効果だと思う。

    『フレーズ』
    ・実行委員の奮闘、みんなの思い出に残るといいね。でも忘れられると思う。このクラスの連中、あんたのことなんて見ていないからね。その点、嫌いは残るんだ。教えてあげるけど、忘れられるより嫌われるほうが上なんだよ。(p.177)

  • 高校時代いじめられていた少女がタイムカプセルに呪いの手紙を入れる。
    10年後Twitter上で同窓会アカウントができて、カウントダウンがされつつ、呪いの手紙のことが出始める。

    いじめを押し付けあうモノなども出てきたりしつつ、少女は母校の先生になり開封に立ち会う。

    やたらとスクールカーストというワードが出てくる。俺、高校時代や中学時代にカーストなんて意識したことないし、今思い出そうとしてもよくわからない。
    今も付き合いのある友人と俺は同じカーストだったのか?

  • 高校の最後に埋めたタイムカプセル。10年後に掘り起こすということで立ち上げた同窓会のアカウント。初めは高校時代の思い出を語り合って盛り上がっていたが、一つの書き込みをきっかけに不穏な空気に。
    「岸本李矢を覚えていますか」
    いじめが原因で休みが続き、結果的に途中で転校してしまった生徒だった。
    コロナ禍での「現在」と10年前の高校時代の「過去」。現在と過去を行き来しながら、若者達の苦悩が見えてくる青春群像劇。


    スクールカーストやSNS、はたまたコロナ禍に翻弄される若者達が描かれていて、自分も学生時代を思い出しました。
    あの時、相手はどう思っていたのか?
    あまり知りたくない事ですが、小説でのそれぞれの心情が垣間見えて、楽しめました。

    群像劇ですので、あらゆる人達が主人公となって、今の状況、あの時の状況が綴られています。

    あらすじを見る限りでは、岸本李矢の存在が要となっていますが、個人的には若者達のコロナ禍(作品内では、新型感染症と表現)の苦悩がよく描かれているなと思いました。

    コロナ禍の影響で、自宅待機や自粛警察といったタイムリーな出来事をSNSを通じて、巧みに織り込まれていて、同じような悩みを抱えている方には、共感をえるのではと思いました。

    もちろん「岸本李矢」の謎にも迫っています。本人の視点は短めですが、その時の心情や怒りがふんだんに盛り込まれていました。周囲から見た「岸本李矢」、内面の「岸本李矢」。その時の心情だけでなく、10年経った後での心情など一つの出来事でも様々な視点から見ることで、色んな解釈ができました。

    そして、色んな苦難を経ての同窓会のシーン。
    同窓会では、ちょっとした驚きがありました。わかった瞬間、ある人物のパートを読み返したくなりました。二度読み返すことで、新たな解釈や発見もあって面白かったです。

    いじめる側は、当時の出来事は覚えていなくても、いじめられる側は、何年経っても忘れることはありません。何年経とうが、もしかしたら復讐と化すかもしれません。
    大事なのは、そういった出来事をどう心の中で処理していくのかです。なかなか難しい事ですが、成功した暁には、良い未来が待っているかもしれません。
    作品をきっかけに良い「心の整理」ができるようになって欲しいです。

  • 読んでいるとフツ、フツとストレスが溜まってくる。こんな高校は嫌だ。麗山高校3年6組。カーストトップの女王様、井ノ川を中心に上位・中位・下位とクラスの序列は明確だ。10年後同窓会が行われることになりクラスSNSが開設したが、そこに書き込まれた『遺言墨』という言葉。それが不吉な予感の始まりだった。とにかく登場人物の選民意識が凄くてドン引き。そして男女の区別がわかりづらい表記がストレス。withコロナ設定もストレスに拍車をかける。文章はうまいのでどう収束するかのみで読んだ。でもラストは個人的にはスッキリしない。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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