母親からの小包はなぜこんなにダサいのか (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054648

感想・レビュー・書評

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  • まず、図書館で本書を受け取った時点で初めて私は本書が「小説」であったことと、小説なんだから当たり前に著者がいることを知った。
    何故なら私は『おかんメール』のような、一般の人々の「母親からのダサい小包」の写真やらエピソードやらをまとめたものだと勝手に勘違いしていたからだ。
    図書館に貸出予約してから年単位くらいで待って、やっと手にした瞬間に「あら〜、これ小説だったのね」と知ったわけだ。

    そもそも「母親からの小包」というのは、実家が地方都市で、都会に出た子に、(または日本から海外へ)故郷の味や品を送るというものではないかなと私は捉えている。
    都会の実家から一時期離れて地方都市に暮らしたことのある私に親が小包を送ってくれたこともないし、同じ状況になった時に私も子に送ったことがない。
    だから送るにしても送られるにしても、私には「母親からの小包」に憧れのようなものがある。

    第1話目に岩手の【かーさんケットの天ぷら】というものが出てきて、調べた。
    こういうソウルフードがあるっていいな。
    第2話の北海道のいももちとお赤飯も。

    第1話に出てきたのが『東京ロンダリング』の高円寺の相葉不動産だということには気づいたが、社長って老人だった?
    町田さん(主人公の母48才と同年代らしい)ていう人が出てきたけれど、町田さん=まあちゃんではないよね?
    まあちゃんは若かったと思うのだが。
    もしかしてこれは『東京ロンダリング』出版から10年経ち、相葉不動産の社長とまあちゃんも10歳、歳をとったということだろうか?
    それにしても、まあちゃんも社長ももっと若かった気がするんだけどな。
    まあ、いいや。

    第2話 誤字あり 
    ×「おそろか」◯「おろそか」63ページ(初版)

    第5話には、話の本筋とは離れたところで、ものすごく違和感があり、頭を悩ませた。
    主人公の実父が9月に亡くなったが、主人公と彼女は年が明けて初詣に行っている。
    (まあ、これは個人の自由としても…)
    次に、葬儀からその後の諸々の出来事まで関わってくれている隣家の藤井さん、年明けに主人公が訪ねたら「明けましておめでとうございます」と挨拶。
    主人公も「おめでとうございます」と挨拶。
    遺品整理や空家を人に貸すという件で訪ねていっているのだから、亡くなったことを忘れているわけがない。
    これは原田ひ香さんに常識が無いのか?
    それとも広島県には喪中というものが無いのか?
    喪中に「明けましておめでとうございます」を敢えて言うという風習があるのか?
    そんなバカな…とは思うのだが、私が知らないだけで地方には独特な風習があるから、これは広島県ではOKなことなのか?と悩んでしまった。

    何故なら、友人の岩手の実家では、まず火葬してからお骨を安置して通夜や葬儀をすると聞いて、とても驚いたことがあるからだ。
    それを知った後に、テレビのドラマだかドキュメンタリーだかでも、東北地方でその順でやるというのを聞いた時には「ああ、やっぱりそうなのね」と受け入れることができたが、初めて友人から聞いた時にはなかなか理解が追いつかなかったものだ。

    だから私はこの第5話がおかしいと断言することはできないのだが、もし広島県独特の風習でないなら、原田ひ香さん、もうちょっと考えて書いて欲しかった。

    広島県出身の知人が居ないので、私のこのモヤモヤは残る。

  • 胸が苦しくなりました。いくつになっても、母には甘えて迷惑をかけてばかり。もっと大切にしたいと思いました。けれど、すぐに忘れてしまう。だから、この本のことを思い出したいと思います。
    2021,11/8-16

  • タイトルからして興味が湧いてきて…。

    確かにいろんなものを詰め込んで、というイメージがある。
    随分と前は、田舎の祖母が蜜柑を作っていたのでよく送ってもらっていた。
    不揃いでワックスもしてないので見ばえもよくなかったが美味しくて楽しみにしていた。
    隙間にはお店で普通に買えるのにお菓子を詰め込んで…
    そんなことを思い出しながら6話を読む。

    母と子の繋がりの複雑さも感じながら愛情も感じる。
    ただ、絶縁状態の母子もいるわけで…
    それでも、誰かの手作りであっても
    愛情とメッセージが届く「小包」があるとほっとするのだろう。

    最終話は、感涙した。

  • 実家からの小包がダサくて、生活感溢れているのはあるあるなんだろうな。

    私は18歳で実家を出たけど、こんな小包が届いたことは記憶にないような。

    ただ、広島出身の友達が実家からお米や友達にあげなさい用のもみじ饅頭が送られてきた話や、青森の友達がりんごや地元の銘菓が送られてきた話を聞いた時は、羨ましかったなぁ。

    たくさんありすぎて困ると言いながら隠しきれない嬉しさを滲ませながらみんなに配ったり、今日実家から荷物が届くからって早めに帰宅する友達が可愛いかったり。

    「第六話 最後の小包」
    これは、ごめんけど、まさおが嫌!
    娘が堂々と悲しみを表現できないようなお葬式や、別れの機会を奪ってはだめ!
    再婚相手だからといって、父と呼んでとか、どうして口から出せるのか理解に苦しみ、イライラ。
    無邪気ないい人なのかもしれないけど、無神経で受け入れ難いものを押し付けられている気がしてしまった。

    • NORAxxさん
      ちゃろちゃすさん初めまして、こんばんは^ ^ いつもいいねをありがとうございます♪

      「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」着眼点の秀逸...
      ちゃろちゃすさん初めまして、こんばんは^ ^ いつもいいねをありがとうございます♪

      「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」着眼点の秀逸さに惹き込まれました。立場は違いますが、私の親しい友人からの小包が確実に狙いに来ているレベルでダサいのですが、今の瞬間までそれを「イケてる」か「ダサい」かで判断してなかったことになんだかクスッとしてしまいました(笑)

      触れたことの無い作家様のご紹介嬉しいです!!ありがとうございます。これからもレビュー楽しみにしてます♪
      2022/04/16
    • ちゃろちゃすさん
      NORAxxさん、コメントありがとうございます!
      嬉しくて小躍り♪♫

      小包の隙間を埋めるように、粗品のタオルが入っていたり、ストッキングが...
      NORAxxさん、コメントありがとうございます!
      嬉しくて小躍り♪♫

      小包の隙間を埋めるように、粗品のタオルが入っていたり、ストッキングが入っていたりすると生活感あふれるダサさがアップしますよね!それがまた送ってくれた人らしかったりして、にんまりしたりして。

      私もNORAxxさんの感想楽しみにしてるので、ぜひ読んでみてください!
      2022/04/16
  • 本屋さんで最初に見たとき、ちょっと笑える感じのエッセイか?と思ったけど全然違いましたww

    「母からの小包」をテーマにした6話の心温まる短編集♬
    どの話もよかったな〜。
    「擬似家族」と「最後の小包」が特に好き。
    母親って近くにいると、あーだこーだちょっとうっとおしかったりするんだろうけど、誰よりも子どもの事を気にかけてくれる存在なんだろうな。

    私は母を子供の頃に亡くしてるけど、おばあちゃんから時々小包が届く。
    その時々の季節のもの。そしてやっぱり隙間埋めに新品のタオルやら手作りマスクやらが詰め込まれてる笑
    あと子供の頃グミが好きだったから、いまだに必ずたくさんのグミ。←もういらん笑
    手作りマスクの柄は全然趣味じゃないし、っていうかもう普通に買えるから〜。
    そういう"ダサい"ものも入ってるんだけど、改めて凄く嬉しいし、その気持ちに感謝でいっぱいになった。

    小包には送り主の思いがいっぱい詰まってる。
    こういうのを送ってもらえる相手がいるって、ほんとに幸せでありがたい事なんだな。
    凄く温かい気持ちになった。
    いつか私もこんな風に相手のことを思って、ダサくても温かい小包を送ってあげたいな。



  • タイトルからは想像できないほど温かな想いが詰まった六つの物語。母子関係は複雑な部分もあるけれど、『家族』は大事なんだと思う。第六話「最後の小包」が良かった。

  • 母親が子どものことを心配するのは当たり前・・
    小包の”ダサさ”はあまり感じなかった。
    小包にまつわる母と子のエトセトラ。話を読むうちに、自分も母とはいろいろな確執やバトルがあったものの、幸せだったのだと再認識する。

  • 本を読んで泣いたのは久しぶり。
    最後のお話で思わず泣いちゃった。
    タイトルからは泣く雰囲気感じなかったのに。
    1つ1つのお話が心に響いた。
    いろいろとこの作家さんの作品を読んでみたくなった。

  • 「母親からの小包」をテーマにした短編集。純粋にお母さんからの愛情たっぷりの小包が届く心温まる話もあれば、家族の色々な事情が絡んだ話もあったし、悲しくて泣いてしまう話もあった。それでもひとつ言えるのは、このような小包を用意して送る側は本当に思いを込めて送ってるんだなということ。タイトルにあるように、それは纏まりのない雑多なものだったりするけど、送る側が相手のことを想った結果なんだなと思った。原田ひ香さんの小説を最近頻繁に読んでいたが、テーマとして取り扱うものが「3000円」だったり、「ラジオ番組」だったり、ユニークで面白い。引き続き作品を読んでいきたい著者さんだ。

  • 小包にまつわる短編集。
    親友のお母さんがこのダサい小包をしょっちゅう送ってくる方で、微笑ましい気持ちで話を聞いていたことを思い出した。
    ダサい小包は愛情たっぷりで、短編それぞれの小包にも思いが詰まっている。
    3、4話に出てくるめぐみさんの優しさと実直さが好きだった。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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