- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120057342
作品紹介・あらすじ
「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?-----この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。いつの間にか迷いこんだその舞台裏において、私たちはかつて経験したことのない「非探偵小説的な冒険」を強いられることになったわけだが、世の人々がその冒険について知ることはなかった。スランプに陥ってからというもの、シャーロック・ホームズは世間的には死んだも同然であり、それはこの私、ジョン・H・ワトソンにしても同様だったからである。シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。-----(本文より)謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!目次プロローグ第一章 ジェイムズ・モリアーティの彷徨第二章 アイリーン・アドラーの挑戦第三章 レイチェル・マスグレーヴの失踪第四章 メアリ・モースタンの決意第五章 シャーロック・ホームズの凱旋エピローグ
感想・レビュー・書評
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ホームズはヴィクトリア朝京都寺町通221Bに住んでいます。
ワトソンの診療所は下鴨神社界隈です。
ホームズはスランプに陥っています。
そこへ、元舞台女優で探偵のアイリーン・アドラーや霊媒のリッチ・ボロウ夫人、モリアーティ教授などが現れます。
リッチ・ボロウ夫人が水晶玉で心霊現象を視ると少女が現れます。
それは12年前失踪したマスグレーヴ嬢でした。
心霊現象対×推理。
ウィリアム・マスグレーヴ家の秘密を伝えているという『竹取物語』。
ロバート・マスグレーヴの月ロケット計画。
<東の東の間>の秘密とは…。
書いていて、これでは読まれた方さっぱりわからないのではないかと思います。
読んでいて面白かったのですが、私は何をいっているのかわからない場面が多々ありました。
ホームズが好きな方にはちょっと変わったホームズ譚として面白く読めると思います。
また、京都の街並みやロンドンの街並みが好きな方にも楽しめると思います。
結局なんの話だったのか、私にはよくわかりませんでした。
わかったのは「ワトソンなくしてホームズなし」ということです。
あと、本の装丁のイラストがとてもいい雰囲気なので星5にしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
★5 絶不調ホームズの大冒険? オマージュ満載の痛快ドエンタメ小説 #シャーロック・ホームズの凱旋
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!★5
いやー、こんな小説は森見登美彦先生しか書けませんよね、最高。四畳半神話大系を読んだ時も発想力と世界観にひっくり返りましたが、今回もぶっ飛んでました。
あらすじとしては、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズのキャラクターたちが、ヴィクトリア朝京都ですったもんだ大冒険する物語です。
名探偵であるはずのホームズがスランプに陥り、さらに投げやりな人生を送っているところ、働けよとワトソンが尻を叩くという構造で物語が進行していく。オリジナルシリーズの様々なオマージュが仕掛けられているのですが、決してそのままミステリーにするのではなく、まるで違った作品になっているのです。
キャラクターがとにかく強烈なの。まったく覇気のないホームズにイライラしながら、ワトソンの煮え切らない態度にもソワソワ。そこにワトソンの奥様メアリの叱りっぷりがまるで鬼嫁。さらにアイリーン(ホームズのライバル探偵)と徒党を組んで頼りない男どもを追い込んでいく様子は、まぁ爆笑でしたね。
さらにモリアーティ教授も登場し、あんた敵キャラちゃうんかいと… そして一章のオチなんかはオリジナルを思い出させてくれる一幕で、これもニヤニヤがとまらなかったです。
京都を基にした舞台なんですが、全く違和感がないの。というか物語が細部までしっかり作りこんでるから、むしろ調和してるという恐ろしさで、是非このままアニメ化してほしいですね。
ストーリーとしても、さすがは先生の作品ですよ。なんつーの、物語がうねってますよ、半端ないです。そして思いもよらなかった展開なのに、なにこの腹に落ち感。なにこの終止感!
と…、詳しくは語れないのでパッションだけでごまかしています。ただ難しく考えずに物語に浸るのが吉でして、これが森見ワールドなんですよね。
素晴らしいエンタメ小説、日々疲れているひとには超おススメしたい作品でした。
■ぜっさん推しポイント
幻想的でコミカルな中にも、どこか生きづらさや満たされない気分になる本作。終章まで読むと、なぜ先生がこの小説を書こうと思ったのか、理解できたような気がしました。
誰しも理想の人生を歩めるとは限らない。いろんな生活環境や人間関係があるし、どんなに努力しても上手くいかなないことなんていっぱいある。捨て鉢になったり、人に迷惑かけてしまうこともあるでしょう。
でもやっぱり神様は見ている。その人の進んできた過程によって、それ相応の結果が伴うんだと信じたい。
明日も仕事で憂鬱な気分になっちゃうけど、目の前にことから逃げ出さずに向き合ってさえいれば、きっと楽しいこともあるし、うまくいく未来がやってくる。
夢や希望、しかし厳しい現実… その狭間にある苦痛を救う魔法みたいな何かを感じられるのです。 -
うむ〜〜。
なんだか煙に巻かれた感じです。
推理小説ではないかな?
これといって感想がないのでつまらなかったような気もするのですが、なぜか退屈せず読み切れました。
文章自体は読みやすくて好みです。
また、超常現象系が個人的に苦手なのでその相性も悪かったなと思いました。 -
いったい何を読まされたのか。
ほとんど元祖シャーロック・ホームズであり京都が舞台で、〇〇通り、京都の街並みの説明がずらずらと。
また、ホームズのスランプの説明が長い。
さらに、東の東の間の謎解きはされぬまま。
元祖シャーロック・ホームズもファンタジー色は強いが、それを真似た感満載だった。
酷評過ぎて森見登美彦ファンには申し訳ないが、率直な感想です。 -
ファンタジー要素が強く、所々森見節も感じられましたが、ホームズなのでもう少し推理的要素もあっても良いのになと思いました。
結構なボリュームなのに結局よく分からないまま終わってしまいました。笑 -
待望のモリミーの新作は、摩訶不思議な“森見版ホームズ譚”でございます。
さぁ、どんな仕上がりになっていることやら・・とワクワクして本を開きました~。
舞台はヴィクトリア朝京都。
洛中洛外に名を轟かせた名探偵シャーロック・ホームズ。
その栄光が、ホームズ氏の次のようなつぶやきで砂上の楼閣のごとく崩れ去ります。
「どうもおかしいな。天から与えられた才能はどこへ消えた?」
さて、大スランプに陥ったホームズを、彼の友人であり“記録係”でもあるジョン・H・ワトソンは救う事ができるのでしょうか・・。
モリミーワールドをこよなく愛する私・・・基本的に星(★)は“評価”というより“好み”でつけていますし、ことさら森見氏に関しては“激甘”ですので、そこんとこヨロでやんすw。
と、お厳しそうな(?)シャーロキアンの皆さまからの予防線を張ったところでww・・いやぁ、ホームズin京都ですよ!で、意外と合うんだなこれが!(※個人・・というか個モリミーファンの意見です)。
ホームズは寺町通221Bに、ワトソンは下鴨界隈に暮らしていますし、京都警視庁(※京都府警ではなくて)に“スコットランドヤード”というルビがふってあったり、他にも鴨川(≒テムズ川)、宮殿(地理的に御所?)などと、強引なようで何気にしっくりくる世界の中で繰り広げられる、ちょいとトンチキな物語。
まぁ、言うたらワトソンがホームズのスランプ脱出の為に東奔西走する展開でして、一応洛西にある貴族の館での謎(その館にいくのに“嵐電”に乗っていくワトソンとモリアーティ教授というのがまたw)がキーにはなってはいるのですが、ミステリとはまた異なるのであしからず。
そして、ホームズの奇人っぷりや、モリミーワールドお馴染みの“詭弁論部”などといったお約束フレーズを楽しみつつ、あちこち迷走していく展開に喜んで振り回されながら読みました。
第5章からは「ロンドン」が舞台になって、「京都」との入れ子メタ構造という迷宮っぽい感じが、他の方のレビューでもありましたが『熱帯』のテイストを思わせますね。
この章ではちょっとダークな展開になるので、ここで書かれるホームズやワトソンの苦悩に森見氏の苦悩も重なっているのかな・・と思わせるものがありました。
そんな訳で、どう収集つけるのか心配になったものの、エピローグでは憑き物が落ちたようなほのぼのムードに着地するので、読後感は大文字山にピクニックに行ったような(?)爽やかさが残るので良き良きですな。
・・てな感じで、色んな要素が多すぎるせいか、私も何を描いているのかよくわからなくなってきましたが、とりま、モリミー×ホームズワールドをまるっと楽しませて頂いた次第です。
で、結局大切なことは「ワトソンなくしてホームズなし」ってこと!(テストに出ますよ~!) -
小説BOC3、4、5、6、8、10号(2016年10月〜2018年7月)掲載のものを全面改稿して2024年1月中央公論新社刊。分厚さとちょっと変わった京都世界を楽しみにして読みましたが、プロローグ、ジェイムズ・モリアーティの彷徨、アイリーン・アドラーの挑戦、レイチェル・マスグレーヴの失踪、メアリ・モースタンの決意、シャーロック・ホームズの凱旋、エピローグという構成で、起承転結の承部分がとても長く退屈でした。最終章で、事件が一気に進みますが、ありがちな話でふーんそうか的な思いしかなかったです。
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長い間スランプだった森見登美彦が7年の月日をかけて、シャーロック・ホームズに自分を投影して書いたと言われる作品。
森見さんに限らず、作家のスランプはきついんだろうなと思う。おそらく真面目な森見さんは、すごーく頑張って書いたのだろうなというのを感じてしまう。今までの作品にあった軽やかさとスピード感が今ひとつなので。
親友の万城目学が直木賞をとった「八月の御所グラウンド」の軽やかさとは対照的で、なかなが前に進まないストーリー展開に途中で飽きそうになってしまった。
今回は、特に前半の長さが気になった。こんなに長い作品にしなくてもよかったのでは?
「有頂天家族」の頃の軽やかさとユーモアの復活を願うばかり。
とはいえ、久々の森見ファンタジーワールド。4章の終わりくらいから、森見登美彦らしい世界が開けてきて後半は一気読みした。
やっぱり森見登美彦さん、真面目なんだろうな。
ずっとファンでありたい。