水滸伝: 虚構のなかの史実 (中公新書 296)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121002969

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  •  中国四大奇書の読み物の一つと言われる水滸伝。小説でありながら当時の史実に基づいたエピソードが基になっている話が多いのだとか。四大奇書って?三国志演義、西遊記、金瓶梅そしてこの水滸伝だそうだ。

     そこで著者の宮崎氏は、実在の人物と小説の登場人物を検証し、特定を試みたり、実際との相違点を見出したりする。また、当時の政治状況や戦争、事件、役人の官職などに至っては時代考証まで行い、水滸伝の著者の杜撰さを暴いている。我々日本人が見てもちょっとやそっとではわからないが、宮崎氏にかかっては中国人研究者もびっくりだろう。私は「水滸伝」本体は読んでいなかったので、今度ぜひ読まなければならない。とりあえずコミックからはいるのも一考か。いろんな本がでているようなので。

     今回の本はAMAZONで購入した中古本である。昭和47年発行の新書だけあって、当初の値段はなんと280円という表示がきちんと残っていた帯に表示されていた。さすがに古いため背表紙のノリも乾燥硬直していたのか、78から79ページの間でバリっと裂けてしまった。他にも2か所でページが脱落した。修理用製本テープで補修したが、やはり古い本は要注意だ。

著者プロフィール

1901-95年。長野県生まれ。京都帝国大学文学部史学科卒業。京都大学名誉教授。文学博士(京都大学)。文化功労者。専門は,東洋史学。主な著書に『東洋に於ける素朴主義の民族と文明主義の社会』(1940年)、『アジア史概説』全2巻(1947-48年)、『雍正帝』(1950年)、『九品官人法の研究』(1956年、日本学士院賞)、『科挙』(1963年)、『水滸伝』(1972年)、『論語の新研究』(1974年)、『中国史』全2巻(1983年)ほか多数。『宮崎市定全集』全24巻+別巻1(1991-94年)がある。

「2021年 『素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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