ドストエフスキイ (中公新書 338)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121003386

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  •  ドストエフスキーの五大長編: 罪と罰、白痴、悪霊、未成年、カラマーゾフの兄弟。加賀乙彦(2023.1.12没、93歳)がドストエフスキー(1821.10.30~1881.1.28、肺気腫、享年59)に迫ります。「ドストエフスキー」、中公新書、初版、昭48.10。ドストエフスキーは、おしゃれで綺麗好き、整頓好きでとても几帳面だったそうです。ポイントは癲癇という病と死刑・特赦の経験だと思います。癲癇は全身の痙攣と意識喪失発作で死の体験と酷似。死刑・特赦は5分間の時間の異常な凝縮、恐怖と密着した歓喜の情。

  • 「小説論なのか病跡学なのかわからぬ鵺みたいなものを私は書きたいと思っている」と述べられているように、小説家であり精神科医である著者が、ドストエフスキーの作品世界に立ち入り、登場人物やドストエフスキー本人の心理と性格について語っています。

    ドストエフスキーがペトラシェフスキー事件に連座して死刑判決を免れたことや、彼が癲癇の発作に苦しめられていたことはよく知られています。本書は、そうした事実について精神科医の立場からの考察をおこないながら、これらのエピソードがドストエフスキーの創作態度とどのように結びついていたのかを論じています。

    ドストエフスキーの作品に登場する人物に、ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフの二つの系列を見るのはたしかに納得ができるのですが、両者の性格をそのようなかたちで対比的にあつかうだけで、物語のなかで彼らがどのようにかかわっているのかというところにまで考察がおよんでいない点に、やや不満をおぼえました。

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著者プロフィール

1929年生れ。東大医学部卒。日本ペンクラブ名誉会員、文藝家協会・日本近代文学館理事。カトリック作家。犯罪心理学・精神医学の権威でもある。著書に『フランドルの冬』、『帰らざる夏』(谷崎潤一郎賞)、『宣告』(日本文学大賞)、『湿原』(大佛次郎賞)、『錨のない船』など多数。『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞を受賞、続編である『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞した。

「2020年 『遠藤周作 神に問いかけつづける旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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