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- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121003386
感想・レビュー・書評
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「小説論なのか病跡学なのかわからぬ鵺みたいなものを私は書きたいと思っている」と述べられているように、小説家であり精神科医である著者が、ドストエフスキーの作品世界に立ち入り、登場人物やドストエフスキー本人の心理と性格について語っています。
ドストエフスキーがペトラシェフスキー事件に連座して死刑判決を免れたことや、彼が癲癇の発作に苦しめられていたことはよく知られています。本書は、そうした事実について精神科医の立場からの考察をおこないながら、これらのエピソードがドストエフスキーの創作態度とどのように結びついていたのかを論じています。
ドストエフスキーの作品に登場する人物に、ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフの二つの系列を見るのはたしかに納得ができるのですが、両者の性格をそのようなかたちで対比的にあつかうだけで、物語のなかで彼らがどのようにかかわっているのかというところにまで考察がおよんでいない点に、やや不満をおぼえました。
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