- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121010544
作品紹介・あらすじ
経済制裁とは、ある国の行った不当な行為に対し、経済の力をもって制裁を加え、その行為を阻止しようとする外交上の手段である。国際紛争解決の手段としての戦争行為が否定され、国家間の経済的相互依存関係が緊密化する今日、経済制裁のもつ意味は重要である。本書は、第一次世界大後の数々の事例を基に、経済制裁の様々な方法、効果を制限する要因、隠された目的などを分析し、経済大国日本が国際政治のうえで何ができるのか問う。
感想・レビュー・書評
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経済制裁の「可能性」と「限界」をまとめた一冊。本書は、外交官であった著者が、過去の実施された経済制裁の事例を基に、制裁が成功する(失敗する)要因をまとめたものである。本書の構成は、第1章で「歴史」を概観し、第2章でその理論化(抽象化)を行い、第3章では「事例研究」として1979年に発生したイランのアメリカ大使館占拠事件を論じるという形式になっており、非常に読みやすかった。
本書を読んで印象に残ったのは、外交政策としての経済制裁の「難しさ」である。その背景には、国家間で交わされる「外交の論理」とは異なる、国家あるいは企業による「経済(利益)をめぐる論理」がある。経済のグローバル化が進む今日において、国家という権力がそれをコントロールする難しさはさらに高まっている。だからこそ、経済制裁においては、その「目的」の制定が重要だとする著者の指摘には学ばされるところが多い。
本書は、経済制裁の「目的」や「成功/失敗する要因」をコンパクトに類型化している。出版が1992年であるため、取り上げられている事例がやや古いが、経済制裁という政策の基礎学習としてはオススメの一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中公らしい落ち着いた良書。ただ、サブタイトルにあるほどは日本がどうかシミュレートされてはいない。事例は古いがまあいける範囲だと思う。
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経済制裁が効果を発揮する条件について考察した古典的著作。事例は古いが、内容は現代も色あせない。