国際関係論: 同時代史への羅針盤 (中公新書 1106)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011060

作品紹介・あらすじ

戦争と革命の世紀、20世紀は轟音を響かせて転換しつつある。国家そのもののあり方とともに、国家間の関係もまた問われているのである。国際関係論という学問は、政治・経済・文化などが交錯する場である国際関係に生ずる問題を解明し、現代史の深部の潮流を捉えて未来を展望することを目指す総合的社会科学である。歴史の転換期に立つ現在、この学問は世界を見据える羅針盤となるであろう。巻末に詳細な基礎文献案内を付す。

感想・レビュー・書評

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  •  92年の本なので挙げられた個別事象はさすがに古いが、IRとは何か、どう学ぶか、という根底に流れる視点は現在でも通用しそうだ。
     本書ではIRの学際性を解説。またIRと地域研究は双生児、前者は上部構造で後者は土台又は下部構造、とある。著者は中国研究者とのイメージが強かったが、まさにだからこそ、本書ではIRそのものと世界各地の事象がバランス良く述べられているのだろう。
     中国については、著者は民主化運動を高く評価し、漠然とながら脱社会主義の方向を予測している。この点は結果的に外れたと言わざるを得ないが、脱社会主義の結果としてチベットやウイグル族を例とした民族紛争の可能性を挙げているのを読むと、半分は正しかったと思える。

  • 国際関係論という新しい学問の入門書です。

    特に前半部分は、この学問を志す学生たちへのイントロダクションとしての役割を持っており、E・H・カー以降の基本文献や研究史、国際関係論を学ぶ上での心構えなどが説かれています。後半は、アメリカ、ソ連、中国の3か国を中心に、冷戦体制崩壊後の国際関係の展望が、簡潔に示されています。

    内容が拡散しがちなこの学問の基本が手際よくまとめられており、優れた入門書ではないかと思います。

  • 第三章までは「国際関係論」が一体どんな学問なのかを説明していて興味深かったのですが、第四章から突如として中嶋氏自身も批判している「国際問題の事情講義」になってしまった感があります。もっと著者自身の経験を絡めて国際関係論とは何かを論じて欲しかったです。中嶋氏は『政治の弁証』『大衆の国家』『大衆の反逆』『人間の勝利を求めて』『革命について』の五冊を読んで政治学のディシプリンを確立したとのことですが(28~31頁)、この部分をもうちょっと掘り下げて、ご自身が国際関係論の視座を獲得した過程を書いてくれたら良かったんじゃないかなと思います。
    なお、巻末の文献リストは素晴らしいですね。ここだけでもお金出す価値はありますよ。

  • 国際関係論とはなんぞやということから、特に中国に注目した国際関係を概観する。地域研究と密接に関わり合う学問だとか、複数のディシプリンからなるだとか、比較研究が重要だとか、個人的にはとっつきにくくて苦手だなという印象を前半部からは受けたが、後半部、著者の専門である中国について記述したあたりからはかなり面白く読めた。中国に関しての記述は、最近某大の学校長の講話を聴く機会があって、そこでの話と重なることもあって、講話を聴いていたときは、どうやったらこのように物事をとらえることができるようになるだろうと思っていたが、そういう見方ができるようになるまでの学問的プロセスについて納得できた気がする。中国研究の分野も面白そう。羅針盤との副題は伊達じゃない。

  • 新書で基本文献網羅した上に、現代史もあらかた語り尽くすという、中嶋先生らしい剛腕な一冊。

  • 入門書として勧められる。中国関係の記述が多い。

  • 国際関係論とは何か。この本を大学生時代に読めていたら、進む道はきっと変わっていただろう。

    ボランティアや奉仕活動による’国際協力’と国際関係論の立場は違う、というところに妙に納得してしまった。

    20年以上前の本だが、国際関係を掘り下げる際には非常に参考になる本。

  • 国際関係論における入門書と言っていい本。国際関係論の成立過程から始まり、国際政治学や地域研究との差異をまず論じ、その後戦後の国際関係に関して掻い摘んで論じている。国際関係論と国際政治学との違いを意識し、研究することは有意義であると個人的には感じた。

  • 中国との関連で多くが書かれている。

  • スタンレイ・ホフマンなどのいう「公共哲学(public philosophy)」とか「国境を超える義務(duties beyond borders)」という新しい理念が提起されてきている。p209

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