大江戸世相夜話: 奉行、髪結い、高利貸し (中公新書 1723)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017239

作品紹介・あらすじ

名奉行で知られる「金さん」こと遠山金四郎。奉行所のお白洲で片肌脱いで入墨をさらし、悪党どもに啖呵を切るシーンが見せ場だが、この入墨伝説はいつ、どのようにして生まれたのか-。時代劇などでおなじみの「国民的常識」も、史料をもとに探っていくと、じつに意外な発見に出くわす。「お代官様-悪の代名詞」「大御所の犯罪」「女髪結い繁盛記」「放蕩息子の矯正」ほか、江戸の実像を映し出す歴史エッセイ三十話。

感想・レビュー・書評

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  • 論文を書く時には膨大な史料を集めなければならない。その中で、論文での考察に使う史料はごく一部である。
    必要なところには付箋を貼って読み進めるわけだが、たまに考察には直接必要のない史料でも面白い内容等がある。
    本書は、近世の白眉である藤田覚先生がそういった研究の中で面白いと感じられた内容を集めて、近世の庶民、武家などの生活諸相を紹介したものである。

    内容は基本的に小節ごとの読み切りスタイルである。著者の意図でもある現代社会との比較をしながら読み進めると一層楽しめます。
    幕府職制の説明などもかなり詳細に記述されているので、歴史学を専門にしている人でも参考になる。

  • ≪目次≫
    はしがき
    遠山金四郎の入墨
    お代官様ー悪の代名詞
    大御所の犯罪
    女髪結い繁盛記
    放蕩息子の矯正

    ≪内容≫
    江戸時代について、淡々とした筆致で江戸の市井から江戸城や御所の内部までを伝えてくれる。元が「本郷」と言う吉川弘文館のPR誌連載のエッセイであるだけに、やや硬い部分や一般受けしにくい内容もあるが、江渡時代に興味があるのならば、一度はひも解いた方がいいだろう。
    面白かったのは、今と同じ行為が、事件が江戸時代にもあったこと(それを筆者も狙っているのだろうが)。戸塚ヨットスクールのような教育機関。裏金融のブラックさ。知識人が風俗や言葉遣いの変化を嘆くこと。スキマ産業の隆盛などなど…。

  • 江戸時代の小ネタがたくさん入っている本です。
    意外と現代と江戸時代って似ている部分があるんだなと考えさせられました。
    基本的に遠山の金さんや、悪代官、大御所、高利貸し、放蕩息子など
    時代劇やちょっとした歴史物のときに聞いたことがあるものから話をはじめて いろいろな話題へと展開していく構成です。
    サクッと読めてちょっとしたときに友達に言いたくなるような内容です。

  • 一つのテーマとしてはまとまりにくい、江戸時代の世相を映す話題を集めた。大岡忠相と並び名奉行として名高い遠山金四郎景元、英傑の誉れ高いその父景晋も登場する。金さんの刺青の絵柄は何だったのか?時代劇で活躍する目明しの実態、領民に慕われた人もいるお代官様、殿と様の使い分け、大御所家斉公が手に染めた犯罪、拾ったお金の行方、やってきた象、女髪結いの流行、高利貸の実態、などなど。江戸時代と言えども、人の考えることはたいして変わらない。今と同じようなことに悩み、日々の暮らしに心を砕き、そして時々逸脱する。時代と体制の違いを超えて、そこに生きる人々を身近に感じられるようになる、楽しい読み物。

  • 遠山の金さんの入れ墨、いいお代官さまもいた、殿と様はどちらが偉い、女髪結い繁盛記、銭形平次と目明などなど、江戸時代のちょっとした通になれる?

  • 遠山の金さんの「桜吹雪」が女性の生首バージョンもあるとか、お代官様のいわれとか、様と殿はどちらが丁寧か?などなど、なかなか興味ある江戸時代の小ネタ満載の本です。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2022年 『もういちど読みとおす 山川 新日本史 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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