働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書 1793)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017932

作品紹介・あらすじ

二〇世紀の終わりまでに、私たちはみな週五時間程度だけ働くようになっているだろう-。ケインズの八〇年前の予言は見事に外れた。先進諸国でも、経済競争力強化を理由に労働時間の短縮は進んでいない。グローバリゼーションが加速する中、所得の格差も急速に拡がりつつある。雇用機会や賃金において拡大する不平等に歯止めはかかるのか。半世紀にわたって「働くということ」の意味を問いつづけてきた思索の到達点。

感想・レビュー・書評

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  • ほんの内容が悪くて★1つではなく、働くということの歴史的な変遷のような感じで、求めていたものとだいぶ違っていた。人は何のために働くのか?あなたは何のために働くのか?万能な解答はないだろうが、さまざまなひとの意見を聞いてみたい時期である。

  • ドーアのこの本は、方々で引用されているので読んでみた。自己表現、問題解決、エゴの主張!働くというのは楽しい活動なのねーってわき道にそれたけど、いや本当に、面白い本です。私は「はたらくこと」をここ5年くらいのテーマにして勉強するつもりです。ここなら、世界とアタシがつながれそうな気がするんです。幻想?次はEUが気になる木。

  • 昔デートの途中で図書館によってリサイクル本コーナーから見つけ出した本。

    ちょうどニートしてた時かな?ブラック企業時代だっけな?忘れたけどなんか琴線に触れた覚えがある。

    内容はなかなかに難しく、欧米的価値観と日本の労働慣習・労働環境・法整備みたいなところの深堀を結構していたように思う。

    まあでも結局何が言いたいんだって考えると何が言いたかったのだろうか、この本は。

  • ILOでの講演議事録である。
    彼の他の著作同様、アメリカ的経営手法への懐疑的見方を披露している。
    イギリスでもサッチャー以前は警察などの公的機関は年齢によって給与が決まっていた。

    最後に著者はいろんな形の資本主義があって良いと言うことで、市場原理主義的なものだけではなく、ある一定の統制を株主にかける日本的な資本主義の可能性を考えているように見える。

  • 日本の人事労務制度や労働政策を中心に、世界の流れとの関係を踏まえて、骨太に大きな流れが理解できて、とても勉強になった。

    こういうのって、戦後から話しが始まることが多そうですが、戦前からの流れを踏まえつつ、グローバルな状況、そして、学問的・理論的な次元での議論も紹介しながら、説明してくれるので、かなり頭が整理された。

    やはり、「日本」の集団主義的なもの、組織に身も心も捧げてしまうことの恐ろしさを再認識するな〜。それが、「日本型経営」とか、「人本主義」とか言って、賛美さたこともあったわけで、そこには、一定の美しさがあったわけだが、働く人の隷属状態を覆い隠すイデオロギーでもあったんだな〜としみじみ。

    あと、たとえばダボス会議に象徴されるようなコスモポリタン的な多文化主義的エリーティズムへの違和感とかも、なるほど。自分も基本的には多文化主義的な価値観だと思うんだけど、なんとなく感じて違和感、いかがわしさのもとがわかった感じもある。

    2004年の本なので、新自由主義、グローバリズムの話しはしっかり書かれているが、その後おきたリーマンショック、トランプ大統領に象徴されるポピュリズム、コロナ、中国の台頭、ディジタル化の進展、外国人労働、ジョブ型雇用、SDGsなどなどの議論は当然ながら十分とはいえない。(一部、先取りした議論はあるが)

    この20年間をどう考えるかはわたしたちの責任なんだろうな〜。著者も鬼籍に入られているわけだし。

  • 著者が半世紀に渡って働くということの意味を問い続け、その内容を総括的にまとめた一冊。ケインズの予言「私たちは週15時間程度働けば済むようになる」とは逆の方向に進む社会。彼が予期しえなかった「人間の競争本能」や、「高度な技術を伴う市場経済システムにおいては、所得の不平等が拡大していく傾向は不可避的なもの」という現象を考えると未来に明るさを覚えませんが、それでも思考停止すれば底なし沼にはまりそうです。

  • 105円購入2012-02-12

  • グローバル化=アメリカ型の個人・市場主義の拡がりが、社会や労働の意味を変えてしまってきているということかな。感覚的には、その流れは好きでない自分も、客観的には明らかにそれを支える一員かも。
    学術論文の翻訳だからか、ひっかかりつつ時間をかけて読み進みました。

  • 訳文が主語や目的語の省略が多くて非常に読みづらい。日本語が少しおかしい気がする。ネオリベラリズムや市場個人主義の発展について、日本や海外の状況も踏まえて説明してくれている。筆者は、旧来の日本のような勤労制度が、市場個人主義よりも望ましいと考えているようだ。福祉政策を国としてどのように行っていく必要があるか、グローバリズムや資本主義の多様性にどう対処していくかなど、興味深い話題があった。個人的には、経済的な格差は是正されなければならないが、極度に文化的にあまりにも多様になってしまうと(移民の大規模な流入など)、存在する格差を是正しようとする社会的連帯の気持ちが起こらなくなってしまう、という話が印象に残った。この本を読んで、みんながより幸せに、平等に、ある一定水準の暮らしを保って暮らしていくためにはどうすればいいかという問題を強く意識したので、その点は退屈だったがこの本を読んで良かったと思う。

  • 日本の労働環境にも詳しい著者が書かれている点。

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著者プロフィール

ロナルド・フィリップ・ドーア(Ronald Philip Dore)
1925年2月1日 - 2018年11月13日
イングランド南部ボーンマス生まれ、イギリスの社会学者。ロンドン大学名誉教授。専攻は日本の経済および社会構造、資本主義の比較研究で、日本の労使研究で著名な研究者。
1947年、ロンドン大学を卒業。現代日本語を専攻していた。1950年に東京大学に留学。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業後、サセックス大学、MITなどを歴任した。
主な代表作に、『働くということ』『金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱』『誰のための会社にするか』『学歴社会』『幻滅』『日本型資本主義と市場主義の衝突』など。

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