江戸城: 本丸御殿と幕府政治 (中公新書 1945)

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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019455

作品紹介・あらすじ

松之廊下にはどのような役割があったのか?老中の登城から退出までを追ってみると?「奥」の側用人が「表」の老中より権力をふるえたしくみとは?大名統制において殿中儀礼が持った意味とは?大奥女中にはどのような仕事があったのか?江戸城における政務は、本丸御殿の構造と密接に関係している。部屋の配置とその役割を詳しく紹介し、「表」「裏」「大奥」それぞれで展開した幕府政治のしくみを読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸幕府は幕政に参画する大名を譜代大名に限定し、外様大名を排除した。大身の大名は政治に参加せず、富と権力を一致させない点で巧妙な仕組みと評価される。しかし、この仕組みにも弊害はあった。外様大名らは幕府の役職から排除されるため、江戸城では儀式の参加に限定された。儀式では官位によって序列が決まり、大名間の競争意識を持たされる。

    そのために官位昇進が関心事になり、官位昇進のロビイングのために賄賂が贈られるほどであった。「国持大名は幕府役職の就任から排除されていあっため、自分自身の序列を上げるには官位昇進しか途がなかった」(深井雅海『江戸城 本丸御殿と幕府政治』中央公論新社、2008年、52頁)。

    官位を意識するということは朝廷を意識することになる。尊王思想を醸成することになる。尊王を掲げる勢力によって幕府が倒されたという結果を踏まえれば官位による序列化は危険がある。

  • 本丸御殿の中でどのように日常が送られていたかについて。

    (当然だが)写真がなく、平面の地図のみなので、イマイチ状況が掴みにくいものの、毎日どのような動きがあったかが具体的にわかるのが興味深い。

    もちろん、時代劇で描かれるようなものが正しいとは思っていないけど、やっぱり真実は統治のための儀礼であったのかというのが感想。
    当時の民俗を知る上では、良い資料。

  • どんな本なのだろうと思っていたが、内容は江戸時代の政治史。それは江戸城の内部で発揮されていたよ、という。江戸幕府は、しきたりが重視されつつ合理的な統治がなされていたのかな、と思った。
    将軍は世襲であるが、その周りの側近は将軍の任用や「従三位」のような官位によって決められたり、石高によって決められたりした。時代によって老中の合議制になったり(家康~家光期、あるいは江戸時代後期)、一部の老中が辣腕を振るったり(天保の改革や寛政の改革)、将軍の独断で決まったり(元禄・綱吉の時代、享保の改革)、あるいは将軍が個人的に重んじた側用人(新井白石の時代)が活躍した時代、などなど、江戸時代といっても、長いので色々だ。
    また江戸時代の統治の制度の仕組みも解説されており、なかなか量著であると思われる。ただ内容によって時代が行ったり来たりするので、少し混乱もする。

  • [ 内容 ]
    松之廊下にはどのような役割があったのか?
    老中の登城から退出までを追ってみると?
    「奥」の側用人が「表」の老中より権力をふるえたしくみとは?
    大名統制において殿中儀礼が持った意味とは?
    大奥女中にはどのような仕事があったのか?
    江戸城における政務は、本丸御殿の構造と密接に関係している。
    部屋の配置とその役割を詳しく紹介し、「表」「裏」「大奥」それぞれで展開した幕府政治のしくみを読み解く。

    [ 目次 ]
    序 江戸城の構成と本丸御殿への登城
    1 儀式・政治空間「表」(将軍との関係を表徴する殿中儀礼 表の構造にみる政治の仕組み)
    2 将軍の執務・生活空間「奥」(奥の構造にみる将軍の生活 「奥政治」の展開)
    3 女性たちの生活空間「大奥」(大奥の構造と将軍の寝室・御台所の生活空間 大奥女中の生活と広敷役人) むすびにかえて-将軍の外出・外泊にみる江戸城御殿の構造

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  • 専門用語がわからない部分は飛ばし読みしましたが、なかなか面白かったです。

  • 2008.5.4

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著者プロフィール

1948年、広島県生まれ。1971年、國學院大学卒業。1992年、国学院大学博士(歴史学)。国学院大学栃木短期大学、聖心女子大学教授を歴任。現在、公益財団法人徳川黎明会徳川林政史研究所所長。 ※2021年11月現在
【主要著書】『徳川将軍政治権力の研究』(吉川弘文館、1991年)、『江戸城御庭番』(中央公論社、1992年〈吉川弘文館、2018年〉)、『江戸城』(中央公論新社、2008年)、『刀剣と格付け』(吉川弘文館、2018年)

「2022年 『徳川将軍政治権力の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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