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- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020628
作品紹介・あらすじ
大リーグでの日本人選手の活躍、WBCでの連続優勝…。日本の野球は世界の頂点を極めつつあるように見える。ただ、その歴史に暗黒の時代が刻まれていることを知る人は少ない。昭和七年、学業軽視、選手獲得に金銭が動くことを懸念した文部省は「野球統制令」を公布。さらに、泥沼化する戦況のもと、野球部排撃の動きが全国に広がった。粛正、弾圧を潜り抜け、物資窮乏の中、焦土の上に復活する苦難の日々を史料と証言で辿る。
感想・レビュー・書評
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戦時期・戦後初期の野球が受けた苦難の歴史ドキュメント。野球を戦時体制の確立にとって有害な「敵性競技」とみなして敵視する教育行政や軍部による圧迫と統制、それに対する野球人の抵抗と「自主規制」の動態が明らかにされている。今日では考えられないほど、野球に対する偏見や非科学的批判が渦巻いていたことに驚かされると同時に、これまた今日とは比較にならない「気骨」「反骨」がいたる場面で現れるのに感心する。膨大な資料と独自の取材が元になっているが、はっきりしないことや、より精緻な検証が必要な個所も少なくないように見受けた。戦前は(旧制)中学野球・大学野球の比重が圧倒的に大きかったので仕方ない面もあるが、学生野球に比べ、実業団やプロ野球と戦時体制とのかかわりが十分に見えてこないのは残念。また戦前の植民地(特に台湾と朝鮮)があまり視野に入っていないのも問題であろう。
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