- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020796
作品紹介・あらすじ
「町人の都」と言われる大坂。だが、大坂に武士がいなかったわけではもちろんない。後世、その存在が「消されて」しまったのである。本書は、新発見の大坂図屏風、大坂の武鑑、西町奉行所見取り図、奉行新見正路の日記などを紹介しながら、大坂の武士たちの人数、役職と仕事の内容、食生活や年中行事など日々の暮らしぶり、文化人との交流に至るまで、知られざる大坂の武士の全貌に迫る。
感想・レビュー・書評
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江戸時代、城下町では武士が闊歩していた。江戸では人口の半数が武士(とその家族)全国の城下町では平均して10%ぐらいの武士が暮らしていたと言われる中で、大坂では藪田先生が文献資料を引っかき回して集めてきても2%程度。商人の町大坂では武士の資料が残っていない。
本書では先ず司馬遼太郎が大坂の武士200人として事にふれた上で、諸文献から導き出される大坂の武士の人口は少なく見積もって8000人とする。
続いて「お奉行の名さえ覚えずとしくれぬ」という小西来山の狂歌を引いてきて、武鑑、大坂鑑、難波雀にみる武士情報、武鑑の中でも「浪華御役録」「大坂便用録」といった一枚刷りの武鑑を紹介し、町人も武士を無視した生活が出来なかったことをしめす。さらに神戸市立博物館で発見した「西町奉行所図紹介。いくつかの武士の日記を紹介して大坂の武士の公務と生活を描きだす。
藪田先生には、この本のネタ本となる先行論文が何本かあるが、本書はこれを一般読者向けに平易に書き直したものと考えて良さそうである。平易にと言っても内容的には先行論文とあまり変わらず、歴史になれていない人に取ってはかなりハードな記述になっているようにも思う。しかしながら、武士の大坂を描いた類書は余りないので一読の価値ありなのだ。
大坂では大塩平八郎だけが武士代表のように取り上げられるが、大塩平八郎を生み出した大坂の武士、奉行・与力・同心の実像をうかがい知ることができるのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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