経済大陸アフリカ (中公新書 2199)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021991

作品紹介・あらすじ

アフリカを「援助」する時代は終わった。新興国をはじめ、世界中が凄まじい勢いで食糧、石油やレアアースといった鉱物資源を呑み込んでいく現代。これらの需要に対する供給源として、アフリカの重要性は突出している。いまアフリカとの経済連携は、中国が一頭地を抜く。世界各国がそれを追うなか、さらに大きく遅れている日本に挽回の余地はあるのか-。広大なアフリカ大陸を舞台に、世界の未来と命運とを描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • いまアフリカとの経済連携は、中国が一頭地を抜く。世界各国がそれを追うなか、さらに大きく遅れている日本に挽回の余地はあるのか。広大なアフリカ大陸を舞台に、世界の未来と命運とを描き出す。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40178001

  • 中国すごい。
    先進国でも貧困国でもない、世界の中での独自の立ち位置を正確に把握し、かつ自国の利益や打算も現実的に加味した、建前や理想論に振り回されない対アフリカ政策。

    「北京コンセンサス」、読む。

  • アフリカの現状(といっても刊行当時の2013年頃だが)を「開発論」という観点から語る一冊。

    帯に胡錦濤の写真が載せてたりしているのでわかる(?)とおり、中国が資源外交の一環としてアフリカに急接近していることの解説からこの本は始まる。
    てっきり中国脅威本なのか、と思いきや…「アフリカはそんな一筋縄に行く荒野ではない」と今までのアフリカで行われてきた「失敗した開発事例」から、開発とは何か、援助とは何かを解説していく。

    なんというか…アメリカという国の底深さを知った印象はある。
    金儲けはお金のため、援助は目の前の人を救うため。どちらも理屈じゃない行為。ただ…それに携わりつつ、そこに潜んでいる理屈を学問化していく人が少なくともアメリカではどこからともなく出てくるらしい。

    その行動と理屈を、いちいち覆してくれるのがアフリカでもあるらしく。

    例示されていたのが「赤道ギニア」の事例。海底油田が開発されたおかげで、一人あたりGDPは韓国(当時)とどっこいどっこい、なのに市民生活は相変わらずでODAも受けている、という変な国。
    赤道ギニアは極端な例であるにせよ、資源不足が深刻化する21世紀において、必ずしもアフリカは「貧しい」地域ではないにもかかわらず「貧困者」は相変わらず多い、という非常に奇妙な状態が続いているのだとか。

    うまく活かせばなんとでもなる要素はある地域らしいのです。
    それこそ資源はあるし、それに対する世界的な投資も活発、人口に対する土地も多いのだから農業の開発余地も本来ある、多産の問題だってそれを労働力に変えられたら強いわけで(実際のところ東アジア諸国(日本含む)の盛衰はおおかた労働者人口の数と比率で説明がついてしまうらしい)。

    それらがいちいちうまく回らない。
    儲かりそうだから、と資源などに再投資するため、富がさらに集中する。農業や教育にも投資をしないため、相変わらず無肥料での不効率な農業しかしないため自給自足が精一杯で、たくさんできた子供は都会に出てしまって結局は穀物を輸入(この輸入先が主にロシア・ウクライナらしい)に頼ってしまい、「貧しいのに物価と人件費が高い国」ばかりになる。

    いくつかの悪条件(といってもクリティカルなものかというとそうでもない)が重なって、どうしようもなくなっている。そこにヒトモノカネ(そして知恵)を投入してきた結果を丹念に書いている一冊だった。

    なお…解説の過程で、そういう開発論を日本に当てはめると、的な話がちょいちょいでてきて。
    条件的にはアフリカよりも条件がはるかにいい日本なんですが、結果的に「失われた○十年」のあいだ選んでいるのはアフリカと似た政策なのも興味深く。

    理系はじっくり対象を観察する余裕を与えてくれるのですが…社会学はどちらかというと「走りながら全体をみて行動する」サッカー選手タイプが必要とされている学問分野なのかなぁ、とそんなことを考えていました。

    アフリカと社会学、両方を教えてくれる一冊。

  • 10年前で、中国のこのはいりこみよう。
    じわじわと、あるいは突如と外交通商制約となる予感。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688547

  • 経済大陸アフリカ

    アフリカが直面しているグローバルイシューを取り上げた本


    アフリカのグローバルイシュー
    *開発なき成長& 低開発農業→経済成長しても 貧困解消せず
    *ジニ係数上昇〜所得格差が広がっている
    *アジアのように安くて豊富な労働力が存在しない=工場など直接投資をしても投資側は回収できない
    *中国のアフリカ援助→戦略物資の供給を世界的に独占


    著者の提言のうち 実効性がありそうなのは、グローバル企業のBOP(低所得層)ビジネスの参入。日本では 味の素 が有名らしい。銀行や医療まで参入している。

       
    グローバル企業のBOPビジネス
    *末端消費市場に近い業種
    *消費面から貧困層の厚生を引上げ
    *低価格商品の開発と貧困層に届く流通網の構築が必要


    日本(資源輸入国)の現状
    *貿易依存度が低い、投資流入も少ない〜日本は内向きの閉鎖的な経済
    *レアアースなど資源調達に不安
    *世界の資源を安定的に調達する中国と資源を分け合いながら 共生していかなければならない
    *日本が先端技術を国内に温存するには、中国に代わるレアアース供給先を開拓するしかない


    国際機関によりODA運用ができたら
    *生活水準格差の縮小〜貧困縮小
    *ナショナルミニマムに代わるインターナショナルミニマムが設定
    *政策執行の責任は民族国家の手から国際機関へ
    *ODA予算が国家による以上、援助政策は ナショナリズムから逃れることができない


  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2199/K

  • 大陸への中国の進出具合を描いた前半は興味深かったが、後半はいまいち。白書のような事実の羅列になり、興味が持続しなかった。

    2019/11/7読了

  • アフリカ好き

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    日本にとってアフリカは余り関係の無いものだと思っていたけど、この本を読むと全く関係がないというわけではないということを知ることができた。
    一般的に想像される資源の輸入先というわけではなく、世界規模の農業供給に与える影響を知ることができる。アフリカが穀物を輸入しているとは想像していなかった。
    しかし、今後の伸び代を考えるとアフリカのためにも世界のためにも最近の中国による投資を行い開発を進めていくのがよいのだろうな。
    日本もアフリカとWIN-WINの関係になるような投資や援助を行えるといいんだけどね。ただし、アフリカに有効な援助を行うためには全分野で総合的な援助を行う必要があるのが難しい問題なんだろうな。

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著者プロフィール

1962年生まれ。国際基督教大学卒業。東京神学大学大学院修士課程修了。日本基督教団阿佐ヶ谷教会、金沢長町教会を経て、現在、代田教会牧師。 説教塾全国委員長。

「2022年 『使徒信条 光の武具を身に着けて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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