中曽根康弘 - 「大統領的首相」の軌跡 (中公新書)

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著者 : 服部龍二
  • 中央公論新社 (2015年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023513

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中曽根康弘 - 「大統領的首相」の軌跡 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 鈴木善幸内閣のときになぜ第二臨調ができたのか疑問に思っていたが、行政管理庁長官が中曽根であったことを知り、納得した。

    いわゆる「死んだふり解散」のとき、記者から、ほんとうに解散はないのかと問われて、能「羽衣」を引用して、「疑いは人間にあり」と答えたというエピソードが紹介されていました。

  •  筆者曰く、「中曽根史観」を避け、「中曽根を相対化する」とともに、「保守党を軸とする現代政治史」としても読めるよう配慮したとのことである。そのため分析というよりは通史だが、さすがに戦後直後から80年代までを中心とした政治史に見事になっている。
     保守本流とされる吉田茂には反発し、野党時代も自民党以降もパフォーマンス重視、入閣も遅れ、同期当選の田中角栄を含む「三角大福中」の中で一番遅れをとり。しかし今になってみると「大政治家」とのイメージが強い。ライバルに比べると若く、長く首相をやれたからか。就任当初こそ田中派を多く入閣させたものの、一年後には田中の影響力を削ぐこともできたこともその一因だろう。筆者は中曽根政治を「『三角大福中』派閥対立と長老支配の終局」「審議会を多用した『大統領的首相』」「官邸政治を特徴とする現代政治の起点」と評している。
     また、相反しそうな思想が彼個人の中で共存してもいる。タカ派と見なされがちだが、「米英仏蘭に対しては普通の戦争、アジアに対しては侵略的性格のある戦争」と言い、50年代には共産圏の中ソを訪問。総理在任時も不沈空母発言やSDI構想支持の一方でアジア外交も重視。靖国公式参拝にこだわりつつも中韓との関係から自粛。

  • 非常に読み易く、当時の政治状況の臨場感がヒシヒシと伝わってくる。

  • 中曽根マシーン
    中曽根は多くの時間を読書に費やした。
    ジャンルは主に政治、宗教、歴史、科学であり、
    小説では司馬遼太郎の本を愛読していふ。
    水泳、ゴルフ、座禅を好んだ半面、「インドアの遊びをするなら勉強していたほうがいい」と麻雀を嫌った。

  • 20160427-0514 田中・大平、と来て自分の中の政治家についての新書シリーズ3部作の最後は中曽根氏で締め。もし次があるなら、小泉純一郎氏かなあ。

  • んーやっぱり存命人物の伝記はいろいろオブラートにくるまなきゃならんのだろうな、というのが率直な感想。かくもアクの強い人物がここに書かれたようなキレイゴトだけで世渡りしてきたなんて誰も信じないでしょ。まあ通史としてはとてもよくできていているので、葬式の香典返しに遺族が配るのには最適な1冊。

  • 中曽根康弘。5年の長きにわたり、内閣総理大臣を務めた昭和を代表する政治家。特に評価されるのが外交手腕。米国大統領レーガンとニックネームで呼び合うほどの親密な関係を築き、中国や韓国との首脳とも会談を重ねる。好調な国内経済も後押しして、中曽根率いるジャパンの存在感は世界の中心を占めていた。

    内政面でも中曽根のライフワークともいえる原発推進やNTT、JRなどの分社民営化を果たす。退任も鮮やかだ。首相候補に竹下登、安倍晋太郎、宮沢喜一の3人を競わせ、自身が最終決定を下すという形で後世に影響力を残した。

    こうした中曽根首相の評伝を読んでみると、申し分のない首相人生に見える。心残りとすれば、憲法改正と消費税導入ができなかったことくらいか。しかし、彼が首相にまでたどり着くには、苦難の連続だった。

    自身が率いる派閥は常に少数派で、自民党の大勢力に飲み込まれそうになるたび、わずかなスキマを慎重に渡り歩く。その姿は風向きが変わるたびにクルクルと回る「風見鶏」と揶揄される。特に年齢も初当選も同じ、田中角栄との関係には細心の注意を払う。大卒で国家官僚OBのオレが、なんで同期で中卒の田中に気を使わにゃならんのだという感情を抑え、田中の首相就任を全力でバックアップ。その恩恵で自らも首相に就任するが、閣僚には田中派をズラリと並べ、「田中曽根政権」と、これまた揶揄される。

    こうした批判を受けつつも、中曽根首相は過去の苦労を糧に、時代の流れを読む能力に磨きをかけ、国内外に多くのコネを作り上げた結果、長期政権を維持できたのだろう。結果的に歴史ではなく政治史の中で中曽根が田中角栄よりも名を残したことは、ハッピーエンドとしてよくできている。

  • 保守最右翼のタカ派、最小派閥を率いた風見鶏というイメージを持つ政治家である中曽根康弘の評伝。読後、彼は外部環境やその他もろもろの要因を踏まえながらも、自分の信念とするところを実現するために動いてきたのがわかった。

  • 高坂が吉田ドクトリンを高く評価したように、本書は中曽根康弘の外交手腕を中心に、高く評価している。

    中曽根首相については、様々な評価がつきまとうが、こと外交政策においては現実主義的(日米安保を基軸とした独自外交の志向)なありかたは評価できると思う。

    あまり内政に言及がなかったような気がする。
    政治資源を国民からの支持(マスメディアをうまく活かすかたでの支持調達)は、小泉首相との親和性を感じる。もっとも、中曽根元首相は、小泉を相当批判しているというから皮肉だね。

  • 自主憲法制定を訴えるタカ派、主張を変える「風見鶏」、首相就任時も、田中角栄の影響下「田中曽根内閣」と批判された中曽根康弘。だが「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根は「大統領的首相」の手法によって、国鉄などの民営化を推進、中韓と蜜月関係を築き、レーガン米大統領やサミットを通し、日本の国際的な地位を大きく上昇させる。本書は中曽根の生涯を辿り、日本が敗戦から1980年代、戦後の頂点へと向かう軌跡を追う。

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中曽根康弘 - 「大統領的首相」の軌跡 (中公新書)の作品紹介

自主憲法制定を訴えるタカ派、主張を変える「風見鶏」、首相就任時も、田中角栄の影響下「田中曽根内閣」と批判された中曽根康弘。だが「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根は、「大統領的」手法によって国鉄などの民営化を推進、レーガン米大統領や中韓と蜜月関係を築き、サミットを通じて、日本の国際的地位を大きく上昇させる。本書は中曽根の半生を辿り、日本が敗戦から1980年代、戦後の頂点へと向かう軌跡を追う。

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