トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書 2361)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023612

感想・レビュー・書評

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  • 表紙をめくると、目にも鮮やか、口が熱くなりそうな写真が飛び込んでくる。
    真っ赤で辛くて美味しいトウガラシ。
    これは一体どこでう前、どのように広がり、どう使われてきたのか。
    小さいけれどすこびる(すこぶる)衝撃的なトウガラシの旅へ!

    トウガラシの生まれは中南米。
    どうもそこらへんに生えていたものらしく、今でも野生種が残っているという。
    大航海時代を経てヨーロッパに伝わったばかりの頃、彼らはこう言われていた。
    「食べると死ぬ」と。
    しかしそんな「死」を連想させる彼らは今ではカレーになくてはならないもの、ブータンではこれ抜きなんて考えられない、韓国では生活の一部となって私たちの舌をヒリヒリさせている。

    辛い辛い、でもつい食べてしまう。
    動物たちの中でもこんなへんてこな好みを持つのは我ら人間だけ.....ではないのだ。
    なんと鳥はパクパクとついばむのだそう。
    なぜなら、鳥たちは辛さを感じないからなのだそう。
    食べられて遠くまで運ばれ種を増やすことができる上に発芽率も上がるということだ。
    生命の不思議!

    この唐辛子の辛さを測定したいと思った人がいた。
    名をウィルバー・スコヴィルと言う。
    舌で感知できなくなるまで薄めて味わうという極めて単純な方法ながら、スコヴィルという単位を生み出し、機械測定できるようになった今でもこの単位を使う人は少なくない。
    日本の鷹の爪は50000スコヴィル程度らしいのだが、最初の方は辛くてヒーヒー言わなかったのだろうか.....。

    私の大好きなパプリカ。
    肉厚で美味しく、生でも火を通しても食べられ、彩り豊かな食卓になるので重宝している。
    スーパーで見るそれは大抵韓国産。
    しかし!パプリカの原産地はなんとハンガリー。
    これは知らなかった。
    しかも、壊れやすいビタミンCを効率的に抽出するにはこのパプリカが大活躍!
    ビタミン研究の立役者というのだから侮れない。
    ハンガリーに行った際には是非ともパプリカ料理を堪能したいものだ。

    トウガラシ、小さな体の偉大な冒険。
    敬意を示して今夜のおかずにはトウガラシ料理はいかが?
    とはいえ.....辛すぎない程度でお願いしますね。

  • この手の本ではひさびさのツボ本。ともかく面白い。

著者プロフィール

1943年生まれ。京都大学大学院博士課程修了、農学博士。現在、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学併任教授。専門は民族学、民族植物学、山岳人類学。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査研究に従事。1984〜87年にはペルー、リマ市に本部をもつ国際ポテトセンター社会科学部門客員研究員。主な著書に『インカの末裔たち』(日本放送出版協会、1992年)、『ジャガイモとインカ帝国』(東京大学出版会、2004年)、『ラテンアメリカ楽器紀行』(山川出版社、2005年)、『雲の上で暮らす——アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』(ナカニシヤ出版、2006年)、編著に『世界の食文化——中南米』(農産漁村文化協会、2007年)。アンデス・ヒマラヤにおける高地民族の山岳人類学的研究により今年(平成18年)度の秩父宮記念山岳賞などを受賞。

「2007年 『アンデス高地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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