宣教のヨーロッパ-大航海時代のイエズス会と托鉢修道会 (中公新書 2516)
- 中央公論新社 (2018年11月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025166
作品紹介・あらすじ
ルターに端を発する十六世紀ヨーロッパの宗教的動揺は、イエズス会というまったく新しい組織を生んだ。霊操と教育を重視し、異教徒への宣教を実践するイエズス会は、ポルトガル・スペインの植民地開拓と軌を一にして、新大陸やアジアへと進出した。かれらの思想や布教方法はどのようなもので、それはどんな経済的基盤に基づいていたのか。現地社会に与えた影響や「キリスト教の世界化」の行く末はどうだったのか。
感想・レビュー・書評
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宗教改革や大航海時代を背景とした,カトリック勢力の世界的な拡大についての概説。同シリーズの他著に比べると自説が薄いが,特に読みにくさは感じなかった。
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宗教改革の中から生まれ、新大陸やアジアに宣教の道を切り拓いたイエズス会の組織、霊操、経済的基盤を解説し、世界への影響を検証
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タイトルどおり、キリスト教の宣教の歴史。宗教改革から始まり、南米〜アジアの宣教に至る。日本のキリシタンとメキシコのアステカ人がキリスト教の宣教でつながったところにこの時代の「世界」が提示されている。
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宗教改革が発展していった16世紀、ローマ教会はプロテスタントとの争いから目を転じて信徒の拡大を目指し、世界へ進出していく。その一環としてイエズス会があり、ザビエルらの日本宣教があった。それまでの欧州にとって、隣接しているイスラム世界は全くの異世界ではなく、遠く離れたアジア、新大陸アメリカこそが未開の地だった!世界各地での洗礼者が激増し、正に世界宗教に発展していく。新興のイエズス会はポルトガルと、旧来の托鉢修道会(フランチェスコ、ドミニコ、カプチノ、アウグスチノ会など)はスペイン王国と共同し、日本はイエズス会の独占活動だった。そこにフランチェスコ会の日本進出、スペインの徳川との対立が持ち込まれたとは知らない事実だった。覇者になってからの家康が経済的苦境にあるイエズス会を助けたことさえあったとは!スペイン・ピサロ達による新大陸での残虐行為は、キリスト教の暗黒面として受け止められることが多いが、教皇パウルス3世が「貪欲な植民者からインディオを保護すべき」と書いているとは救いに感じるし、17世紀のイエズス会士アントニオ・ヴィエイラはインディオの労働条件緩和を植民者や国王に働きかけた!もっと知られてよい話である。1548年にマラッカで日本人アンジロウに会ったザビエルの日本人の理性的資質への期待を書いた書簡は興味深い。
宗教改革、地理上の世界発見などの世界の大きな変革期をも洩れなく書いたスケールの大きい本だ。 -
東2法経図・6F開架 B1/5/2516/K