平成金融史-バブル崩壊からアベノミクスまで (中公新書 2541)
- 中央公論新社 (2019年4月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025418
作品紹介・あらすじ
バブル崩壊後、長期低迷にあえぐ日本経済。金融当局は何を考え、何を見誤ったのか。取材をもとに「金融失政の30年」を検証する。
感想・レビュー・書評
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「ドキュメント 異次元緩和」(岩波新書)を買ってみたら、同じ著者の本書が積ん読状態だったことに気が付き、読んでみました。
金融機関の破綻処理や金融政策も理論だけでは動かず、政治の力学によって左右されることがよく分かります。
一つ思ったのは、適切な見通しを持つことが難しいのは理解できるものの、日本では政策決定の前提となる見通しが甘くなりがちなのでは、ということ。
これは少子化対策や年金問題についてもあてはまると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
臨場感がすごい
金融に関してはoptimisticは絶対駄目だと思った -
バブル崩壊からアベノミクスまでの平成金融史を詳述。バブル崩壊後の金融機関の連鎖的倒産についてその生々しい現状が当事者の口述などを通じて語られている。アベノミクス導入にあたっての、共同宣言の細かい文言についての関係者のせめぎ合いも、実に生々しい。昭和の金融史から学んでいなかったとする筆者の論調は手厳しい。過去から学ぶことができるか。令和の金融政策に期待を込めたい。
内容としては中上級者向けかと思う。 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28071094 -
自分が政策側の担当者だったらゾッとするなと思うことの連続だった。
金融に携わるのであれば、本書を読んで、日本の金融に何が起きて、今のような金融規制ができあがったのかは知っておくべき。 -
2019.07―読了
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2022/01/02
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誰に対しても等距離で、また、後から見れば「失敗」といわれるような判断も、その時代の理解に合わせて淡々と書き連ねているところが、心地よく(内容は心地よくないが)読み進められた要因。
それにしても、私が幼少期を過ごした平成時代が、遠い昔に感じられるようになってしまった。 -
人は選ぶと思いますが平成の時代の金融や政府側の動きがわかっておもしろかったですね。
どちらかと言うとドキュメンタリーで政治寄りですかね。 -
バブル崩壊から後始末に費やした15年。本書のキモもその平成前半にあたる15年で、後半戦については日銀の金融政策を中心として、あとリーマン・ショックを軽く扱う程度。東電救済、サラ金規制、地銀の苦境など、おもしろいテーマは他にもあった気がするけれどね。ジャーナリストが(おそらく)自分の取材をベースに書いているものなのでやむを得ないか。まあ、バブル後始末に比べればネタが小粒と言われるとそうかもしれない。
時系列で起こったことをひたすら連ねていきながら関係者の証言で多少の味付けをしていくジャーナリスティックなスタイル。自分がほぼリアルタイムで知っている出来事を歴史として読み返すので、つい自分史と重ね合わせてしまうのも一興。しかし、なんという長い時間、多大な労力が注ぎ込まれたことか。
後知恵で読めば公定歩合5%なんてナンセンスに思えるが、当時は地価もいつかは回復すると思っていた人が多数派だったのだろう。われわれも物価上昇がふたたび訪れると信じられないくらいになってしまったが、この先はどうなることやら。