織田信忠―天下人の嫡男 (中公新書 2555)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025555

作品紹介・あらすじ

父信長から才覚を認められ、十九歳で織田家家督を継いだ信忠。将来を嘱望されながら本能寺の変で非業の死を遂げた武将の生涯を辿る。

感想・レビュー・書評

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  • ★★★2020年4月★★★


    織田信忠に興味を持ち始めてからもう26年。
    ちょうど信忠の生涯と同じ年数だ。『信長公記』を読んでも、信長軍団に詳しい谷口克広氏の著作を読んでも、なぜこんなにも長く「信忠凡庸説」が世に広まっていたのかが不思議で仕方ない。
    この本『織田信忠』は、真正面から信忠を取り上げた著作として画期的だと思う。近衛龍春氏の小説で取り上げられたのは知っているが、新書は初めてなので、本屋で見た瞬間に即買いだった。


    僕が今回、目を引いたのは信貴山城攻め。
    あの戦いは、あっけなく片付いたから大したことのないものと思われがちだが、少しでも時間をかければ織田政権が揺らぐ可能性もあったこと。松永久秀のような老獪な敵がこもる城を短時間で片づけたのは武将としての実力がある証拠だという事。この戦いを信忠の実力を示すものとして取り上げた意義は大きい。


    次に神吉城攻め。
    秀吉の三木城攻めのついでのように扱われるこの戦いも重要なものとしてとらえている。播磨全体を敵にかわしてしまった秀吉の大失態(←これも画期的な考え)を挽回したのは信忠だという。


    次々を列挙ばかりだが、岩村城をはじめとする東美濃の攻防はもっと研究されていい分野だと思う。明智光秀もあのあたりの出自だというし。武田氏との攻防においても非常に重要な地域だと思う。


    あの司馬遼太郎ですら「信忠は凡庸」と決めてかかっていたのは本当に不思議だ。
    この本をきっかけにどんどん信忠研究が進むことを期待したい。

  • 信長の嫡男信忠リスペクトの一冊。

  • 織田信長の後継者である信忠を扱った作品。
    資料や逸話が少ないようですが丁寧に信忠を追っていて楽しく読めた。
    信長影響下から脱する前に亡くなったため実績に対して過小評価されてるようですが想像力を掻き立てる人物でした。

  • 織田信忠というと影が薄く凡庸だったかのような印象を持ちがちだが、実は有能な武将であった。活躍したのが僅か10年ほどではあるが、信貴山城攻めや武田攻めでの武勲は大きい。そんな信忠の人物像を、一門衆、軍事、権門との関係、家臣、人物像、本能寺の変などの視点から記述する。

  • 織田信長の嫡男信忠の26年の生涯をたどる一冊。父信長の影であまり目立たない印象だけれども、武田攻めなど実績もしっかり残している武将だということが分かった。意外と史料が少ないのは、やはり織田家が没落してしまったからか。

  • 次期天下人として着々と経験を積んでいたことがわかりました。武将としての活躍だけでなく領国経営についてはどうだったのでしょう。信忠が本能寺の変を生き延びていれば秀吉とはまた違った天下統一のかたちがあったのでしょうか。秀吉が軍拡路線を止められずに朝鮮出兵までしてしまいましたが、信忠なら内政を充実させてもっとスムーズに天下泰平の世をもたらすことができたのか。歴史のifを考えるのも面白いですね。

  • 偉大な父を持つNO.2で、父とともに早く亡くなり、間も無く一族も衰退したので、「よくわからないけどすごかったかも」ということはわかった。

  • 序章 信長の陰に隠れて
    第1章 信忠の一門衆
    第2章 父信長のもとで
    第3章 独り立ち
    第4章 天下人の後継者
    第5章 本能寺の変
    終章 織田家督の行方

    著者:和田裕弘(1962-、奈良県、日本史)

  • 天下人の二代目。織田家の長男である信忠。歴史シミュレーションでは知っていますが、彼の実像となるとなかなか知る機会はありませんでした。織田家の跡取りや信長の後継者としての立場もあったかもしれませんが、武田勝頼への猛攻や本能寺の変での最後などを知ると有能な人物であったのかもと言うことが分かります。
    但し、信忠ならば一癖も二癖もある秀吉などの家臣たちを纏めあげることができたのかは怪しいかなと感じます。それでも信忠に限らず歴史のifは好きです。

  • いろいろ文献を読んで調べているのはわかるが、この本のまとめ方は一体何なんだろ。
    時系列になっていなくてわかりにくい、わかりにくい。
    信忠といえば、
    例の部下に上げる報奨品のエピソードと、
    信貴山城攻めで松永久秀を滅ばしたのと、
    武田攻めで武田家を滅ぼした。
    これくらいしか記録がないらしい。
    あとは、信長の跡取りとして、別格扱いされていたこと。
    本能寺の変のとき、信長は真っ先に信忠の謀反を疑ったこと。本能寺の変で、ひたすら逃げることをせず、多勢に無勢で明智光秀に討ち取られたこと。これが信長なら、一騎でも逃げて逃げて逃げ延びただろ。
    というわけで本書はあまり知的好奇心を刺激されることなくフラストレーションだけが残った。

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著者プロフィール

和田裕弘
1962年、奈良県生まれ。戦国史研究家。織豊期研究会会員。著書に『織田信長の家臣団―派閥と人間関係』『信長公記―戦国覇者の一級史料』『織田信忠―天下人の嫡男』『天正伊賀の乱』(いずれも中公新書)など。

「2023年 『柴田勝家 織田軍の「総司令官」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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