古代マヤ文明-栄華と衰亡の3000年 (中公新書 2623)
- 中央公論新社 (2020年12月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121026231
作品紹介・あらすじ
かつて中米に栄えた古代マヤ。密林に眠る大神殿、高度に発達した天文学や暦など、神秘的なイメージが強かったが、最新の考古学研究で「謎」の多くは明かされている。解読が進んだマヤ文字は王たちの事績を語り、出土した人骨は人びとの移動や食生活、戦争の実態まで浮き彫りにする。長年発掘調査に携わった著者が、マヤ文明の実像を描き出す。
感想・レビュー・書評
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古代メキシコ文明、第二弾。マヤ文明の研究者による研究の現在地。
子供のころに雑誌やTVの特集では、マヤ文明は、忽然と森の中に消えたやら、発展に宇宙人との交流があったやら、オカルトじみた話が多かったが、研究が進み、人類が築いた偉大な文明のひとつであると、今は認識できる。
特に驚いたのはストロンチウムなどの同位体を用いて、その人物がどこで育ち、どのような生活を行っていたかを測る研究。採取できたデータに考古学的な考察をいれて、当時の様子がより鮮明に明らかになっていく様は、非常に興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
碑文の解読などを通して判明した諸勢力の興亡も興味深かったが、科学とも連携した最新知見に基づく検討が面白い。安定同位体を用いた移民動態の議論や、考古人骨研究によるマヤ時代の戦争の実像考察など読んでて楽しかった。
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古代マヤ文明の諸相を、最新の研究成果を踏まえて概説した書。考古調査による新発見や、近年の研究で大きな成果を挙げている考古人骨研究(生物考古学/バイオアーキオロジー)の知見を織り込みつつ、諸都市国家が興亡した古代マヤ世界の様相を一望する。
本書は、研究の進展著しい古代マヤ文明についての概説書である。古代マヤ文明については先に青木和夫氏の『マヤ文明――密林に栄えた石器文化』(岩波書店)を読んでいたのだが、あれから9年が経過したとあって本書は更に最新の研究成果が紹介されていた。内容としてはマヤ考古学の研究史から始まり、各地方の歴史や考古人骨研究の視点から見たマヤ文明の姿についてを解説する。
本書を読んで驚きであったのは、古代マヤ文明が「"戦国"ともいうべき」動乱に満ちた世界であったということである。かつては「戦争のない人類史のユートピア」とさえ言われていた古代マヤ世界であったが、近年の石碑解読や考古調査から見えてきたのは群雄割拠する国々が交流と騒乱を繰り返す興亡の歴史であった。本書では各地の歴史をその地に興った諸国家の様相から紹介しており、各地の王の名やその事績まで詳しいことが判明している現代の研究の進展ぶりに驚かされた。
また本書は考古人骨研究――即ち発掘した古人骨を科学的に分析し、考古コンテクストを踏まえて精査・解釈する視点に着眼を置いている。本書では「移民動態」、「古代マヤの食生活」、「戦争の様相」について考古人骨研究の成果が具体的に紹介されており、実際の研究から考古人骨研究の考え方が分かりやすく解説されている。
最後に、本書を読んで印象深かったのは著者の「考古学で得られた知見は広く市井の人々の中に伝えられなければならない」という姿勢である。遺跡保護といった考古遺物への社会的関心の低い現代の中米では、開発に伴う遺跡の破壊や遺物の盗難が考古研究において問題となっている。だからこそ、最新の研究成果を積極的に市井に政に発信することで「現地の人々が、自らの手で考古遺物を守る」という意識を醸成していかなければならない。これは先の青木氏の著書でも強く主張されていたことであり、同じ古代マヤ文明の研究者として共通の意識・課題があるのだなと強く印象付けられた。 -
かつて中米に栄えた謎多き文明。解読が進んだマヤ文字は王朝の興亡を伝え、遺物・人骨は人々の生活を雄弁に語る。最新研究で謎に挑む
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古代マヤ文明のあらましが良く分かった。ティカルとカラクムルの戦争など、中国の呉越の争いのようだ。それにしても、なぜマヤ文明は崩壊したのだろう。他人事とは思えない。
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マヤ文明っていつから始まっていつ滅びたのか,どこで栄えたのか,全然知らないな...
文明内でも群雄割拠,戦争がたくさん起こってて,
「不幸にもスペインに侵略された悲しき運命を背負った文明」とは言えない見たい.
最初は狩猟採取民だったのが農耕を始め,組織を作り,それが大きくなり,権力が生まれ,戦争が生まれ,余暇があたらしい知を産む(天文学や数学etc)という流れがここでも起きており,人類の発展は場所が変わっても一緒なんだなあと
考古学の技術が発達して昔のことがどんどんわかるようになったらしい.そのあたりも気になる. -
東2法経図・6F開架:B1/5/2623/K
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マヤ文明の歴史が良くわかった