政界再編-離合集散の30年から何を学ぶか (中公新書 2651)
- 中央公論新社 (2021年7月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121026514
作品紹介・あらすじ
1993年に細川政権が発足し、日本政治は政界再編の時代に突入した。非自民勢力の結集は新進党で一度失敗するが、二度の合流で拡大した民主党が2009年に政権交代を果たす。しかし政権が崩壊すると民主党は四分五裂し、「第三極」も浮沈が激しく「一強多弱」に陥っている。大同団結しなければ選挙に勝てず、政党が膨らめば路線対立が激化する――ジレンマを乗り越え、政権交代可能な政党政治を実現する道を示す。
感想・レビュー・書評
-
何で政党がこうもくっついたり離れたりを繰り返すのかが分かりやすく書かれていました。
これからの政治を考えるためには、過去に何があったのかであったり、どういった力で政治が動いているのかを知ることはやはり大事ですね。
最近政治に関心を持ち始めた人にも良い一冊だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いよいよ本日衆議院解散。短期決戦、今月31日の投票日に向けて各党は公約を発表していますが、自民も分配、立民も分配、争点はいったい何なのか?都議選でもそうでしたが、何を持って候補者を選ぶのか、政党を選ぶのか、たぶん選挙当日になってもわからないような予感…です。この選択肢の無い感じは日本だけではなくて世界的な傾向であると「無理ゲー社会」の著者、橘玲が、最近どっかの新聞でインタビューに答えていたっけ。どんな政党が政権を担っても、取りうる政策は似てくるとのこと。でも政治改革から生まれた小選挙区制って、アメリカの民主党VS共和党、イギリスの労働党VS自由党みたいな二大政党による政策論争をするためのシステムだったのでは?この新書の政党変遷図にある「新自由クラブ」「社民連」「日本新党」「新党さきがけ」「新生党」「新党みらい」「連合の会」「民主改革連合」「自由連合」「新進党」「市民リーグ」「太陽党」「フロムファイブ」「国民の声」「新党友愛」「改革クラブ」「自由党」「新党平和」「黎明クラブ」「民政党」「保守党」「国民新党」「新党日本」「みんなの党」「新党改革」「たちあがれニッポン」「新党大地」「新党きずな」「減税日本」「太陽の党」「日本未来の党」「生活の党」「結いの党」「次世代の党」「日本を元気にする会」「日本のこころを大切にする党」「改革結集の会」「民進党」「希望の党」…二大政党になれなかった多弱の党たち。消えてしまった新党たち。投票用紙が向かう先になり得なかった泡沫の政治集団たち。さてさて31日はこの繰り返しになるのか?新しい始まりになるのか?とにかく問題山積だからこそ、意思表明としての投票はしなくっちゃ、と思うのですが…
-
政界再編史。
55年体制の終結から現在までの政界再編を丸々一冊使って丁寧に解説していく。いやぁ諸々完全に忘れてました。あんな党こんな党あったなぁ。
各党の離合集散をただ書き連ねるだけでなく、なぜその様な動きが起きたのか(逆に起きなかったのか)をしっかり解説し、最後の章では今後の政治に必要な動きまで述べている。
選挙前には必ず読みたい一冊。 -
政党の離合集散史から法則を見出そうとして、ある程度は成功しているか。09年選挙前に自民党から脱出する動きがなかった理由を、大政党の受け入れ可能性、第三極の注目度不足による消極的選択としているが、これはピンとこない。小選挙区下の自民党候補ならではの事情だったのでは。
(おおさか)維新が小選挙区で善戦していることの分析が視野外になっている。地域政党にはこれまでの小政党とは違うメカニズムで離合集散があるのでは。
2003年以前の解散についてその理由が書かれてないのは残念 -
山本健太郎(1978年~)氏は、東大経済学部卒、東大大学院総合文化研究科博士課程修了、東大先端科学技術研究センター特任研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)、北海学園大学法学部准教授等を経て、同教授。専門は政治学、現代日本政治。
本書は、1955年の保革合同以後、特に、1993年の自民党の分裂(自民党、新生党、新党さきがけ)以降の政界再編について、時系列に振り返ったものである。尚、2021年7月出版であり、同年10月の衆議院選挙はカバーされていない。
章立ては以下である。
序章:政界再編前史(1955~1988年)
第1章:政界再編の始まり(1988~1994年)
第2章:新進党の挑戦と挫折(1994~1997年)
第3章:三つの民主党(1998~2005年)
第4章:政権交代へ(2005~2009年)
第5章:政権交代の光と影(2009~2011年)
第6章:崩壊する民主党政権(2011~2012年)
第7章:一強自民と多弱野党(2012~2017年)
第8章:政界再々編への困難な道(2017~2021年)
終章:政界再編とは何か
私は還暦近い会社員だが、2021年の衆議院選挙は、幸か不幸かコロナ禍の自粛が続いていたために、これまでの国政選挙で、間違いなく最も多く報道番組を見る時間があったし、日本の政治に対して改めて関心を持つきっかけになったのだが、更に、日本の現代政治史を振り返るべく、『現代日本政治史』(大井赤亥/2021年9月)や本書を読む機会にもなった。
本書は、上記の通り、約30年の政界再編の歴史を振り返ったものだが、ニュートラルなスタンスで、淡々と事実を記述しているため、通読するのは少々退屈ではあるものの、逆に言えば、バイアスがかかっていないために、史実を知るのには適しているし、手元に置いておく意味のある一冊である。(正直なところ、数年前の事実であっても、ほとんど記憶に残っていないことも多く、少々驚いた)
尚、『現代日本政治史』の方は(著者の大井氏は政治学者で、昨年の衆議院選挙に立憲民主党から出馬し落選した)、1993年以降の政治を、政党間対立ではなく、改革派と守旧派の対立という構図で読み解いており、読み比べてみるのも面白いかもしれない。
(2022年1月了) -
2021年度第2回見計らい選定図書
http://133.11.199.94/opac/opac_link/bibid/2003566880 -
これまでの政治の流れが分かった
民主党政権前後のことはよく覚えているので興味深く読めた
一強多弱は選挙システムの構造上の問題で今後も克服できるか怪しい -
55年体制が終わった1993年以降の政界再編の変遷について、その時々の背景を元に振り返りながら、政界再編とは何だったの?と言うことについて考察されてます
印象的なのはなんと言っても「政界の壊し屋」と言われている小沢一郎氏
政界再編の勘所には必ず小沢氏が深く関与していることがよくわかった。「政界の壊し屋」と呼ばれている所以を知ることができたと共に、一方で、二大政党制、政権交代があり得る緊張感のある状態を作ったことは、ある意味功績なのかなと思いました
なぜ、野党が離合集散を繰り返すのか、なぜ自民党は下野した時にそうならずに済んだのか、などなど、本当によく分析されてて、とても興味深かったです