アケメネス朝ペルシア- 史上初の世界帝国 (中公新書, 2661)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026613

作品紹介・あらすじ

2500年前、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる「史上初の世界帝国」として歴史を刻んだアケメネス朝ペルシア。征服と領土拡大をくり返すなか、王はアフラマズダ神の代行者として、この地上世界の統治にむき合った。古代オリエント世界で栄華を極めるも、アレクサンドロス大王の東征によって滅亡し、強く儚い220年の歴史は幕を閉じた。9人の王の治績を軸に、大帝国の全貌と内幕を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 前著「ペルシア帝国と小アジア」を読んだ感想として、アケメネス朝ペルシアのところを掘り下げて欲しいな、と思っていました。
     史上初の大帝国であるアケメネス朝ペルシアの建国から滅亡まで、丁寧に異説があるものは注釈や解説を入れて触れており、とても分かりやすかったです。裏の帯の「王たちの華麗なる統治と滅びへの晩鐘」もかっこいいではないですか。
    ま、人によって何が面白いんだ、と思うでしょうけど、とにかく自分はこの時代が好きなので、いつもより時間をかけてじっくり読み、至福の時でした。はい。
    特に、一般的な世界史の授業で習うのはギリシャ史観ベースのものですが、ペルシアの文脈に沿ってペルシア史を解釈するという論調もGood。
     本書は2020年の後半にコロナ禍の中、籠って作業し、書いているうちに現地調査に行きたくなった、とのことですので、是非、現地調査の新しい知見を入れ、次回作をお願いしたいなと、期待を込めて閉じました。

  • 確実かどうかよくわからない情報が、そうであることが知らされないままに、インターネットを通じて瞬く間に拡散されてしまう今の世。

    そのような世の中とは一線を画しているのが本書である。舞台は紀元前、残された史料から、「世界最初の帝国」であるアケメネス朝ペルシアの栄枯盛衰を、王座に就いた人物の記述から読み解く。冒頭の章で基礎資料とその特性(信頼性を含む)を紹介し、書き手の扱う世界はっきり示したうえで各王の記述に入る丁寧さが、読み手の信頼感を勝ち取最大の要因である。その後も各章で、典拠とした資料の性質についても付言されている。

    安易な断定を避け、確からしいと思われることを、根拠(とその限界)を明示しながら論じる筆者の姿勢に、読者である私はすぐに引き込まれてしまった。

    それにしても、広大な領土を手にした者が、更に広い土地を求めることは、紀元前から続く人間の性なのだろうか。

  • アケメネス朝を史上初の世界帝国とする著者の見解は説得力がある。その画期的な王朝の通史として、入門編としてとても読みやすい。世界史上にも大きな影響を残したアケメネス朝だが、驚くほどにわからないことは多い。どんな史料があって、どんなことが言えるのか――著者の姿勢は誠実で、歴史学というもののあり方を知るのにも役立つ一冊であると思う。

  • アジア・アフリカ・ヨーロッパ3大陸にまたがる「史上初の世界帝国」アケメネス朝ペルシアの220年の歴史を9人の王の治績を軸にたどる。どういう史料に基づいてどういう史実が復元され、どういう限界があるのかが丁寧に描かれている。
    キュロス2世やダレイオス1世、ペルセポリス、ペルシア戦争、ゾロアスター教など高校世界史の冒頭部分の記憶が甦るとともに、それらの背景や詳細を深く知ることができた。
    著者が「あとがき」で、(数少ない史料を、)スルメか酢昆布のごとく、味がしなくなるまで噛みつくすのが、アケメネス朝ペルシア史研究の醍醐味と書いていたが、西洋古代史を、特に日本で研究することの難しさと面白さも感じた。

  • アケメネス朝ペルシア帝国の成立から滅亡までの歴史がよくわかった

  • 久しぶりにこういう本、こういうジャンルを読んだ。
    おもしろかったー。

    アッシリア、バビロニア、エジプト、ギリシアとのペルシア戦争…懐かしい。昔習ったなぁ。

    アケメネス朝の9人の王が1章ずつ取り上げられていて、それぞれの王の治世に周囲とどのような関係にあったかがおなじみヘロドトスやクテシアス、クセノポンなどのギリシア語史家たちが書き残した史料や王たち自身が残した円筒形碑文などの史料を示しながら記述されていて分かりやすかった。

    こういう本を読むと浮世を忘れることができる。
    同時に、この時代からずっと今まで続いているんだなとも思う。

  • ペルシア戦争をより多面的に理解したいという動機で読みました。

    アケメネス朝ペルシアの歴代王の軌跡、歴史的前後関係・諸国との外交関係がよくわかる良著でした。

  • 古代オリエントにて栄華を極め、アレクサンドロス大王に滅ぼされるまでの歴史を、王を軸として描き出す内容。旧来の理解を見直すべき点や論点について、研究史も踏まえての叙述が分かりやすい。史料の性格についての解説も助かる。

  • ペルシア帝国200年の歴史を歴代帝王の事績に沿って紹介している。

  • アケメネス朝に関する新書は色々あるが、この本は日本史に関する本を読んでいる時と同じように、登場人物たちが、生き生きと動いている。また、ペルシア史について記述しているギリシャ人の歴史家たちについても親しみを覚える。

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著者プロフィール

京都府立大学文学部歴史学科准教授
1978年 愛知県生まれ
2008年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了
     京都大学博士(文学)
2012年 日本学術振興会海外特別研究員(リヴァプール大学・ライデン大学)を経て、現職
主な著書
『ペルシア帝国と小アジア─ヘレニズム以前の社会と文化』(京都大学学術出版会)

「2019年 『ペルシア史/インド誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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