縄文人と弥生人-「日本人の起源」論争 (中公新書 2709)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027092

作品紹介・あらすじ

日本人は、在来の縄文人と渡来系弥生人の混血によって生まれた。「日本人の起源」の定説である。しかし、この縄文/弥生人モデルが二〇世紀後半に定着するまで、人種交替説、固有日本人説、混血説、変形説など、様々な説が唱えられてきた。研究の進展とともに、見え隠れするのは同時代の社会からの影響だ。近年は縄文/弥生の二分法を超える日本人像が登場。起源を訪ねた研究者たちの足跡を辿り、日本人の自画像を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 土器と人骨に魅せられた男(←読み終わって気づいたが、本書には女性研究者が一人も登場しない!)を、ギョウカイの外から記載した本書。

    「縄文人=素朴」、「弥生人=農耕文化」という単純な見方そのものが、科学的にはあまり根拠のないものだということが分かった。

    業界にいない分だけ、特定の人の研究や人格を否定する記載がほとんどなく、その意味で安心して読み進めることができた。

  • 明治期には石器時代の遺物はすべて先住民(アイヌ、コロボックル)のものと考えられていた。また記紀の信頼性が非常に高く、神武東征が歴史的事実としてとらえられていた。
    鳥居龍蔵は弥生土器を残したのが固有日本人で、アイヌの石器時代と日本人の祖先の石器時代があったとし、人種交替モデルが主流だった。
    戦中から戦後における日本人起源論の二大学説は長谷部言人の変形説と清野謙次の混血説。
    戦後、1946年9月市川市国府台にグロートが日本考古学研究所を設立、58年に閉鎖。
    1946年に秋田県大湯環状列石の調査。1947年から始まる登呂遺跡の発掘と日本考古学協会の創設。
    1946年秋、相沢忠洋の岩宿遺跡の発見、49年杉原荘介らが発掘、旧石器の発見。
    登呂遺跡の熱狂と弥生=稲作、平和な水田耕作のイメージ。
    現在は縄文/弥生人の二重構造モデルが主流。

  • ※副題が本題です。
    縄文・弥生をどう捉えるか、日本人起源論の変遷、
    記紀への意識やイデオロギーなど時代状況の与える影響などの考古学、人類学の学問の歴史を明治期から現代まで辿る
    著者は科学史が専門

  • 「日本人の起源」の定説が20世紀後半に定着するまで、様々な説が唱えられてきた。骨と土器に魅せられ、起源を探求した研究者たちの100年の物語を辿り、日本人起源論の思想的流れと政治・社会の関係について考える。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40288749

  • 【請求記号:469 サ】

  • 肩透かし。縄文人と弥生人の違い、それぞれの出自が解き明かされるものと期待したが、隠しテーマは、学問と政治・社会の関係?権力に媚びへつらう輩に日本人の起源まで脚色される。掻き立てられた古代へのロマンが音を立てて砕け散る。古代史は忖度の重ね塗り?人物紹介手短にすれば、もっとわかりやすくなったのに…残念。“神の手”による旧石器遺跡の発掘捏造報道が、可愛く思えてきたし、起きるべくして起きたんだと納得…。

  • 標題だけ見てとっさに買ってしまったが内容は考古学の歴史で、縄文時代がなかなか出てこないのが、新鮮だった。それだけ新しい概念であることがよくわかった。日本人の起源を探究する試みはまだまだ続くのだろう。

  • 近代日本の人類学・考古学における縄文人や弥生人をめぐる研究を科学思想史の観点から検討。
    タイトルから期待した内容とは結構違っていて、ちょっと肩透かしを食らった感じだが、戦前・戦中を中心とした人類学者・考古学者たちの群像劇としては面白かった。
    戦中はいずれの人類学者・考古学者も日本人の祖先の海外からの渡来には口を噤んでいたというエピソードをはじめとして、学問は、その時々の政治・社会の影響を免れないということにも思い至った。

  • 縄文人と弥生人に焦点を当ててはいる。日本考古学の歴史であり、考古学者の人物とエピソードと主張の歴史であるので、考古学に興味があり、その歴史をざっと復習したい人にはいい本だと思われる。

  • 縄文時代から弥生時代の解釈を明治以降の変遷がよくわかった

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著者プロフィール

日本大学経済学部教授。専攻は科学史、人類学史。著書に『帝国日本と人類学者』(勁草書房)、共著に『人種の表象と社会的リアリティ』(岩波書店)、『人種概念の普遍性を問う』(人文書院)など。

「2010年 『帝国の視角/死角』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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