縛られる日本人-人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか (中公新書 2715)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027153

作品紹介・あらすじ

人口減少が進む日本。なぜ出生率も幸福度も低いのか。日本、アメリカ、スウェーデンで子育て世代にインタビュー調査を行いデータとあわせて分析すると、「規範」に縛られる日本の若い男女の姿が見えてきた。日本人は家族を大切にしているのか、日本の男性はなぜ育児休業をとらないのか、日本の職場のなにが問題か、スウェーデンとアメリカに学べることは――。アメリカを代表する日本専門家による緊急書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 男性が育休取りづらい理由 [評] 吉岡忍(ノンフィクション作家)
    <書評>縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/770084

    労働ファーストの日本が人口減を止めるには ハーバード大教授の提言:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASR1L643VQDRUHBI03C.html

    Mary C. Brinton
    https://scholar.harvard.edu/brinton/home

    縛られる日本人 -メアリー・C・ブリントン 著/池村千秋 訳|新書|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/shinsho/2022/09/102715.html

    • 本ぶらさん
      ご無沙汰です(^^ゞ

      これって、どうなんです?w
      アマゾンで見ていて、ちょっと引っかかって、アマゾンのレビューを見たり、ブクログの感...
      ご無沙汰です(^^ゞ

      これって、どうなんです?w
      アマゾンで見ていて、ちょっと引っかかって、アマゾンのレビューを見たり、ブクログの感想を斜め読みした程度なんですけど。
      個人的には、正論はもちろんありつつも、結局、今あちこちで言われているからこそ、納得出来ちゃうって程度の話なんじゃない?って感じちゃったんですよね(爆)

      人口減少っていうけど、自分の祖父祖母の世代、親の世代、自分の世代と順に子供の数は少なくなっていく。
      それは、日本と同じような経済発展の流れの中国でも同じような傾向があるわけで、要は暮らしが豊かで便利で楽しいことがいろいろある世の中というのは、そこに住む人の価値観として子供の数が少なくなる傾向にあるっていくっていうことですよね?(^^ゞ
      スウェーデンやアメリカ社会に日本より優れた面が沢山あるのは確かだと思うけど、問題だっていっぱいあるし。日本にだっていいところはなくはない。

      そんな風に、あー、いわゆる今の世の中にウケる本だなーって自分は思ってしまったんですけど(^^ゞ
      まー、実際はどうなのか?
      読んでみればいいんだろうけど、今はミステリー小説に読みたいのがイッパイあるからなぁーみたいなw
      2023/02/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      本ぶらさん
      読んでないから、何とも言えませんが、要因の一つを挙げているだけのような、、、
      本ぶらさん
      読んでないから、何とも言えませんが、要因の一つを挙げているだけのような、、、
      2023/02/01
  • 女性活躍推進の次は、男性育休推進。大いに結構だが、子供のいない立場からすると、どうしても、モヤモヤが残る。今回も消化不良。

    育休取得を受け入れる上司や、欠員の影響を受ける残された同僚達だって、プライベートがある。私の身近には、育休取得者のしわ寄せをくらい荷重労働になって、デートにも行けない独身者や、子供を望んでも授からないカップルがいる。

    子育て中の社員をフォローする人達を手助けする議論は、この日本ではいつ始まるのか。「まずは社員全体の残業削減」等といった、漠然とした課題にすり替えられ、後回しにされていないか。真っ先に手を上げて、育休を取得した従業員が英雄扱いされる風潮になっていないか?

    顧客があり、やらなければならない仕事は、本当に少ない人数で長時間労働で終わらせないといけないのか。いっそ、放棄して良いと思う。そして放棄した労働者が、人事待遇で不利益を被らないように守られるべき。納期に間に合わないのは、十分なリソースを用意しない経営者の責任、無茶な納期を要求する顧客の責任だろう。

    この国は、ママの支援にフォーカスした時期、続いてパパの支援にフォーカスする時期を経て、いい加減に、その他の人達を支援する政策提言や議論を始めるべき。

  • 人口が急減する日本。なぜ出生率も幸福度も低いのか。
    ハーバード大学ライシャワー日本研究所の所長による現代日本への現状把握と考察

    結論:日本人が幸福で、出産率を上げるためには、「夫が積極的に育児と家事に参加すること」そのためには、男性の育児休業を義務化して強制的に実施することだという

    気になったことは次の通りです。

    ・新しく生まれてくる子どもの数が減り、しかも平均寿命が目を見張るほど上昇しているため、日本では人口が減少しているだけでなく、社会の高齢化が驚異的なペースで進んでいる。

    ・日本は、人間ファーストではなく、労働ファーストです。

    ・日本の人たちは人生への満足度が低い。そして、国際的な研究により、人生への満足度が高い人ほど、子どもをもうける確率が高いという強力な実証データが得られている。

    ・仕事と家庭の両立を支援するための制度や、政策が充実している国では人々の幸福感が高まり、その結果として子どもの数も増えると考えている。

    ・子どもが親と一緒に過ごす時間をどうやって増やすか。日本では、母親が仕事を辞めるか、勤務時間を減らすかを選択すべきだと考えている。

    ・日本の男性は、他のポスト工業社会に比べて、子どもと一緒に過ごす時間が極めて少ない。日本人は、父親が家族と一緒の時間を過ごすことを必ずしも重要視していない。

    ・日本では、女性の育児休暇取得率 81.6%に達しているのに対して、男性は、12.7%にとどまっている。

    ・日本では妻の母親や夫の母親による支援を頼りにする人が多い。

    ・育児休業を取得する男性の割合が増加すると、その地域の女性が第二子を産む確率が高まることを明らかにした。夫の参加が当たり前だという社会規範は、若い女性たちの出産に関する意思決定に影響を及ぼす。

    ・どちらの国でも、夫の給料が妻より大幅に高い場合は、夫が育児休暇を取得する確率が低かった。

    ・女性の睡眠時間が男性より少ない国は日本だけだ。

    ・有償労働と、無償労働の時間を合計すると、日本人女性の週平均労働時間が男性にほぼ匹敵すると聞くと、驚く人も少なくないだろう。

    ・日本の男性は家庭で家事と育児の15%しか分担していない。

    ・夫が家事と育児に積極的に参加すれば、妻が仕事と家庭を両立しやすい

    ・夫が家事を多くこなしている夫婦では、妻がより多くの子どもを欲しがる傾向がみられる

    ・夫が幼い子どもの世話をすることに時間を費やせば、妻は、夫が家庭を大切にするつもりなのだと理解する。

    ・赤ちゃんを入浴させる時間までに帰宅する父親がふえれば、日本の出生率が高まるかもしれない。夫の育児参加の重要性は極めて大きい。

    ・雇用の保護がほぼ皆無のアメリカでは、日本のような国よりも頻繁に転職が行われる。正社員、非正規労働者、パートといった概念はなかなか理解できない。アメリカでは終身雇用に類する仕組みが失われて久しく、正規被雇用者という言葉を聞いても意味が解らない人がほとんどだろう。今日のアメリカに終身雇用という考えはほぼ存在しない。

    ・日本の男性たちがどのように生きるかはみずからの願望や選択よりも、勤務先の会社の意向によって決まっている面が大きい。

    目次は、以下です。

    序章 日本の驚くべき現実
    第1章 日本が「家族を大切にする社会」だという神話
    第2章 日本では男性は育児休業を取れないという神話
    第3章 なぜ男性の育児休業が重要なのか
    第4章 日本の職場慣行のなにが問題なのか
    第5章 スウェーデンとアメリカに学べること
    第6章 「社畜」から「開拓者」へ

    謝辞
    参考文献

  • インタビューをもとにしていることで、作者曰くミクロなレベルで具体的なケースとして考えられるのは分かりやすかった。すごく目新しいわけではないけど、タイトルがそのままなんだね、いくら制度があっても私たちは規範に縛られているだろうなぁ。

  • 本書の難点をあげると、比較対象がスゥェーデンとアメリカの2国だけであることだ。
    わずか2つの国を参考にするだけでは説得力に欠ける部分がある。
    ただし、私の知る限り、単身赴任の問題の指摘に接したのは本書が初めてである。
    本書に挙げられた日本社会の問題点は、頭の痛い問題ばかりである。

  • アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。
    具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範であると主張し、その解決のために、①子どもを保育園に入れづらい状況をできる限り解消する、②既婚者の税制を変更する、③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す、④ジェンダー中立的な平等を目指す、ということを提案している。
    著者の主張は、データに基づく国際比較や詳細な子育て世代のインタビューに裏付けられており、かなり説得性があると感じた。
    正直、最近は男性の育児休業に対する忌避的な考えはほとんどなくなってきているのではないかと思っていたが、それはおそらく公務員という自分の立場によるバイアスが影響しているもので、まだまだ日本社会では男性の育児休業に対する理解が深まっていないのだということを思い知った。育児休業等の制度は他国に比べても充実しているのに、その活用が大幅に見劣りするのは、やはり社会規範、意識の問題が大きいのだと思う。
    人口減少、少子化に歯止めをかけるために、日本も「共働き・共育てモデル」に社会を変えていかないといけないと強く思った。その上で、日本社会を著者の政策提案はどれもやるにこしたことのないものばかりで、特に、男性の育児休業の義務化は強制的に社会規範を変えていくためにとても有効な一手だと思う。
    ただ、日本社会に根深く残る男女の役割に関する社会規範、ひいて言うと深層心理が原因ということであれば、小手先の制度的対応では限界があるような気もした。明快な対案があるわけではないが、もっと一人一人の意識の面から変えていかないといけないのではないか。
    その点で、日本の男性が家事育児を全然担っていない状況は、単に長時間労働等のためだけではなく、男性自身の意識の問題の面が強いと思うので、教育や啓発でなんとかなるものなのかは心許ないが、その面の改善をなんとかしていく必要がある。本書でも指摘されていたが、男性の意識改善のためには、男性上司・同僚がカギになるのではないかと思う。

  • 明確な答えが出る問題でもないため読後感としてはスッキリしない部分もあるような感じだが
    日本社会における労働の捉え方という分水嶺が、下流に佇む大衆の生活全般を変革しうる部分なのだろうかとは思う。

  • 今の働き方では持たないと誰もが思っているのにいつまでも日本人の長時間労働は変わらない。あるいは変わるスピードが遅い。この社会や会社に蔓延する空気や雰囲気こそが今の停滞につながっているのだろうか。男性も女性もさまざまな働き方の選択肢やオプションがあって、利用できればいいと思った。

    • workmaさん
      「当事者意識」…!おっしゃるとおりだとおもいます。
      自分は、ちょっとずつちょっとずつ…「自分の半径3メートルを快適に」を肝に命じて日々た...
      「当事者意識」…!おっしゃるとおりだとおもいます。
      自分は、ちょっとずつちょっとずつ…「自分の半径3メートルを快適に」を肝に命じて日々たのしく暮らしていることが、小生の小さな改革です…。大げさかもしれませんが( *´艸`)
      2023/03/12
    • s*yossyさん
      ほんとにそうですね。自分ができる範囲だけでも良くしていければ、何か少しずつでも変わるのじゃないかと。きっとそうやって良くなってきたと思うので...
      ほんとにそうですね。自分ができる範囲だけでも良くしていければ、何か少しずつでも変わるのじゃないかと。きっとそうやって良くなってきたと思うので。
      2023/03/12
    • workmaさん
      話が合ってうれしかったです(^^)人(^^)
      ありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
      ときどき本棚に遊びに行きますね~
      話が合ってうれしかったです(^^)人(^^)
      ありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
      ときどき本棚に遊びに行きますね~
      2023/03/12
  • 人口減少の原因を若い人へのインタビューと米国・スウェーデンの比較から紐解き、解決策を提言。曰く
    1. 保育園に入りずらい環境を解消する。
    2.配偶者の税制をなくす
    3.男性の家庭生活への参加を促す
    4.ジェンダー中立的な平等を目指す。
    赤ちゃんのお風呂の時間までに帰宅できる職場環境になれば、男性も育児に目覚め、二人目の際は育休をとる。男性が仕事、女性は育児という日本の社会規範が解消されないと 制度はあっても使わない。 男性が当たり前に育休がとれる社会を目指そう!
    スウェーデンを目指すのであれば、著者の主張は正しい。ただし、男性が社畜、女性は家庭を守るという昭和の体制で日本社会は繁栄したのも事実。男性の給料を2倍にして、専業主婦の女性を増やす対案モデルと どちらが良いか議論すると面白いかも。育児より仕事の面白さをとる男性や仕事より専業育児をとる女性も多いと思うけどなあ。

  • 育児に関する制度について、アメリカ、スウェーデン、日本の比較をしている本書。
    結論として、制度自体は整っているが、男性が働き、女性が家事育児をするという社会規範がある限り、人口減少対抗策は機能せず。まずは、このような性別分業的な規範を早い段階で打ち破るべしという内容。スウェーデンの共働き・共育てモデルで参考になるのは第一子から第二子までを短期間で出産する場合には、育休の補助が増加するというもの。日本の若い年代でも、キャリアウーマンはやはりキャリアとの天秤の中で子供を作るタイミングを遅らせることになることは既に傾向としてあるが、スウェーデンの場合、スピードボーナスというこの制度によって、出産のタイミングを早く作ってもらうという制度があった。
    なお、本書は福利厚生として育児への補助ができるのかという問題意識で読んだが、正直なところ、最も成功しているスウェーデンのモデルでは、適宜転職や時短勤務等を行い、金銭的な補助ではなく職を変えることや現職との交渉により、流動的に時間制約を労働者側で無くしているということがわかった。こうしたモデルの場合、企業として福利厚生にかける投資効果という意味では、なかなか訴求しずらい傾向にあるのではないかと感じた。

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著者プロフィール

メアリー・C・ブリントン
ライシャワー日本研究所社会学教授、ライシャワー日本研究所所長。スタンフォード大学で社会言語学を学び学士を取得後、ワシントン大学にて修士号(日本学、社会学)、博士号(社会学)を取得。シカゴ大学、コーネル大学を経て、2003年よりハーバード大学教授。主な研究テーマは、ジェンダーの不平等、労働市場、教育、日本社会など。著書に『失われた場を探して』(NTT出版、2008年)、『リスクに背を向ける日本人』(共著、講談社現代新書、2010年)など。

池村千秋
翻訳者。『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット、東洋経済新報社、2016年)などビジネス・経済書を中心に翻訳を数多く手がける。

「2022年 『縛られる日本人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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