物語 遺伝学の歴史-メンデルからDNA、ゲノム編集まで (中公新書 2731)
- 中央公論新社 (2022年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027313
作品紹介・あらすじ
子はなぜ親に似るのか? この仕組みを解き明かすことから始まったのが遺伝学だ。メンデル以来約160年とその歴史は浅いものの、遺伝学はいまや生物科学の中核となった。遺伝子が子へ伝達される仕組みや生体内での働きが明らかとなり、染色体からDNAへと、遺伝子の実体解明も進む。そして、PCRやゲノム編集などの最新技術にも結実する。遺伝学の研究と発見の歴史を、科学者の生涯とともにドラマチックに描く。
感想・レビュー・書評
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遺伝学は,生物科学の本道。その遺伝学の歴史が,科学者の生涯とともに生き生きと書かれている。
科学書にもかかわらず,物語を読むようで面白い。それだけでなく,研究内容も丁寧に紹介されている。多少難しいところもあるが,そういうところを読みとばしても,科学史として楽しめます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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#遺伝子
遺伝学を教材にする人は、読んだ方が良いです。大変参考になりました。
ブルーバックスの「遺伝子とは何か」と合わせて読むと良いです。
しかし、10年前には読みたかったです。 -
吉本勝彦先生(徳島大学名誉教授)ご推薦
本書の前半では遺伝学の創設者であるメンデル、染色体地図を作成したモーガン、遺伝子が染色体を動くことを発見したマクリントック、生化学遺伝学を確立したビードルの研究の足跡をわかりやすく紹介している。
特にモーガンは染色体を真珠のネックレスに例え、個々の遺伝子である真珠の順序は決まっており場所を変えることができないと説明した。マクリントックの発見は、真珠のネックレスの紐を切って、ある真珠を他の位置に移し、その紐をまたきれいにつなぐことを意味するのだ。
後半はDNAの構造解明、遺伝暗号の解読、遺伝子の複製、エピジェネティックスやゲノム編集などについて解説している。
遺伝学の解説書は読みづらいことが多いが、分子遺伝学の手法を用いて研究を進めてきた私にとって、本書は肩肘張らずに読め、遺伝学のさらなる理解につながった。 -
面白かったです。
メンデルの法則に始まり、トウモロコシ、ショウジョウバエ、大腸菌の実験、DNAやRNAの研究に至るまで、研究の流れが掴めました。
遺伝学を勉強してるわけではないので、学術的な内容は十分理解できなかったところもあるけど、各研究者の研究業績に到達するまでの過程も描かれていて、楽しく読めました。
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姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003637
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メンデル以前に考えられていた遺伝についての考えから、クリスパーCas9までを研究者達がどのように遺伝という現象を解明していったのかの物語です。
メンデルやマクリントックなど、はじめに研究成果を発表してから長い間評価されないことが印象的でした。
画期的な研究をする能力に加えて、そのような研究を正しく評価する能力が科学の世界には必要だと思いました。 -
メンデルを始めとする科学者の生い立ち、研究の成果、そこに至るまでの苦悩と葛藤などを紹介。科学の進歩は、科学者の弛まぬ努力の積み重ねの上にあるのだと再認識させられる。
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【請求記号:467 ヒ】
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遺伝学は、メンデルの研究から数えると約170年程。今では理科や生物の授業で当たり前のように習う学問であるが、それらの解明には数多くの研究者の苦悩や困難があった。こういった研究者の紹介や科学史の本をあまり見かけないので参考になった。
分子レベルで次々と新しい発見が生みだされ、それは今日でも続いている。どうしたこの複雑な構造が生まれたのか、未解明なものはまだまだ多く、興味は尽きないが、生命誕生から36億年の蓄積の中で作られてきたこの神秘的な現象に感嘆の念を抱かざるを得ない。