戦後日本政治史-占領期から「ネオ55年体制」まで (中公新書 2752)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027528

作品紹介・あらすじ

日本国憲法の枠組みのもと展開されてきた戦後日本政治。自民党と社会党のイデオロギー的対立は1960年の安保改定問題で頂点を迎える。以降、自民党は経済成長に専心して一党支配を盤石にした。80年代末以降は一転して「改革」が争点に。だが民主党政権を経て、第二次安倍政権以降は再び巨大与党と中小野党がイデオロギー的争点をめぐり対峙している。憲法をめぐる対立に着目して戦後を俯瞰し、日本政治の現在地を見極める。

感想・レビュー・書評

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  • 現在の政治状況をネオ55年体制と著者は評する。自民党優位と憲法と安保を巡る与野党のイデオロギー的対立は、政治改革の時代を経ても解消しなかった。首相への権力集中は高まったが政党間競争が生じない。これは戦後政治に憲法問題が埋め込まれているからだ。
    敗戦から占領、講和独立、55年体制の成立、高度成長期から安定期、80年代末から90年代以降の「改革の時代」を経て民主党の政権交代、そして安倍政権誕生から現在に至るまでの戦後政治の流れを俯瞰し、現在の政治状況(ネオ55年体制)を浮き彫りにする。戦後政治史の流れがきれいにつかめる良書だった。

  •  戦後日本政治の「コンパクトな通史」(著者)。基本的な内容だが、憲法を中心としたイデオロギーに着目する。
     イデオロギー対立が激しかったのはまず55年体制下、しかしせいぜい70年代まで。その中でも60年代以降は高度経済成長下で保守本流政治が主流になり、社会党は不振に。一方で地方政界での様相は異なり、「革新自治体」が増えたが。
     そして、90年代から小泉政権期の「改革の時代」を経て、著者が「ネオ55年体制」と呼ぶ第二次安倍政権以降では防衛問題を中心的争点とする保革対決に「再イデオロギー化」したとする。
     両時期共に護憲派野党は、合計議席数が改憲を阻止できる「3分の1」を超えれば勝利、存在意義を誇れるとの指摘が何とも皮肉。
     両時期の間にある「改革の時代」は今読むと何とも躍動的で、観察者には面白いだろう。そして、党派性から距離を置く研究者による民主党政権の分析は興味深い。著者は、民主党政権の挫折を「真に逆説的な意味において戦後政治史上の大きな画期」「政治改革運動の挫折」と指摘する。

  • ふむ

  • 1945年から2020年までの政治史
    巻末の「主な政党の変遷」は、知っていたつもりが実は知らなかったりで勉強になった。

    著者の見立てだと、当分はこのままなのが悲しい。

    P19 社会党をのちの民主党と被せてるのは、変わってないなあと
    P31 (憲法)7条解散
    総理の「解散権」をさも当然のごとく報道するのはなんだかなあ
    P43 逆コース
    警察にまで手を付けようとしたのは驚き。労働問題もだけど、「民主化」は不可逆ではないんだなあと。
    P46 安保改定の評価はともかく、よく米国相手に立ち回ったなあと。不平等条約改定を思っての感想ですけど。
    P94 バラマキはじまり
    P95 「クリーン三木」
    そもそもクリーンがウリになるとはね
    P122 「弔い合戦」
    どうせ、死をなんとも思っていないかと
    P154 革新からリベラルへ
    P158 外圧に弱い
    P169 金に汚いのを選挙制度にすり替えてるとしか
    P249 菅総理、財務省の洗脳という話も
    P264 忖度
    自分への利益誘導を目的としているので、誤用だと思っています
    P267 閣議決定=国権の最高機関となりつつ

  • 知っていそうで知らない戦後80年史の、ありそうでなかった紐解き。明晰な著者の分かり易い解説。我が国における憲法問題の大きさを改めて実感。議席数2/3を勝敗ラインとする保守与党と1/3で充分とする革新野党のズレもなるほど納得。また、注目すべき同年代の学者が増えた。

  • 特集「戦後政治史から見る日本政治の今・前編~55年体制の幕開けと自民一強、そして終焉」
    https://www.tbsradio.jp/articles/77158/
    https://www.tbsradio.jp/articles/77396/

  •  通史の部分よりも、歴史観になるほどと感じさせる点が多かった。
     結局、本質的な面では何も変えられず、ただ選挙だけを繰り返してきたことがよく分かる。
     歴史が現在に近づくほど、あまりにも人材が枯渇していくことが悲しいくらいに痛感される。

  • 【請求記号:312 サ】

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著者プロフィール

東京大学大学院法学政治学研究科教授

「2020年 『政治参加論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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