ハイエク - 「保守」との訣別 (中公選書 13)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121100139

作品紹介・あらすじ

ハイエクは資本主義や自由市場の擁護者であるのと同時に、その弱点に対する忌憚のない批判者であった。また、「保守主義」とは一線を画す思想家であった。本書は21世紀における新しいハイエク像を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • ハイエク=自由主義者と定義した上で、ハイエクが全体主義・社会主義・保守主義者ではなかったと明確に論じる。

    ハイエクが自由主義の立場を取った背景には、
    市場による自制的秩序への心棒がある。市場による自制的秩序
    形成のためにはルールが求められるわけでありここに
    新自由主義的なリヴァタリアニズムとはまた異なるところだ。

  • 自由の大思想家ハイエクの研究は政治経済、法学、社会哲学など多岐にわたります。そのエッセンスを効率的にまとめたのが本書です。
    「自由の条件」などの原著を読む時間やコスト、何より頭脳がないぼくにはありがたかったです。
    ハイエクは最大限、知識が不完全な「あまり強くない個人」の自由を尊重しました。それは文明の発展がエリートや英雄によってもたらされたものではなく、長年にわったて無数の人々の試行錯誤によって生み出された結果だとみなしたからです。
    ハイエクの思想に感動しました。

  • ハイエクのことを経済学者と思っていたが、この著書をよむことで、自由主義の思想家へ発展していったことがわかった
    自由主義ではフリードマンの本を読んだことがあるが、その時は「わかるけど、何でもかんでもやりすぎではないか」という疑念があったが、この本を読んで、「なぜ、そう考えるのか」をより理解出来たがする。

    ●ポイント
    ・ケインズ政策への批判
    総需要刺激策はインフレ率を維持するか、加速すること
    によってのみ存続する産業へ労働、資源を分散
    結果的にスタグフレーションを生み、信用拡大によって
    過剰消費が不況の原因となる
    ・人々の競い合い
    競い合いでは敗者が生まれるため、無駄が多い
    しかし競い合いではなく計画が優れているかといえば
    中央での計画と競い合いを通じた経済政策では競い合い
    が最終的には優秀である。その理由は「知識の分散」
    中央が全ての知識を得ることは不可能
    ・自由とは
    社会において一部の人が一部の人によって強制されることが少ない人間の状態。~できるという欲望の充足が自由ではない
    ・新しい知識
    議論や意見を述べることで得られるのではなく、実際に行って気付くことが新しい知識。行為の積み重ねによって生じる知識が取捨選択されていく
    →様々な伝統、慣習
    ・法とは
    自由を制限するものではなく自由を維持、拡大するもの
    法の許す範囲で自分の意思に従える状態が自由
    ただし無制限な権力ではない。
    ・無限に拡大する企業への懸念
    無限に成長しようとする企業への懸念があり、会社法で
    制約すべきでは、という意見を持っていた
    独裁へつながりかねない
    ただハイエクは価格を全て平等にする範囲の独占は良いとして、特定の顧客へ特定の価格で提供することへは警告を発している。それは自由を奪っている
    ・独裁と全体主義
    ハイエクは独裁と全体主義では、独裁のほうがまだ
    マシという考えだった。独裁でも自由があれば、という
    前提となるが、この考えは批判を読んだ

  • ハイエクの思想をコンパクトにまとめた本。難解で大部にわたるハイエクの著作を手軽にまとめたものとして便利ではあるが、コンパクトに過ぎる嫌いも感じる。

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著者プロフィール

2016年12月現在京都産業大学法学部専任講師,上智大学法学部・法科大学院教授,総務省参与,京都府参与等を歴任。

「2017年 『昭和思想史としての小泉信三』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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