- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121502261
感想・レビュー・書評
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学術雑誌を「世界に関して発見された真理を報告する場」「そこに掲載された論文はすべて絶対に正しいものであるべき」と見る(素朴な?)見方は研究者としては賛同できませんが、それ以外の点については非常によく書けている本だと思いました。
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STAPは結論が出ていないが、構造が似ている。
文章は読みにくい。
捏造は絶えることはないだろう。 -
STAP細胞が話題になっていたから読んでみたけど非常におもしろかった
また、今回の小保方騒動と類似している点も多く見られたように思う
組織としての問題
大学の教育体制
悪意の有無
再現性
などなど、今回の騒動を考える上で重要な要素が多く含まれているのでSTAP細胞について興味を持っている人にはぜひ読んでほしい -
物理学の世界、それもベル研を舞台にした一大捏造事件の顛末を丁寧に追ったルポタージュ。著者とそのチームの仕事には敬意を払います。物理学に遅れること数年で、自分の専門界隈でも捏造がらみで色々起きていて、そのパターンの一致にもめまいを覚えたりもします(スーパー測定器とか天才的な実験屋とか)。でも、でもなー的なところも。
なんかね。捏造が発覚するまでに数年もかかった!科学界はどうなってるんだ!時代の変化に科学のシステムが追いついてないんじゃないか!的なことで盛り上がってるんですが。でもね、警察組織も司法組織も持たない科学社会が、それこそ真実を追求するというその姿勢だけで捏造を数年で明らかにしたわけですよ。それは、科学という方法論がきちんと機能していることを示しているんじゃないですかね?「数年もかかった」っていうけど、どんな発見だって「事実」として確立されるにはそれくらい時間かかるでしょ、科学の世界では。「世間はそうは思ってない」って言うなら、そういう科学のありようを伝えてきてないジャーナリスト様たちの責任はどうなの?そもそもジャーナリズムの世界はそんなに公正明大にやってるの?君たちの領域では怪しい報道について事前チェック機能が万全に働いていているの?闇に葬られた問題は数年以内に業界の良心で暴かれているの?とかいろいろ。
しかしこういう自分の感想って、結局は自分のアイデンティティが攻撃されたことへの反発に過ぎないなーということも分かっております。ただなー、それが「科学」というやり方がヌルいからだって批判されると、いやそれは違うんじゃないかと言いたくなる気持ちがね、どうしても。 -
現代の科学像・科学者像の変化と研究倫理とのかかわりをうまく浮かび上がらせている。
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【推薦文】
米国ベル研究所勤務の29才“天才”物理学者による大規模論文捏造事件を現地取材で追うドキュメンタリー。十数年前の事件にも関わらず、STAP細胞をめぐる今般の事件と酷似した展開に驚きます。
理系大学に勤務する職員なら、事務系・理系を問わず、関心が持てるのでは?
ベル研のシェーンの論文捏造事件を通して、現代科学界の構造、問題点を明らかにする本。シェーンが画期的な論文で栄華を極めるが、不正が発覚し、転落していく。今すぐレポートや論文を書くときに役に立つわけではないが、将来、科学者になる人は読んで損はないと思います。捏造はダメだということがわかります。
(推薦者:生命科学科 B2)
【配架場所】
大岡山: B1F-一般図書 407/M
すずかけ台: 3F-一般図書 407/M -
世紀の変わり目に起きた,一人の若手研究者による大規模な捏造事件を追ったドキュメンタリー。この事件は解決までに3年を要した。なぜこんなに時間がかかったのか。どうすれば捏造は防げるのか?
エピローグでは執筆の動機について書いてある。急速に変化する世界の中で,科学は,あるいは我々はどのように「わからなさ」に対処すればよいのか。この本の内容は科学界だけにとどまるものではない。 -
研究者倫理についての理解するための一冊目
reserch ethicsではなくreserch integrityに焦点を絞りたい
読書苦手ですが、すらすら読めるし面白い内容でした
興味あるないようだからかな? -
ベル研究所を舞台にした「シェーン事件」というかなり大規模な論文捏造のドキュメンタリー。NHKのディレクターが番組制作後に執筆したもので、緻密で客観的な取材をしているなという感想。
超伝導の花形研究者の発表した論文が、ことごとく出鱈目だったという話で、その方面の人には有名な話なのかもしれないが、本書で初めて知った。これに比べれば、ちょっと前に韓国の研究者がやらかしたES細胞の似非論文も可愛く思えてくる。物理のようなハードサイエンスは、嘘を混ぜる要素が少ないのかと思ったが、実験物理の世界はそうでもないらしい。純粋な科学的好奇心にモチベートされる時代は過去になり、競争原理と経済性が優先されるのよう強いられる時代。捏造は許される事ではないが、本書では不正をはたらいた研究者に一定の斟酌を認めたうえで、そうした論文をスルーさせた科学ジャーナル誌への批判は厳しい。
性善説と信頼関係に成り立ち、「倫理」という防波堤しかない科学社会の脆さを感じた。もっとも、この問題は科学者に限った話ではないのかもしれない。