2049年「お金」消滅-貨幣なき世界の歩き方 (中公新書ラクレ (672))
- 中央公論新社 (2019年11月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121506726
作品紹介・あらすじ
国が推進する電子マネー。企業が覇権争いを繰り広げるキャッシュレスサービス。近年世間を騒がせた仮想通貨。浸透し始めたブロックチェーン。
2019年、フィンテックという言葉のもとに、あらゆる場面の根幹にある「お金」のあり方が変わり始めた。インターネットと社会の関係を長年研究してきた著者は、この先「貨幣経済が衰退する可能性は高く、その未来にニューエコノミーが立ち上がる」と主張する。そこでは従来の貨幣文化のみならず、人類が構築してきた専門性や労働、さらに国家までも解体される対象になりうるという。
お金が消えるのと同時に消滅する職業や学問とは? 「お金」が消滅した先でも変わらず価値を持つものとは? その先で私たちは何を歓びに生きるのか? この本を手に、混沌たる世界を進め!
感想・レビュー・書評
-
良書。平易な書き振りだけど難解に感じるところもなくはない。著者の一貫してポジティブな態度が救い。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キャッシュレスで物理的なお金が不可視化され、フリーの拡大でお金を使わずできることが増えてきた。30年後の2049年、再生可能エネルギー利用で電力無料化、機械が自動的に作れるものが増えてお金の経済的価値が失われ、労働や、その対価としてのお金もなくなる。仕事の専門分化もなくなる。人間がするのは探求すること、社会は相互の贈与で回る。
フロー部分のお金はなくなりつつあるのはわかりましたが、ストック部分はどうなるのでしょうか。テトラッド分析でさらっと検証されていましたが、知らない方法なのでよく理解できませんでした。 -
本当にお金の概念がなくなるか、AIが仕事を無くすかは本質ではなくて、
そんな感じになっていきそうな世界で人はどんな心構えで生きてくべきか
って話の本だと思う。その点で良かった。 -
分からないことも多かった。
コロナ前の本なのに。情けない。
でも、面白かった。
少しずつイメージできている感じがある。
「スマホを手放すことがほとんどなくなった時代にそれをあえて持たない状態で、しかもスマホを持っていれば解決するような問題を解けるかどうかで、人の能力を評価することにどれほどの意味があるのでしょうか」
ゾクっとしました。 -
将来、お金という物が無くなる社会になると予測した本(後書きに「本書は預言書ではありません」とあったけど)。
ただたんに貨幣や紙幣といった物理的なお金というものが無くなるというだけでなく、お金という概念そのものがなくなると言いたいらしい。
さすがにお金という概念そのものがなくなるというのは現実感がなさすぎていまいちイメージがつきにくかった。今、年金保険毎月払ってるけど、お金という概念がなくなったら年金はどうなるんだと。払っても払わなくても同じということか?
まあでも、その足掛かりとしてキャッシュレスがすすむというのは分からなくない。いまだに現金しか使えない場所って多いけど(特に、診療所)、キャッシュレス化はすすんでいく分にはいいと思う(ただし、選択肢として現金を使えるようにしたほうがいいとも思う)。
全世界のエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことは可能という話はちょっと興味深かった。日本の場合、環境もんだやら原発問題やらあるので、こういう研究や取り組みはもっと進めていってほしいところ。
後、「自由貨幣」という概念を初めて知ったけど、なかなか面白そうだなと思った。ようは、紙幣の価値が実質的に減少していくというものらしい。そうすると、みんな早く手に入れた紙幣を使おうとするので、景気がよくなるらしい。時間があったら調べてみようと思った。 -
お金は信用の代替物。信用が証明されれば、お金である必要は無く、より進んだITによって物物交換の自動化が完了すれば、仕事の対価は直接自分が求めるもので返される世界がくる。
メルカリの青柳さんが目指す世界はきっとこういう世界で、小泉環境大臣がファストファッションに苦言を呈してたことにも繋がるけど、お互いの欲しいものを融通することができれば、捨てる量が圧倒的に減るので、当然環境にもメリットある。
これからどんどん仕事が自動化されていく中で、ほんとにベーシックインカム的なことが起こり、人間は楽しいことに没頭して良い稼ぎ方、生活の仕方ができるんじゃないかと思えてきた。 -
キャッシュレス決済が普及して現金を持たなくなる、といった次元の話では無く、お金そのものが消滅するという話です。読み進めていくうちに、以前に元ZOZOの前澤氏が「この世の中からお金を無くしたい」と言っていたのを思い出しました。前澤氏の話を聞いたときは半ば半信半疑でしたが、本書を読んでお金に縛られない世界は個人的には実現可能だと思いました。人としてのあり方、人生の目的についても考えさせられる一冊でした。
-
全てとは言わないまでも、2049年を待つまでもなく、本書で挙げられていることは実現されると思う。現実の進行はもっと早い。近い将来を考察するうえでは参考になる良書。
-
- 技術革新によるエネルギー無料化の流れ。
- 高度な分業化から自給自足・地産地消へという流れ。
- 足りていない人と余っている人をつなぐサービスの進化。
これらによって「お金」の存在が人々の意識から少しずつ消えていく。その先にどのような社会が待っているのか。
誰が何をしているのか監視しあう社会に進むのか、「見返りを求めずに与えること」を基本にした愛に溢れた社会を目指すのか。
キャッシュレス化や評価経済の台頭といった表面的な話ではなく、数十年単位でこれからを見通す指針となる本。
2049年の世界、想像するだけでワクワクします。