日韓激突-「トランプ・ドミノ」が誘発する世界危機 (中公新書ラクレ (673))
- 中央公論新社 (2019年12月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121506733
作品紹介・あらすじ
★これは、日本が韓国に仕掛けた「罠」か!
佐藤「短期的には日本の〝完勝〟」
手嶋「偶発的な軍事衝突の危機を回避せよ!」
韓国がGSOMIAを破棄し、日韓はついに全面衝突の様相に。「安倍政権が韓国を巧妙に追い詰め破棄させたのだ。この手法は、日本を開戦に踏み切らせたハル・ノートを思わせる。短期的には〝完勝〟」(佐藤優氏)だが、「長期の視点に立てば極めて危うい一手」(手嶋龍一氏)だ。北東アジアに生じた日米韓の安保体制の綻びを、中露北が衝こうとしている。果たしてニッポンに苛烈な国際政局を生き抜く秘策はあるか。
感想・レビュー・書評
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佐藤優さんと手嶋隆一さんの対談本。
本当に面白い。
私は彼らの対談本いままでの三冊すべて読みました。
中国って、すごい。
〈ああ、端倪すべからざる習近平の中国〉
と手嶋氏。
さらに
〈二十世紀はまさしく「アメリカの世紀」でした。自由な貿易体制も、それを支えるGATT体制も、国際法の体系も、アメリカのリーダーシップを下支えするように構築されてきました。しかし、二十一世紀を迎えると、ちょうど2010年あたりが分水嶺だと思うのですが、新興の大国として中国は、アメリカを中心として組み立てられていた国際秩序に異を唱えるようになっていきます。もっとも、中国の内在論理に照らせば、「新興の大国」などと呼ぶのは失礼千万、ここ百年余り、ちょっと居眠りをしていただけで、我々は常に「超大国」だったと思っているのですが。〉と手嶋さん。
たしかに中国史を知ると、そのとおりですよね。
韓国が最近、日本をいじめる(←私の解釈)のは、つまり韓国が中国相手に重心を置いたのではないか?
そしてもうひとつ、イランの問題。
ホルムズ海峡「日本タンカー攻撃」の真の狙いについて、佐藤優さんの分析は本当に素晴らしい。
また安倍首相について、佐藤さんと手嶋さんがかなり高く評価しているということがわかりました。
〈ハーメネイ師(イランの最高指導者)との会談を見て、わが安倍首相の意外な強さが伝わってきます。
安倍首相が下品なことを言うわけではありませんが、扱いの難しい国家元首にも実に自然体で対峙できる、そんな特殊な力を秘めている。フィリピンのドゥテルデ大統領、トルコのエルドアン大統領といった、国際的な下品コンクールでも、上位にランクされる指導者と渡り合っても、かなりいけるんですね。メルケルさん(独首相)とか、メイさん(英前首相)は、そういう下品な人は生理的に受け付けないのでしょう。会うと眉間にしわが寄ってしまう。〉と佐藤さん
〈そうした対応力の源は安倍さんの雑談力です。長く首相をしていますから、雑談力にはさらに磨きがかかっています。下品力では見劣りがしても、お国のために対抗することは十分にできる。これからも外交の場では精一杯活用してもらいたいですね〉と手嶋さん。
佐藤さん〈そう、何ごとも、お国のためと心得て取り組んでいただきたい〉
安倍さんってスゴイんだ。
頑張れと思ってしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020-5-13 amazon2021/09/14了
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★3.0(3.79)2019年12月発行。外交ジャーナリストの手嶋氏と元外務省主任分析官である佐藤氏によるトランプドミノにより誘発される世界危機として、日韓激突、イラン問題、北朝鮮問題を取り上げる。トランプ大統領により世界は振り回されてきた感があるが、そのおかげで世界情勢も大きく動こうとしている。これが吉でるか、凶とでるかは10年後いや5年後に審判が下されるのだろうか。
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日韓の整理は納得
米と中の部分は蛇足かな。 -
いつもながらお二人の対談には蒙を啓かされます。いつも接している情報が違うものに見えてきます。
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東2法経図・6F開架:B1/5A/673/K
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GSOMIAをめぐり揺れに揺れる韓国。ついに両行は全面衝突の様相だ。これは、日本が韓国に仕掛けた罠なのか? 深層を読み解く。
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さまざまなニュースが日々流れるが、この2人の対談を読んでおくと、それらがどのような大きな流れのなかの出来事なのかよくわかる。
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前作に引き続き、地政学からみると強力な指導者の個性のためと思いがちな出来事も大きな流れの中のことなんだとわかり、なるほどと思う
海洋国家と大陸国家のおおきなシーソーのなかで、今大陸国家にシーソーが傾く要因は何だろうと思う
p216はまさにイデオロギーなき中国を主張する逸話
天帝に選ばれた皇帝が権力を掌握することこそ、中国の根本的なイデオロギーなのかと思う
存在を尊ぶ天皇とは対照的