歴史に残る外交三賢人-ビスマルク、タレーラン、ドゴール (中公新書ラクレ (677))

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506771

作品紹介・あらすじ

冷戦後にアメリカがとった一極覇権戦略は破綻した。習近平の中国とプーチンのロシアが勢力圏を拡大し、インド、イラン、サウジアラビア、トルコなどが主要な勢力となる無秩序な世界が到来している。歴史上、多極構造の世界を安定させるため、諸国はバランス・オブ・パワー維持に努めてきた。ヨーロッパ外交を牛耳ったビスマルク、悪辣政治家タレーラン、哲人政治家ドゴール。明晰な頭脳とパワーをもち合わせた三賢人が実践した「リアリズム」は、国際政治学最強の戦略論であり、日本が冷酷な世界を生き抜く方策となる。

感想・レビュー・書評

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    ── 伊藤 貫《歴史に残る外交三賢人 ビスマルク、タレーラン、ドゴール 20200206 新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4121506774
     
    …… 19世紀後半の欧州などを舞台に「リアリズム外交」を展開したとされ
    る代表的な政治家が取り上げられている。首相は「新時代リアリズム外交」
    を掲げており、過去の外交戦略を参考にしようと考えたとみられる。
     
    (20221231)
     

  • 勢力均衡が無秩序な世界の中でどれだけ重要か、3人の政治家の振る舞いから考察していく本。そこから、戦後日本の米国のみへ迎合する姿勢に対して痛烈に批判している。
    国連だとか多国間の枠組みだとか、戦後は勢力均衡に変わる枠組みで紛争解決を図ろうとする努力がなされているが、最近のロシアを見ると昔から何も変わっていなかったんだなとつくづく思う。環境問題やコロナなんかも勢力均衡の上での解決しかできないのだろうか、などと悲観してしまう。

  • 岩倉使節団がビスマルクにいわれたこと
     近代的な法制度を整備しても日本に実力がない限り、欧米諸国は日本を対等な国として扱わないだろう。諸君は実力をつけることを優先したまえ

    ドゴール将軍 ビルマルクが偉大だったのは、彼が時刻の戦勝に慢心することなく、「もうこれ以上の戦争は不必要だ」と判断する能力を備えていたことだ

    中世時代から1871年までのドイツは常にバラバラであった。

    クリミア戦争は国際政治上、重要な事件であっった。メッテルニヒが1815年に作って1848年まで維持されていたウィーン体制が、この戦争によって完全に破壊されてしまったからである

    ビスマルクによれば、このチェスゲームから、各国の酷な事情(国内の政治体制、政治思想、宗教、価値観)、そして自国民の他国に対する「好き嫌い」の情緒は排除されなければならない

    ビスマルクは、武断政治を提唱する鉄血宰相であったが、同時にかれは外交政策の判断は軍事政策に優越すると考える外交優越論者でもあった

    普仏戦争 ビスマルクは何度も、フランスからアルザス、ロレーヌを獲ることに同意したのが、私の人生の最大のしっぱいだったと語っている

    ビスマルクの外交の4つのフレームワーク
     反拡張主義、反民族主義、均衡主義、非戦主義

    均衡主義 ビスマルクの外交パラダイムは、「国際政治に、政治イデオロギーや道徳判断や好き嫌いの情緒を持ち込んではいけない。国際社会は強制執行力をもつ司法行政立法期間が存在しないという意味で、本質的に無政府な構造であるから、諸国はバランス・オブ・パワーを維持すべきである

    ビスマルクの作った同盟は戦争のための同盟ではなく、均衡維持のための同盟だった

    単純な同盟国依存体制は、「同盟国の奴隷となる」という状態を作り出す

     1951年の講和条約以降、日米同盟にひたすら依存し続けるだけの単純な外交政策と国防政策を続けてきた日本は、単なる米政府のアジア支配政策の奴隷に過ぎないと思う

    ビスマルクは、単に複雑な同盟関係ネットワークを構築しただけではなかった。彼はそれぞれ個別の同盟国に対する政治的外交的な配慮においても、驚くほど綿密で用心深かったのである

    そもそも戦争に勝つということと、その戦争のあとに、「政治的に有利な立場を確保する」ということは、全く別のことである

    領土拡張政策は、我々の統治行為にとって困難な問題を増やすだけである

    全国民の虚脱状態にあって、「ナポレオン失脚後のフランス」に関して準備していた人物が一人だけいた、タレーランである。

    ウィーン会議でタレーランは、フランスの自主独立を回復すると同時に、敗戦国フランスを戦勝国(英露普墺)と対等な地位に引き上げる仕事を成し遂げた

  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/677/K

  • 明晰な頭脳とパワーをもち合わせた三賢人が実践した「リアリズム」は最も賢明な戦略論であり、日本が冷酷な世界を生き抜く鍵となる。

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著者プロフィール

伊藤貫

1953年東京都生まれ。政治思想家・国際政治アナリスト。東京大学経済学部卒。コーネル大学で国際政治学を学ぶ。その後、ワシントンのビジネス・コンサルティング会社で、国際政治・米国金融政策のアナリストとして勤務。『フォーリン・ポリシー』『シカゴ・トリビューン』『ロサンジェルス・タイムズ』『諸君!』『正論』『Voice』『週刊東洋経済』等に、外交評論と金融分析を執筆。CNN、BBC、米国公共放送等の政治番組で、外交政策と金融問題を解説。著書に『中国の核戦力に日本は屈服する』(小学館新書)、『自滅するアメリカ帝国』(文春新書)などがある。

「2020年 『歴史に残る外交三賢人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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