- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121507136
作品紹介・あらすじ
人間の野望が渦巻く「夢の世界」へようこそ。動物園は、18世紀末のヨーロッパに誕生した。しかし珍種を集めて展示する「動物コレクション」は、メソポタミア文明に遡るほどの歴史をもつ。近代に入ると、西洋列強は動物を競って収集するようになり、「未開人」の展示は人気を集めた。果ては「恐竜」の捕獲や絶滅動物の復元計画も登場。異国風建築から、パノラマ、サファリ・パークやテーマ・ズー、ランドスケープ・イマ―ジョンまでのデザインの変遷をたどりながら、動物園全史と驚異の冒険譚を描き出す。
感想・レビュー・書評
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いつもの図書館の新着本リストの中で目につきました。
著者の溝井裕一さんは西洋文化史が専門の関西大学文学部教授ですが、「ひとと動物の関係史」というあまり耳慣れない学問ジャンルも専門とされているのこと。
タイトルどおり、古今東西の「動物園」の歴史を辿りながら数々の興味深いエピソードを紹介しているのですが、その中で、最も私の印象に残ったのは、「戦時下の動物園」についてのくだりでした。
そこに記された国内外各地の動物園での「動物(生き物)」の扱いは、まさに“戦争の理不尽さ・醜さ”そのものです。 -
支配から共生へ。動物園の展示方法が社会の価値観を反映しているところが面白い。
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「動物園」はいつから存在するのだろう?メソポタミアの『動物コレクション』から始まり、現代の展示方法に至るまでこの本を読むことで動物園の歴史を「冒険」できる。現代では動物の環境エンリッチメントも考慮しながら、よりリアルに動物社会を体験できる、まるで自然に迷い込んだような動物園が来園者を伸ばしているようである。人間の支配・動物の非支配という関係性はなくならないかも知れないが、古代より人間が動物との寄り添い方を模索し改善してきたのであれば、やがてこの「垣根」も希薄なものになっていくだろう。これからもより動物目線に立ちながら、研究と保全の大切さを娯楽として魅せていく、「動物たちにまた会おうね」と思える動物園であり続けて欲しいと感じた。
個人的に特に印象に残ったのは「動物園の世界大戦」である。戦火に翻弄され、あるものは差し出され、処分され、時として食料になる。戦争は人間殺戮だけではない。動物もたくさん犠牲になっている。改めて戦争は絶対にやっていけないと思える内容だった。 -
人間の野望が渦巻く、「夢の世界」の驚異のヒストリア!サントリー学芸賞受賞の俊英が動物園全史と冒険譚を巨細に描く。図版100点
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東2法経図・6F開架:B1/5A/713/K