なぜ人に会うのはつらいのか-メンタルをすり減らさない38のヒント (中公新書ラクレ 750)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121507501

作品紹介・あらすじ

「会ったほうが、話が早い」のはなぜか。それは、会うことが「暴力」だからだ。

人に会うとしんどいのは、予想外の展開があって自分の思い通りにならないからだ。それでも、人は人に会わなければ始まらない。自分ひとりで自分の内面をほじくり返しても「欲望」が維持できず、生きる力がわかないからだ。コロナ禍が明らかにした驚きの人間関係から、しんどい毎日を楽にする38のヒントをメンタルの達人二人が導き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 新型コロナウィルスにより、政府が、全国民に「ひきこもり」を推奨していた時にオンラインでなされた。
    「ひきこもり」研究の第一人者の精神科医・斎藤環さんと、自ら望むべくもなく拘置所にひきこもった経験を持つ、元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんとの対話。

    面白かったです。

    脳科学で、男性脳、女性脳に分ける言説も多いけれど、科学的には立証されていない、と書いてあって、ちょっとほっとした。あまりそういう分け方は好きでないので。

    「差別も優生思想も意識的な啓発によって禁止しないと「野生化」するのです」斎藤p152
    自分の中で知らず知らずのうちに差別を行なっていたり、優生思想に呑まれて自分や他人をジャッジしていたりすると、呆然とする。こんな自分に誰がした!と、吠えたいくらい。
    気がついたら修正していくしかない。
    多分、一生やっていく仕事ですねー。

    第一章『鬼滅の刃』ブームにみる現代日本人の心の闇
    第二章人はなぜ、人と会うのか
    第三章危険な優生思想に蝕まれないために
    第四章「同調圧力」と日本人
    第五章息苦しい「組織」「学校」から解放されるために…

    各章の終わりに「生きるヒント」としてその章のまとめが簡潔に載っている。

    それにしても、表紙の似顔絵、似てますねー。
    おふたりとも、好対照な、マンガのような顔をしてらっしゃいますよね。
    猫好きのおふたり、いつか猫放談を期待しています。

    • 5552さん
      ベルガモットさん、こんばんは!

      ベルガモットさん、ウクレレ弾かれるんですね!
      素敵です♪
      私も、弾いてみたいんですよ~
      音楽も短...
      ベルガモットさん、こんばんは!

      ベルガモットさん、ウクレレ弾かれるんですね!
      素敵です♪
      私も、弾いてみたいんですよ~
      音楽も短歌もできるなんてすごいです。
      2022/06/11
    • ☆ベルガモット☆さん
      5552さん こんばんは☆

      先日は短歌二首目お披露目ありがとうございました!
      きらきら星の歌が聞こえてきそうな素敵な一首でしたね☆彡...
      5552さん こんばんは☆

      先日は短歌二首目お披露目ありがとうございました!
      きらきら星の歌が聞こえてきそうな素敵な一首でしたね☆彡
      自分では探しきれない本がブグログの皆さんの本棚の中でキラキラ魅力的にひかって、読みたい本が目白押しです♬
      そういう間に順番が3番目になっていました
      2022/06/13
    • 5552さん
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      うれしいお言葉、ありがとうございます。
      短歌、出来不出来はともかく、つくっている時は楽しいん...
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      うれしいお言葉、ありがとうございます。
      短歌、出来不出来はともかく、つくっている時は楽しいんですよ。
      先日も、思わず横山未来子さんの『いちばんやさしい短歌』という短歌指南本を図書館で借りて来てしまいました。
      本当に、他のユーザーさんの本棚って、なんであんなに魅力的なんでしょうか。
      気がつくと食い気味にブク友さんの本棚を見ている自分がいます。
      おお、着々と順番が近づいてきますね!
      2022/06/14
  • 「なぜ人と会うのはつらいのか」対人恐怖症気味の精神科医が気づいた本当の理由 お互いの境界を越える行為だ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
    https://president.jp/articles/-/52741

    なぜ人に会うのはつらいのか|ラクレ|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/laclef/2022/01/150750.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「弱者男性の安楽死を合法化せよ」明らかな差別的発言がまかり通る日本のヤバさ 「優生思想」がじわじわ広まっている | PRESIDENT On...
      「弱者男性の安楽死を合法化せよ」明らかな差別的発言がまかり通る日本のヤバさ 「優生思想」がじわじわ広まっている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
      https://president.jp/articles/-/53016
      2022/02/09
  • 昨夜はじめて佐藤優さんのTVライブを見ました!
    BSフジ「プライムニュース」
    『緊迫のウクライナ情勢 鈴木宗男&佐藤優解説 黒井文太郎&鶴岡路人』
    鈴木宗男 日本維新の会 参議院議員
    佐藤優 作家 元外務省主任分析官
    黒井文太郎 軍事ジャーナリスト
    鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授

    「本当に、本を書いている佐藤優さんが喋っている」と思いました。
    TV出演はお断りしている、と聞いていた気がしましたが
    心境の変化でしょうか。
    これからも出ていただきたい。
    ウクライナ情勢とてもよくわかり、スッキリしました。

    閑話休題、この本は斎藤環さんとの対談。
    彼は『中高年ひきこもり』に「もしひきこもることが100%容認される社会が実現したら、長期間ひきこもってしまう人は激減するでしょう」と書かれていて、
    その件について私は未だ納得していないのです。

    さて、この本のタイトルに内容が合っていないように私は思いますが、面白かったので気にしません。
    一番興味を持って読んだのは、脳科学のことです。
    斎藤環さんは「過信しないように」と警鐘を鳴らしています。
    これについて詳しく書かれているので、
    私のように脳科学大好きという皆さんに読んでほしい。

    実は佐藤優さんも「脳科学ブームの危険性について斎藤氏と話をしてみたかった。この点についても話が嚙み合った」と言っているのです。
    そうなんだー。

  • タイトルが良くないですか?

    と思うのは、私が人と会うことに、プレッシャーを感じる人間だからだと思う。
    だから、人に会うことって「暴力的」ですよね、とサラッと始めちゃう本書には少し力が抜けたし、でもそこに意味があること……内省に浸らないことやエンカレッジしてもらうことの意味も、分かるような気がする。

    コロナ禍で、家に籠もることが是とされ、リモートワーク、リモート授業が広がった。
    けれど、家に籠もったままの人は、相変わらずマイノリティなんだろうか。
    ずっと、その辺りのチクチクを感じながら、日々を過ごしている。

    学校が、先生にとっても生徒にとっても心を病む空間になってしまっていることも、そのチクチクの延長線上にある。

    でも、二人が「心」に改めて注目し、知り合いだからこそリモートが成り立つと言及しているように、やっぱり誰かと会うという〝場〟そのものは必要なのだ。オンライン化されれば良いのではない。

    その辺りの架け橋をいかに考えるか……。

    • 5552さん
      mitsukiさん、こんにちは

      タイトルに惹かれて本屋で即買いしました。
      人と会うのは暴力的、という言葉には目からウロコがボロボロと...
      mitsukiさん、こんにちは

      タイトルに惹かれて本屋で即買いしました。
      人と会うのは暴力的、という言葉には目からウロコがボロボロとはがされました。
      でも、その暴力がなければ、「欲望」が維持できない、という発言にも、体験的に頷けました。
      他者がいなければ、自分で自分の輪郭も分からない、会う、という暴力を受けて、痛みで自分を知るというイメージなのかな、と思いました。
      2022/02/07
    • mitsukiさん
      >5552さん
      コメントありがとうございますー!
      しばらくログインしておらず、返信遅くなりました……。
      そうですね。一人きりの方が楽な...
      >5552さん
      コメントありがとうございますー!
      しばらくログインしておらず、返信遅くなりました……。
      そうですね。一人きりの方が楽な私でも、〝独り言〟ではダメだと思う時があります。他者に向けて言語化して、ビクビクしながらもレスポンスを待つ。その往復が、「自分の輪郭」を知ることに繋がるのかなーと思います。
      2022/02/20
  • 佐藤優さんと斎藤環さんというちょっと濃いめのお2人の対談集。
    感染症による世の中の生活や環境の激変について具象・抽象織り交ぜて多岐にわたる展開が興味深い。

    中でも印象的だった事柄

    ・P.190
    斎藤氏:実は日本の同調圧力の本質は、「俺は得をしたい」ではなく、「自分だけ損をするのは嫌だ」「人と違う状況にはなりたくない」なんですね。

    →ワクチン接種が待ち焦がれていた当初、権力者や著名人が抜け駆け的に打ったことを世間は一斉に叩いた。
    「私は打っていない」のに「あの人たちが打てたのは許せない」という認知に由来する。

    私が日ごろ買い物でクーポン券を利用しそこなったり、ポイント◯倍の日に買いそびれて、「あ~悔しい!」となるのも同じマインド笑。ポイントに振り回される本末転倒と分かりながら…。
    皆が得しているのに、自分が疎外されることへの理不尽さが同調圧力となる。


    ・P.197
    斎藤氏:「もともと日本には、議論したような同調圧力がはびこる素地があったわけですが、コロナ禍においても、例によってメディア、なかんずくテレビのワイドショーが、人々のそうした行動をこれでもかと煽りました。日本のメディアは、なぜか同調圧力を作り出す側に回りたがるわけです。」

    中略)
    「メディア人は大衆の心に影響を与えたい、できれば変えてしまいたいという抜きがたい欲求を持っているというのが、私の理解です。降って湧いたようなコロナ禍は、そういう力を行使できる千載一遇のチャンスだった。」

    →一部の層にとってはテレビを筆頭にマスメディア離れが進む誘因となったのではと思案する。ワイドショーは見ないけれど、ニュース報道番組の単純化、劣化も酷いもの。 確かな論客はテレビには出ないし…。芸能人やお笑い芸人のコメンテーターが一般市民を代表しているし笑。切り取られるから即時性勝負のテレビにはでないよなあ。

    コロナで得たもの、失ったもの。
    自分の可視化できる世界のみがすべてという誤解に拘泥されることなく、その上もその先もあるということを意識したいもの。

    在宅勤務の夫以外の人に会いじっくり話す機会なく3年近く。世間話程度は誰とでも結構できるのだけれど、実は人に会うのは辛い自分に気づいた。相手と対立しないよう、悪い感情を抱かれないように、私は実はおもねてしまうのだなと、引きこもって分かった事実。メンタル擦り減りまくり。

  • 著者二人による対談の内容を本にしたもの
    コロナ禍でわかったことなどの記載もありました
    なんとなく読みましたが会話だけの本って
    こんな感じなのかなとも思わされ
    内容はあまり残りませんでした

  • 題名がどきっとさせられる ブグ友さんの本棚でみつけて図書館予約して約1か月待ちました

    現在進行中のコロナ禍に対しての対談
    対面で人と会わなくていい楽さに対する気づきは正直あったが、「対面の暴力性」としての考察が鋭く突き刺さった。相手の領域を越えなければ、会話自体が成り立たないのはもっともではある。ただ、人に会うことで欲望を維持することができるというのもうなずける。

    四重の格差である、自国重視の国家間の格差、地域間格差、経済などの階級間格差、日本での女性の自殺増加に現れたジェンダー間格差が挙げられている。
    女性は会わないことから受けるダメージが大きいらしい。
    心理的時間間隔分類の、祭りの前(統合失調症的)、祭りの後(双極性障害的)、祭りの最中(てんかん的な時間)という分断が大震災の時はあったが、今回のコロナ禍では感じられないという。
    「鬼滅」の加害者に転じた被害者の処遇、トラウマ的な責任と倫理という命題にまで発展していた。
    積極的に会いたい人、一人でいたい人、その中間くらいなのか自分は、相手はどれか考えるのも今後の関係性の判断となるか。
    同調圧力の副反応としての排除や自粛警察、自分だけ損するのは嫌だという思い、反ワクチンと反体制、逃げないことに価値がある男性社会、など刺激的なキーワードが並ぶ。
    疫間を生き延びるために、学校や会社という閉鎖社会以外での居場所つくり(ブグログは居心地の良い居場所になってます)、ポストコロナには(本当に会いたい)人と会い、会話をして心のコロナ疲れの回復に努めたい。

    久しぶりに友人と会う時は何を話したらいいかわからなくなってしまっているので、箇条書きをするようになりました

    • ☆ベルガモット☆さん
      111108さん、5552さん、こんばんは☆
      コメントありがとうございます!

      なるほど、ひとりでいたい寄りの中間型という表現は良いで...
      111108さん、5552さん、こんばんは☆
      コメントありがとうございます!

      なるほど、ひとりでいたい寄りの中間型という表現は良いですね!
      幹事になりたがりのときもあれば、一人でいいやと思ったりします。
      周りにうざがられているかもしれません

      111108さんのように、別れたあとに、あの話しておけばよかったあと思ったり、何を話したか思い出せなかったりがあるんですよ~
      距離感のつかみ方というかチューニングを合わせるのに時間がかかってしまいます

      5552さんが本棚に飾ってくださったので出会えた本です。ありがとうございます!予約が思ったより早く回ってきたので良かったです。
      111108さんの図書館にもありますように♪

      本当に、ブグログには感謝です。
      このように皆さんの本棚をワクワクしながらお邪魔して、お話も時々できて、自分ペースで過ごせる居心地の良さは有難いです☆
      2022/07/15
    • 5552さん
      ベルガモットさん、111108さん、こんばんは。

      ベルガモットさん
      私は幹事などはとてもとてもできそうにないのですが、ひとりでいいや...
      ベルガモットさん、111108さん、こんばんは。

      ベルガモットさん
      私は幹事などはとてもとてもできそうにないのですが、ひとりでいいや、と思うときと、人に会いたいときが両方あるのは分かるような気がします。人に会うのは消耗するけれど、やはり、ときどき人を求めてしまいます。
      自分の心地好い人との距離感を熟知してれば、ストレス少なく過ごせますよね。それがけっこう難しいんですけど。

      111108さん
      ブクログは心のオアシスのひとつです♪
      好きなものについて語れる場があるなんて、幸せだなー、とつくづく思います。
      こちらの本もお二人とお話できたおかげで、ますます印象深い本となりました。
      111108さんの近くの図書館にもあるといいですね。

      2022/07/15
    • 111108さん
      ベルガモットさん、5552さん、こんばんは。

      ベルガモットさん
      距離感のつかみ方・チューニングを合わせるというのぴったりの表現ですね!ちょ...
      ベルガモットさん、5552さん、こんばんは。

      ベルガモットさん
      距離感のつかみ方・チューニングを合わせるというのぴったりの表現ですね!ちょっと恥ずかしいかもと思ってけど、箇条書きのメモあったらきっと会った時楽しく話できそうですよね。今度帰省して久しぶりに友人と会う時にやってみます。

      5552さん
      私も5552さんと同様に?ベルガモットさんみたいに幹事などとてもとても‥というタイプです。一人の方が気楽だし。でも人恋しい時ってありますよね。

      またまたお二人とお話できて嬉しかったです!図書館で探してきますね♪
      2022/07/15
  • 興味深い2人の対談。あまり批判的な読書はしないタイプの私だが、今回のテーマは仕事に関わる部分でもあり、えっ?そうかな?と思うところもしばしばあった。もちろん、納得するところも多々あった。考えて読むという体験ができたことが嬉しい。引きこもりはお金を使わないという箇所があったが、ん?と懐疑的にもなり納得するところもあった。私は訪問看護師なので、医師の介入があって初めて介入する。だから、その時点で医師の使う引きこもりとは違うのかもしれない。症度が違う、ということなのかなと思う。刑務所で土曜にものすごく甘いものが出されるという話には、くすっとしながらも納得。とにかく、私にしては珍しくよく考えながら、懐疑的になって読んだ本。良い読書体験ができて良かった。

  • 「対面するという暴力性」についても語られています。自分も人に会うのは億劫な方なので、その理屈には納得できました。

  • とても現代を生きていく上で、有意義ないろいろな「ヒント」の内容があったように思えました。

    対面には暴力性があり、オンラインはそれを軽減/消去する。
    「対面で会うことが必然的にはらんでしまう暴力性」
    オンラインでの対面を可能にするインフラが整備され、「対面せずに会う」という仕事、勉強、診察等の経験が一気に広がった。同時に「なぜ人は対面を必要とするのか」という、かってない問をもたらしてくれた。

    第1章「鬼滅の刃」ブームにみる現代日本人の闇
    「四重の格差」1.国家間格差2.国内での地域間格差3.経済などの階級格差4.ジェンダー格差
    自殺者が目に見えて低い町、徳島県の旧海部町(現海陽町の一部)は自殺の「希少地域」
    生きるヒント①
    ●家族・友人との関係を大切にする
    ●家庭内にも心のソーシャル・ディスタンスを
    ●他人のトラウマに寄り添い過ぎない。自分が壊れてしまう。
    ●追い込まれないために、悩みや苦痛は口外すべし。ぜひ役所などにも頼ろう。
    ●精神科と心療内科の違いを理解し、適切な治療を受けよう。医師は選ぶべし。
    ●ペットや趣味など「内向きの不要不急」を大切に。

    第2章人はなぜ、人と合うのか
    人に会えなくて「楽になった人」と「萎れてしまった人」
    「嫌な人」「相性が合わない人」と付き合う必要はない。「必要な人とだけ会う」
    「対面」によって活性化され、エンパワーもされていた。「表面的にはそれほど社交性は高くないものの、ある程度の対面は必要」

    会うことは「暴力」
    人と会うことの暴力性
    外交の世界も「暴力をどう効率的に行使するか」

    理想は対面とリモートのハイブリッド

    生きるヒント②
    ●①人に積極的に会いたい人、②一人でいたい人、③その中間くらい。自分はどれか、あの人はどれか考えてみる。
    ●人に会うのに苦痛を感じるのは、そこに「暴力性」があるからだと理解する。しかしその暴力には意味がある。
    ●人は、人に会うことで欲望を維持できる。多くの人は、一人ぼっちで欲望は維持できない。欲望の減退は元気を失わせる原因にもなることを知っておく。
    ●人と会うことで不確実性が高まる。「偶然の事故」から新しい発見があったり、新たな展開が生み出されたりする。だから対面にはリモートにはない意義がある。

    第3章危険な優生思想に蝕まれないために
    「努力は遺伝に勝てない」「『悪い生』に生まれたら、そこから抜け出せない」という優生主義の発想は、人々が様々なことを諦める理由にもなっている。

    弱者男性の怨嗟の向かう先は、支配層ではなく、自分のちょっと上の中流ぐらいの層。自分たちよりも弱者に対しては、もっと容赦なかったりする。結果的に、弱者切り捨てに賛成してしまう。

    生きるヒント③
    ●人間には心があることを再認識する。
    ●「AI時代」を生き抜く鍵は「読解力」
    ●物事の真贋を見分けるためには、常に「その話にはエビデンスがあるのか」という発想を持つことが重要
    ●人間の生の多様性は、これからの時代を生き抜く自分のため。
    ●合理主義のいき過ぎで、優生思想が万円。自分の首まで占めかねない危険な優生思想に加担するな。
    ●優生思想の危険性をよく知っておく

    第4章「同調圧力」と日本人
    生きるヒント④
    ●スペイン風邪は同時代に記憶されなかった。パンデミックは適切に記憶する努力が必要。
    ●生活保護は利用抑制から方針転換。追い詰められる前の選択肢として考えよう。
    ●テレビなどのメディア報道の裏にあるものを考え、流されない訓練を。
    ●苦しい体験は、「物語」を作ることで逃げなくてはならない場合もある。
    ●コロナ禍をめぐるマスコミの「炎上商法」を冷やかに見ること。

    第5章息苦しい「組織」「学校」から開放されるために…………
    「逃げられないことの息苦しさ」

    ひふみ投信などの藤野英人氏や原田曜平氏の意見
    日本の希望は「地方」、そしてヤンキー。地方は東京と別の生態系になる。

    心の中に「逃げる自由」を確保しよう
    男性が自殺しやすいのは、誰にも相談できない、苦痛を訴えることもできない、と自ら逃げ場を閉じてしまうから。
    もっと「逃げる自由」を肯定的に捉えていくべき。

    生きるヒント⑤
    ●自分の居場所をつくっておくと、心はだいぶ楽になる。
    ●子供も大人もリアルは出席とリモート出席のハイブリッドが理想。
    ●ひきこもりの人たちみたいに、外に出られなくて苦しんでいる人がいることを理解し、寛容になる。
    ●人生の目標は人それぞれ。「すっぱい葡萄」と思うならそれでいい。みんなが同じ「葡萄」を目指す必要はない。
    ●知らず知らず「成果主義」で身動きが取れなくなってはいないか。自らをチェックしよう。
    ●実は地方には可能性がある。パンデミックを記に本気で移住を検討するというのは、十分にあり。
    ●「逃げるときには逃げる」というのは、生き延びるための立派な知恵。ココロの中に、その自由を確保しておこう。
    ●ポストコロナには、人と会い、会話して、意図的にメンタルの修復に努めよう。

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著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤環の作品

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